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TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~  作者: あけちともあき
夏の魔女バトル

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第80話 長官、やってくる

「私だが」


「あっ大京長官! ようこそ我が家まで……」


 なんと、我が家に大京嗣也迷宮省長官が来訪!

 事前に来るという連絡をもらっていたが、まさか一人でやって来るとは。


 彼は帽子を深く被り、ブランド物のサングラスにライトブルーのポロシャツ姿だった。

 むき出しの二の腕が太い。

 国会議員の筋肉ではない。


 上背は俺と同じくらい。

 つまり180センチ台なかばくらいある。

 それでいて、肉の厚みが全然違う。


「君が黒胡椒スパイスくんだね。いや、あの時は少女の姿だったから、私からすると初対面なんだが」


 にっこり笑う長官。

 うーむ、男前なだけにちょっとの表情変化で印象が大きく変わる。

 案外親しみやすい人物なのかも知れない。


「ええ、そうです。お久しぶりです長官」


「ああ、よろしく頼む! 君には魔女方面の事件を集中的に対応してもらっているからな。迷宮省の手が回らず、下手な職員では逆に操られてしまうであろう危険な案件だ。助かっているよ」


「あー、いえいえ。色々ご助力いただいて……っと。外は暑いでしょう。中で涼んでいって下さい」


「助かる! 実は汗だくでね」


 また男くさい微笑みを浮かべて、長官が入ってきた。

 我が家はフローリングにカーペットを敷き、大きめのちゃぶ台が鎮座している。

 クッションを適当に使って座っていてもらうのだ。


 配信用のPCも実は座卓の上であり、俺は床に座りながら配信を行っていた。

 スパイス的にはこれが一番いいサイズなのだ。


 さて……現職国会議員は何を飲むんだ?

 そんないいお茶など我が家にはない。


「長官、とりあえずゼロコーラでいいですか」


「気を使わせてしまって済まないな。それでいい、ありがとう」


 茶菓子として、マシロの実家からもらった水ようかんなども出す。

 塩分使っているそうなんで、夏には最適なお菓子である。


 二人でしばらく、水ようかんを無言で食べた。

 美味いなこれ。


「私がここに来た理由だが、ムラカミくんから話があったと思う」


「ああ、はい。配信の視察に来るとか……。長官、配信にご興味が?」


「元現役として、興味がないと言えば嘘になる……。やはりあれかな。可愛いアバターを被って配信した方が?」


「長官は長官らしいやり方があるんじゃないですかね。というか現役国会議員のまま配信を?」


「任期はあと一年だからな……。信頼できる後進に迷宮省を任せたい……。だが私が党内ではかなり若手の方だからな……」


 まだ四十代だからなあ。


「今日はオフなんですか? あ、国会議員はオフとか無いですよね」


「ああ。任期中はずっと仕事みたいなものだな。体力には自信がある、問題ない。だが……子どもと過ごす時間が取れないのは悩みどころだがね」


 そりゃあ大変だ。

 では、お忙しい大京長官の気分転換のために、配信しているのをお見せしようということになった。


「精神の魔女が恐らく俺の配信を見て攻撃を仕掛けてきているので、これを利用して山奥に呼び寄せようと思ってるんですよ。具体的には被害の比較的少なそうな奥多摩湖か異世界辺りに……」


「なるほど……! それはいいと思う。こちらもその方向で調整して行こう……。では配信を見せてくれるかな?」


「了解です。ゲリラ配信の連絡をしますね。えー、長官がいることは話してしまっても?」


「構わないよ」


「ではちょっと役に入り込みますんで、失礼。フロータ」


『……主様、こいつヤバいですよー! 生身で英雄級のやつですよー! この間の八咫烏と同じタイプですってー!』


「強い人がいるとほんとに大人しくなるなあお前」


 ぶうぶう言うフロータを頭上に浮かせて、「メタモルフォーゼ!」と変身する。

 スパイス登場!!


「変身したよ! ほんじゃあ、昼間からゲリラ配信だよーって予告しますねー! 驚きのゲスト登場!!」


 ツブヤキックスに投稿したら、反応がぞくぞく返ってきた。


※『誰とコラボだろう?』『楽しみー!』『スパイスちゃんと並ぶと映えるのは可愛い系かな』『シロコちゃんじゃない?』


 ははは、まさかの迷宮省長官だよ!


 案の定、雑談配信が始まったらコメント欄に驚きの声が広がる。


※『長官じゃん!!』『国会議員と突発コラボすんのw!?』『黒胡椒スパイス、謎のツテ過ぎるw』


「なるほど、こうやって配信するわけか……。勉強になるなあ。ああ、リスナーの皆さん初めまして。迷宮省長官の大京嗣也です。本日は黒胡椒スパイスさんのお宅にお邪魔し、こうして配信の勉強をさせてもらっています」


「そうそう! 長官はスパイスの配信の弟子だぞー」


※『天下の大京嗣也を弟子扱いw!』『過去に街一つを救った英雄だぞw』『スパイスちゃんもでかくなったもんだなあ……』『まだちっちゃい幼女のままだけどな!』


「そうそう、スパイスは全然身長が伸びなくて……ってうるさーい!!」


「ふむふむ、これがノリツッコミ……。なるほどなるほど……」


※『本当に勉強してる!』『適切にメモを取ってて草なんだ』『ガチの長官に配信を体験させる配信じゃん』『これは物議を醸しだす配信』


「それじゃあ長官への質問を受け付けます! 政治的なのはピックしないからねー」


※『現役国会議員に政治以外の質問をする配信!?』『前代未聞過ぎるw』『今回のゲリラ配信やべーぞこれ!!』『好きな食べ物はなんですか?』


「好きな食べ物……そうだね。若い頃に妻があるファミレスでバイトをしていて……いや、私も妻も迷宮踏破者という、今で言う冒険配信者みたいなことをしていたんだ。その後にさらに働いて小遣いを稼ぐのが妻のスタンスで、私はよく通っていてね。そこで食べるドリアとパスタ、それから肉のサラダが今でも思い出せる大好物だね」


※『甘酸っぱい青春のメモリーが出てきたぞ』『何気に初出の情報じゃね!?』『あの大京嗣也も俺等と同じ人間だったんだなあ……』


 思ったより反応がいい!

 たまーに長官を呼んでコラボするのは手だな……!


 スパイスの計画に加えておこうっと。

 

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 まぁ大京さん前作でも活躍してましたからなぁ…フロータがスペック凄ぇ!ってなるのも仕方ないですな。……はづきちゃんに直接会ったら失神(?)するんじゃないかなフロータww それでは…
長官、この頃から既に配信の勉強をしてたのかw
お役所のトップ!
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