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TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~  作者: あけちともあき
スパイス完全復活編

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第89話 あれが噂のトップ配信者

「大魔将オクトデーモンだ!」「軍勢を率いてやってくるぞ!」「うおおっ! ここから先には行かせねえ!!」


 配信者たちがやる気になって、東京湾に向けて身構える。

 暗雲がたちこめ、暴風が吹き荒れ、真っ黒な海からは大量のジャイアント海産物たちが飛び上がり襲いかかってくるのだ!

 モンスターの見た目が美味しそうならいいんだけど……。


「ひゃーっ、まずそうーっ!! ファイアボール!! フレイムウィーング!!」


 魔法をぶっ放してみたら、すぐ近くまで来ていたピラニアみたいなのの群れが『ウグワーッ!』と消し飛んだ。

 ちっちゃいモンスターならこれでいけるかあー。


「通じた通じた! みんな、引き続き応援よろしくう!」


※『うおおおおお』『任せろ任せろ』『スパイスちゃんがリスナーを取り戻すその時まで全力だぜ!』『取り戻しても全力だあ!』


 心強いー!


※マルチョウ『他の配信者の画面だと、最前線で大京長官がタコ頭の巨人と戦っているぞ!』『周りは結構分が悪い感じだねえ……』『今までで最大規模のスタンピードだし、半分は海だからこっちから攻撃ができないからねえ……』


「ほんとだよねー。たちがわるーい!! ……おや? いつもはお喋りな魔導書たちがおとなしい……」


『なーんかいやな予感がするんですよねえ……。ヤバいやつが近づいてる予感……』


『んフロータの勘はぁ、当たるぅ!』


『いやあ~! 当たってほしくないでやんすねえ!!』


「大魔将ではなくー?」


『もーっとヤバいやつです!!』


「ひえ~」


※『スパイスちゃん怖がってる風だけど顔が笑ってるw』『なにわろてんねんw』


「いやさあ、フロータが真顔でヤバいって言う人ってスパイスが知る限り一人だけだからさー」


 つまり、狙っている瞬間が近づいてきてるってことだ!

 彼女は、いっつもこういう絶体絶命のピンチになった所に登場する。

 そして配信を最大級に盛り上げて、とんでもない同接を得ながらピンチを粉砕するのだ。


 それがパターン。

 持ってるってことなんだろう。


 この世界における、恐らくトップの配信者。

 きら星はづきだ。


 スパイスの計画とは……彼女の配信に映り込んで、多くの同接にASMRを叩き込むこと!

 そして状況分析のために、今回のスパイスの配信はハト行為推奨なのだ!


 みんなが多窓で他の配信を見ながら、状況をスパイスに教えてくれている。

 助かるー!!


「最初の140人にはメンバー特典として後でスパイスの、スペシャル壁紙とサンキューボイスを送るね……!」


※『うおおおおおおおお!!』『やる気が湧いてきたああああああ!!』特上ロース『もう全部私達に任せてっ!!』


 ウィンウィンの関係だねえ!

 ということで、スパイスは今の同接なりの火力で配信者のみんなを支援しつつ、前線で苦戦する長官のところに向かった。


 うおおっ、なんか見上げるほど大きな半魚人と殴り合ってる!!

 近づけない!

 今のスパイスだと巻き込まれたら一瞬で死ねる~!


 これと殴り合うんだから、やっぱり長官は強い。

 だけど流石に苦しそうだ。

 同接なしだもんねえ。


 そこに半魚人がもう一体来たー!


「卑怯だぞー! うおー! 爆裂ファイアボール!!」


 スパイスが支援するけど、表面でペチっと弾けた。

 今の同接じゃあ手も足も出ないかあ!


 長官、あぶなーい!!

 彼はちょっと振り返ってスパイスを確認すると、安心したように微笑んだ。

 それは死亡フラグだよ、だめでしょー!


 まさしく絶体絶命!!

 だけど、まるでこの機会を待っていたみたいに彼女はやって来たのだ。


 エンジン音が響き渡る。

 新設された湾岸道路を突っ走りながら、場違いなスポーツカーが登場した。


 モンスターたちが一斉に、そっちに釘付けになる。

 スポーツカーの上には、ピンクの髪をなびかせる、体操服姿の女の子が立っていた。

 ジャージの袖が肩のところで結ばれて、マントのように翻る。


「お前ら、こんきらーっ!!」


 彼女が挨拶をすると、周囲に光り輝くコメント欄が浮かび上がった。

 彼女に呼応する、リスナーのコメントだ。

 そりゃあもう凄まじい数。


 回りに展開していたモンスターが、光り輝くコメントに触れるや否やふっ飛ばされて、空中で『ウグワーッ!?』と叫んで消滅した。


『あわわわわわわ!! 来た、来てしまったぁぁぁぁ』


 フロータがガクガク震える。


 そう、あれが世界トップの配信者、きら星はづきだ。

 長官を襲っていた巨大半魚人の一匹が、オクトデーモンの指示を受けてきら星はづきに向かっていく。


 だけど、なんか「あちょー!」という間の抜けた声と同時に振り回された長物が、半魚人を迎撃する。

 巨大半魚人の巨体が打ち上げられた。


 物凄い勢いで空に向かってぶっ飛んでいく。


「ひえーっ!! 冗談でしょ」


 もう笑うしかない。

 配信者の頂点ってつまり、このレベルかあ。


 ぶっ飛んだ半魚人が『ウグワーッ』と叫んで爆発した。

 カウンター一閃で敵の幹部を吹っ飛ばす。

 いやあ、この場の空気が一瞬で塗り替わったね。


「みんな。来たよ来たよ。きら星はづきが来た! これからスパイス、はづきちゃんの配信に映り込んで同接を復活させようと思いまーす!!」


※『うおー!!』『がんばってー!!』『いけいけいけいけ!』『どうやって映り込むの?』マルチョウ『きら星はづきは、他の配信者の育成や発掘にも力を入れている配信者だ。より目立って彼女の目に止まれば……』


 そういうこと!

 オクトデーモンがきら星はづきに向き直り、とんでもない規模の決戦が始まろうとしている。


 きら星はづきが乗った車は、あろうことが水上を走り始め……。

 そのはづきご本人様は、なんとここで!


「えっとですね、これからもまだまだ凸待ちしてますんで、配信者の皆さんはどんどん凸してきてくれると……。あ、段取りとかもうふっとばすんで早い者勝ちで」


 決戦の舞台で凸待ちを始めた。

 これ、凸待ちっていうのは彼女に対してアポイントメントを図り、その場ですぐにコラボするみたいなそういう行為。


 特に今回のは、きら星はづきが面識のない新人とかを紹介する意味もあるってわけだ。

 つまり、スパイスのためにあるようなもの!


 みんなのAフォンに、今回の凸のザッコアドレスが表示された。

 スパイスは既にそこからアポを掛けている!

 この間、コンマ1秒だー!!

 元会社員を舐めるなー!


「あっあっ、ご新規さんどうぞ」


 繋がった!

 いかん、口の中がカラカラだ。

 スパイスも緊張してるらしい。


 ここは新人らしい、初々しい態度で……。

 フロータは完全に気配を殺してて全く当てにならないし!


「あのっ、自分、この間初配信した黒胡椒スパイスって言います! おじさんなんですけどバ美肉して、一念発起して配信したんです! あのはづきっちさんと話せるなんて光栄っす!」


「あー、どもどもです! 新人さんなんですか? 頑張ってくださいね! えっ、そのかわいい声でおじさん!? 最近のボイチェン凄いんですねえ」


 よし!

 紹介してもらえた!

 次の瞬間から、スパイスの同接がもりっと一桁増えた。


 これが……トップ配信者とのコラボパワー!!


 締めに、スパイスは言うべき言葉を投げかける。

 今日のこの決戦、確か彼女……きら星はづきの誕生日なのだ。


「凸待ちありがとうございましたー! お誕生日おめでとうございます!」


「こちらこそありがとうございますー。おめありです~! おつきら~!」


 ここで凸終わり!

 うおーっ!

 同接が跳ね上がり、体に力がみなぎる!!


「バーチャライズ! モード・メンタリス!」


 スパイスの姿がマインド・スパイスになった。


「ロックオンの、まとめてマインドチルじゃーい!!」


 群がっていたモンスターたちが、一気にスンッとなって動きが極端に鈍った。


「ここから、モード・イグナイト! そして連続ファイアボール! いけいけいけいけいけーっ!!」


 スパイスが指差すたびに、そこからファイアボールが飛んでいく。

 ぶっ飛ぶモンスターたち。


『ウグワ~』と断末魔もどこかチルってる。


「同接超増えてるねー! そんじゃあ行ってみますか、復活のぉ……ASMR!!」

お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。


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― 新着の感想 ―
確かこの大先輩ってば、「大魔王で勇者」だったんですよね。
いやはや、分かっていたとはいえひさびさのはづきっち成分ありがとうございました。
おお、とうとう繋がりました! そういや凸待ち始めた途端にいの一番でスパイスちゃんがアクセスしてきたし、はづきっちファンのいももちさんすら魅了した美声もASMRの修行の賜物でもあったわけですねぇ……しか…
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