表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~  作者: あけちともあき
異世界探索編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/373

第54話 異世界剣術特訓配信

「うひょー! ここが異世界かあ! いやあ、あの魔女と戦った時もちょっと見えたけどよ。まさかこんなにあからさまに異世界だとはなあ……! 自分が降り立つなんて考えてもいなかったぜー!!」


「チャラウェイテンション高いねえ」


 俺が感心すると、チャラウェイがウェイウェイ言ってきた。

 当然だろみたいなノリらしい。

 そして八咫烏もまた、嬉しそうに異世界の土の上でポンポン跳んでいる。


「石畳だねー。異国情緒を感じるなあ。苔むしてるし壊れてるから、随分古いのかな? これは調査が待たれるねー」


 背後では、ムラカミ姿のシノが説明をしてくれた。


「今、迷宮省の調査チームが組まれているところですので。異世界は無限の可能性を秘めているとこちらは考えています」


 どうやら仕事モードの時はこっちで、配信でスパイスのサポートをする時はシノ、我が家で休憩しているときは狐の姿になっているらしい。

 オンオフがはっきりしていらっしゃる。


「よーし、それじゃあスパイスちゃん……さん?」


「ああ、この姿だと呼びづらいですよね」


 八咫烏に配慮して、俺は変身することにした。


「メタモルフォーゼ・スパイス! イグナイトフォーム!」


『ん焼結ぅ!』


 白黒螺旋とオレンジの輝きに包まれ、俺はスパイスに変身!


「ってことでスパイスでーっす」


「うおー! スパイスさんがスパイスちゃんになった! でもどことなく仕草は似てるよね。じゃあ、僕がどこまで練習相手になるか、ちょっと試してみてよ。そうだな……僕はこの割り箸を使うんで」


 割り箸!?


「あの魔女と戦った時に使ってた、物を飛ばす魔法でよろしくね。おっと、こちらも……バーチャライズ」


 八咫烏が、上品なお兄ちゃんから黒いレザーコート姿のイケメンに変わった。

 髪の色は黒だが、インナーカラーが赤い。

 切れ長の目にすっと通った鼻梁。目頭と目尻に、赤い隈取みたいなのがうっすらされている。

 女性人気がありそうだなあー。


「それじゃあ、どうぞー」


 八咫烏は棒立ちだ。

 構えない系?


「えーと、それじゃあ手加減なく……」


『うおー、主様、魔法の怖さを分からせてやりましょう! いけいけいけいけいけ潰せ潰せ潰せ潰せ潰せ』


「フロータは常に物騒だなー! でも、威力あるの使わないと分かんないもんね! そーれ、瓦礫射出! フロート・アクセール!」


 猛烈な勢いで瓦礫が撃ち出された。

 当たったら怪我じゃすまないんじゃないかくらいの勢いだ。


 で、対する八咫烏は割り箸を持って棒立ち……と思ったら、既に割り箸が前に突き出されてる。

 瓦礫が割り箸と衝突した……と思った瞬間、瓦礫の軌道が明らかに変わった。

 ふわっと横に流されて、周囲の家屋に炸裂する。


「えっ、なに今の!?」


「受け流したんだよ。割り箸を剣に見立ててね。ほら、僕が配信でやってるでしょ、ラーフの銃身でモンスターの攻撃を受け流すの」


「そりゃあやってるけどー」


 眼の前の現実として見るのでは、ヤバさが違う。

 俺は次に、何発もの瓦礫を撃ち出した。

 これを、八咫烏は次々に割り箸で受け流して見せる。


 力を使っているようにも見えないのに、瓦礫は全くこの男に届かない!

 なんだこいつー!


「攻撃も見せちゃおう。撃ってきてー」


「わかったー! おりゃー! いけー! アクセール!!」


 バシュッと撃ち出されたのは、真正面からの瓦礫。

 これを八咫烏は握った割り箸で、真っ向から打った。


 パンっと音がして、瓦礫が粉々に弾ける。

 割り箸は無事。

 瓦礫の破片がこっちに飛んできて、スパイスの頭の上を通過した。

 うひょー!


 どういうこと!?


「これはね、瓦礫の勢いを割り箸から体で吸収して、ぐるっと回転させてまるごと瓦礫に戻してやったら、自分の力で壊れてしまったのさ。ごく基本的なカウンターだね」


「基本じゃねえからな! おかしいからな!」


 チャラウェイの突っ込みに、スパイスもムラカミも頷くしかない!

 なるほど、剣の先生としては適格なのだ。

 というか意味がわからない次元の剣の腕だな!


 でも、これはリスナーに受ける。

 ということで始めてみました、配信!


「どーも! こんちゃー! 魔法少女な配信者、黒胡椒スパイスでーっす! 今日は突発のコラボだぞ!」


※『こんちゃー!』『スパイスちゃんかわいいー!』『あれっ、八咫烏とチャラウェイいるじゃん!!』


「そーなんです! 今日はスパイス、新魔法の特訓をするんだけど……そのためには二人の協力が必要なんですー! お呼びしちゃいました!」


「どうもどうも、八咫烏でーす。今日はね、普段のラーフからこのビニールの剣に持ち替えて剣術のお相手をします。あ、難燃性だよ」


 ビニール剣をびよんびよん曲げて見せる八咫烏。

 さっきは割り箸だったけど、配信では見栄えを重視して剣の形のものを使うんだそうだ。


「ヒャッハー! 俺はまあおまけなんだけど、せっかくなんで参加していくぜ! 二人がやってる間、異世界を歩き回って俺のチャンネルで配信するからよろしくな!」


「うちが補佐しますねえ」


※『幼女と野獣!』『シノちゃんとヒャッハーがw!』


 うんうん、そっちはお二人に任せて……。

 それじゃあ行ってみよう。


「噴き出せ、トーチ! はいみんな注目ー! これが新魔法だよ! 筒から炎が噴き出して剣みたいになります! 灯りとして使う魔法なんだけど、まずは炎の扱いに慣れるために、戦闘でも使っちゃうね! ここに芯として細長く切ったトイレットペーパーの芯を投入して……刀身としてかっこをつける……」


※『トイペの芯から炎が!?』『燃えないの!?』『もうちょっとさあ、絵面ぁw!』


『んんんいいぞ主ぃー! まるで剣だぁー! なお、芯が燃え尽きるまで一分くらいだから素早くなぁ』


「はあい。行くぞ八咫烏さん!」


「いつでもどうぞー!」


「おりゃー!」


「おっ、なかなかの気迫!」


 炎の剣と、ビニールの剣がばしばし切り結ぶ。

 八咫烏は、わざとオーバーアクションして見栄え良くしてくれている。

 本来なら不動で圧倒できる腕前だが、そこはプロの配信者なのだ。


 で、素人剣術のスパイスをよく見せてくれている。

 ありがたいなー。


 芯が燃え尽きたところで、八咫烏からの指導が入った。


「踏み込みはこんな感じで、剣の振りはこうかな? スパイスちゃんの気合が入ってると、炎もちょっと実体みたいになるっぽくて、受け止めた手応えが凄かったよ」


「なるほどー! ありがとー!」


※『八咫烏の手がスパイスちゃんの腰に!』『ピピーッ、事案、事案! イエスロリータノータッチ警察です!』『おじさんとおじさんじゃないのか……?』


 八咫烏の配信のコメントも、大いに沸き立っているようだ。

 だが、あらかじめ八咫烏がスパイスをおじさんだと説明していたので、吹き上がる勢は少ない。


 目に余ると八咫烏担当のスタッフがそのリスナーをBANするそうなんで、安全みたいだね。

 ガチ恋されそうな感じの配信者は大変だなあ。


 その日用意したトイレットペーパーの芯は5つ。

 これを使い切るまで指導を受けて、ちょっとは形になってきた気がするのだった。


 うーん、スパイスの体は覚えがいいぞ!

 若さと、思考に忠実に追従してくれる肉体性能がある。


「イグナイトとしてはどう?」


『んんんトーチはこれで完成ぃぃぃぃ! ファイアボールを学んでもぉ、いいだろぉー!』


「やったー!!」


※『ファイアボールマジ!?』『ゲームでもよく見る魔法じゃん!』『いよいよ魔法使いっぽくなってきたなスパイスちゃん!』『剣の修業とファイアボールにどういうつながりが……?』


 かくして色々な反応を呼びつつ、俺は新たなステップに進むのだ。

 ありがとう八咫烏、チャラウェイ。

 この後、近場の焼肉屋で打ち上げしよう。



お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
意外にも魔法使い系も、ファンタジーで剣使ってるんだよね。 ハリーポッターとか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ