第362話 決戦打ち合わせ
モード・フロッピーは万能だった!
フロータに準ずるくらいの飛行能力!
それなりに炎を出す力!
ある程度水を操る力!
精神的な衝撃を打ち込む力!
様々な状況に対応できる便利魔法をそれなりのレベルで!
風と氷をそこそこ操る力!
「ある程度の強さだねえ……!」
『お姉様、お兄様がたの魔法を現代魔法で解釈するとこうなる、くらいの強さになります。ですがこれは私一人で行使した場合ですので、マスターが一緒ですと全く変わりますよ』
「なるほどー。スパイスと合わさることで、本当の強さが発揮されるわけだ!」
あのゲーミングスパイスモードが、フロッピーと融合した姿だ。
魔導書を持ってなかった時の、スパイス本来の姿と言えるかも知れない。
『なるほどー。私達の薫陶もまだまだ足りませんね!』
『あらぁー! ここからはアタシの出番よ? 世界から魔力を吸い上げようとしちゃダ・メ。魔力は練り上げ、回転させ、少量の魔力を呼び水にして内なるタービンを回し、さらに魔力を作り出すものなのよ! やり方教えるわねえ』
おっと!
パワード先生の個人授業だ!
アクションスパイスの姿になったパワードが、フロッピーと並んでなんか特訓をつけてるなあ。
フロッピーが更に強くなる予感。
『個人が持つものとしては過剰戦力であろうな。ま、この世界であればスパイスくらいの力があっても問題は無かろう。魔導書を管理できるというのが得難い才能よ』
「あっ、どうもどうも」
社長からお褒めの言葉を頂いた。
ダンジョンが現実に溢れるようになり、そこでしか見かけなかったモンスターと町中遭遇する可能性が出てきた現代。
力がある人が増えて、街を守れるようになるというのは重要なのだ。
そしてスパイスはそれ以上に……。
「そろそろ決戦を仕掛けたいんですよね」
同席していた社長がふむ、と唸った。
『準備は整ったか』
「ええ。あんま長くやってると世界の方の緊張がなくなるし、アネットも慣れてきちゃうから。今のあいつがいっぱいいっぱいの状態で、世界もピリッとした感じで対抗してる時がチャンスだと思いますね!」
『確かにな……。世の中をどう動かし、かの魔女と戦う?』
「今分かっている限りのアネットのアジトに総攻撃。世界で同時にやってもらいます! で、苦し紛れに日本に仕掛けてくると思うんで、これを撃破した後、スパイスはダークチャイルドから提供されたアネットアジトの位置情報のとこまで全速力で挑発に行って、全速力で逃げます! そこから世界巡りじゃないですかね」
『あやつを世界中引きずり回し、全世界の強者から一撃浴びせようというわけか! わっはっは! 面白い!』
実に楽しげに笑う社長なのだ。
『我が加われば、都市を破壊してしまうであろう。今ではこの人間どもという生き物に少しは愛着が湧いている。我に手出しさせずに、魔女を退治してみせるがいい』
「了解です!」
社長が出てきたら、とんでもない被害が出るからねー。
恐らくはづきちゃんを抜けば、最強の存在であるドラゴンだ。
だけど、あまりにも大きくて強大過ぎて、加減ができない。
スパイスが守りたいものまで全部なくなってしまう可能性がある!
アネットとの戦いは、まさしくスパイス次第なんだなあ。
さて、世界中に檄文を飛ばさないと!
対アネット包囲網が、現在は外へ溢れ出すダンジョンへの対抗策にもなっている。
スパイスのためだけに色々させて申し訳ないなあと思ってたけど、結果的にいい方に転がってるね。
「アネットとの戦いを行うための協力を要請っと。これが最も古き魔女との最後のバトルである! みたいな。……あっ、ダークチャイルドから連絡が来た! ハロー」
『ハロースパイス。吾輩はついに魔女の居場所を突き止めたぞ。彼奴は宇宙にいると見せかけ……大西洋の水底に潜んでいる』
「えーっ!? それってどういう……」
ハッとしたぞ!
フロータとマリンナ、双方の使い手がぶつかり合って一つの大陸を沈めた事件が太古にあった。
アトランティス大陸だ!
あいつ、沈んだアトランティスを拠点にしてるのだ!
もしかすると、古代アトランティス大陸の住人だったのかも知れない。
『あーなるほど、ありえますねー!』
フロータはそんな事を言っているが、詳しい内容をあまり覚えてないくさいぞ!
「よっしゃ、そんじゃあ世界中でアネットのアジト支部を攻撃してもらい! その最中にスパイスはアトランティス急襲! アネットを激怒させて引きずり出し、世界中を飛び回って強い人たちの総攻撃の手を借りる! これで決定だねえ」
『ん主の負担が凄まじい作戦だぁ!!』
『海の中は私がいれば安全ですけどねぇ』
『ここはあっし、通信役に徹するのが良さそうでやんすね。広域テレパシーで該当する配信者や現地の強者への連絡要員を担当するでやんすよ!』
『ってことは、ミーはメンタリスのサポートざんすねー。メンバーのデータ化はやっておくざんすよ~!』
『あたしはどうしようかしら? とりあえず、アネットの妨害ね!』
『うっしゃー!! 全員の魔力は引き受けたわよぉーっ! 全力で行きましょ!』
『ってことでー! 黒胡椒スパイス魔導書チーム~!! ファイトー!!』
『『『『『『『おーっ!!』』』』』』』
七冊がウオーっと盛り上がる!!
『こやつらが共闘することは、歴史上一度も無かったであろうな。ひょっとすれば我に届く力となるぞ。この星を渡る竜にな』
社長がニヤニヤしている。
なんか楽しそうだ。
そして我が家のベイビーズは、ニコニコしながら手をパチパチしていた。
君たちの未来はパパが守るからな!
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