第357話 スパイス、日本への帰還。色々まとまったっぽい
色々とやっつけて。
メカはづきとベルっちの共闘も見て。
ウィンディの家にも泊まったということで!
日本へ帰還するのだ。
マシロから、『アメリカ行ったと思ったらなんか配信が少ない気がする!』というツッコミが飛んできていた。
ベイビーたちを任せっぱなしですまんね!
今スパイスは、日本に戻る~!
『いやあー、充実した大罪……もとい滞在でした』
「ダブルミーニング!」
向こうで調達したゆったりパーカーを纏ったベルっちが、ビジネスクラスの席に深く腰掛けてまったりしている。
あっ、早速機内食を。
「メカはづきどうだった?」
『しっかりしてますけど、人の心が分からないロボットでマシンっていう感じなので、仲間たちのフォローが大切そうですねー。私の本体も人間の心の機微をイマイチ理解してないけど』
「一番人間的だったのはベルっちだったという」
『あるある!』
わははと盛り上がり、飛行機は空へ。
あの後、アネットの分身が一体飛んできて、西海岸をうろうろしてたらしい。
だけど気配を消したスパイスは見つけられず撤退していったとか。
うーん、本体は多分欧州かそこの縦軸のどこかにいるだろうから、そこからアメリカを探ると精度が低いのな。
自ら動いてきたらいいのに。
「あっ! イギリスであいつの本体が暴れたんだな!? ルシファー議員が怪我をして危ないところだったらしい! 謎の女子大生がエントリーしてきて、その場にいた尖兵とか分身が一掃されたんで慌てて撤退したって書いてある」
『知ってる女子大生な気がするなあ~』
「不思議だなー、スパイスもそうなんだよねー」
これで、アネットが欧州を拠点にして動いていることは確定。
そして今後はイギリスを避けるようになることも確定。
「グスタフさんに連絡して、場合によってはオンライン会議か、スパイスが向こうに飛ぶか……」
『あら大変』
ベルっちが他人事みたいに言うのだった。
まあ他人事だからね!
彼女は彼女で、Aギルドの役員の立場にある。
忙しい身なのだ!
『日米のAギルドの連携を取り付けたから、今度は向こうが来日するって。アメリカ式の滲み出してくるダンジョンが今後は主流になるかもですねえ』
「冒険配信者のスタイルが変わるねー。ダンジョンオンリーじゃなくて、日常的に活動する感じ?」
『ですねえ。スタンピードのちっちゃいのがカジュアルに起きやすくなったみたいな……』
異種族の人たちも巷にはたくさんいるし、以前より対策はしやすいだろう。
だが、色々な意味で油断できなくなる社会になりそうだ。
そして一眠りしている間に、飛行機は日本に到着!
時差でポワーンとした頭のまま、スパイス……いや、俺は自宅に帰るのだった。
「パパお帰りなさーい!」
「おう、ただいまママー」
子供の前では、パパ、ママと呼び合うことにしている俺とマシロなのだ。
ベイビーズがキャッキャッとご機嫌で出迎えてくれる。
なにっ、水でできた乳母車みたいなのに乗って、ミナトとホムラが来た!
「こ、これは一体……」
『ふふふ、移動したいと願うミナトさんのイメージを私が形にしたんですよぅ。彼って天才かも知れません。まあ100%の力を使うには主様みたいに魔法少女になる必要があるんですけど』
おお、我が息子も魔法少女化する運命からは逃れられないか。
なお、ホムラは活動的だし、色々ものを掴んではペイっと投げる性分なので、これは炎の魔法を覚えるには早かろうとイグナイトは思っているようだ。
『ん俺はぁ、遠き道のりだなぁ。のんびり行くぜぇ!』
コツコツやるのもいけるんだな、イグナイト。
「さて、留守中は任せてたが、どうだったカラフリー?」
『フヒョヒョ、問題ナッシングざんす!』
配信部屋から出てきたのは、色違いのブライトスパイス姿のカラフリー。
この姿で、俺の仕事を引き継いで作業してくれていたのだ。
『全国的に、尖兵であれば対処が容易になったざんす。昨日は市内にも出てきて、ガードマスクが対処したざんすねー。ミーが手を貸したざんす!』
「おおーっ!! ガードマスクとカラフリーの共同戦線! 魔力は大丈夫だった?」
『彼の動きをちょっとサポートしただけざんすからねー。この姿でマスターの代理人として共闘を呼びかけて、魔導書に戻ってちょいと彼のパワーを上げてやったざんすよ』
おっ、その戦いのアーカイブあるじゃん!
再生数が十万回くらいになってる!
ガードマスクの配信の中だと、トップクラスじゃないか?
一番再生されてるのはスパイスとの共闘だけど。
どれどれ?
『カラフリーさんが背中を押してくれている! うおおーっ! 俺は前に進むだけだぁーっ!! 街を……この世界を壊すことは、ゆるっさんっ……!!』
尖兵は黒い影に、金属の蜘蛛の足がついたようなやつで、真っ黒な糸を放って相手を拘束し、足で突き刺してくるタイプだった。
糸を片手で受け止めながら、カラフリーの輝きを纏ったガードマスクが突き進む。
おおーっ!
拳で蜘蛛の足と真っ向から打ち合う!
ガードマスクが押し勝って、足の一本を粉砕!
その勢いで、ガードマスクが前進する!
強引に相手の間合いを割って行き、ついにガードマスクの間合いだ。
この戦い方というか、相手のやろうとしたことを真っ向から潰して自分の攻撃をねじ込むスタイル。
スレイヤーさんに似ている。
インスパイヤされたな!
至近距離からのモデルガン連射と、そこからのナックルによる全力殴打!
尖兵が『ウグワーッ!? 弱小配信者じゃなかったのかよぉーっ!!』とか叫びながらぶっ飛ばされていった。
そこに突然古い電車が走ってきて、尖兵を粉砕する。
スドーさんじゃん!!
「スドーさんいたの!?」
『たまたま、山奥の方の沿線を取材してたそうざんす。そうしたらガードマスクが戦ってたので手を貸してくれたざんすねー』
「ほおー。やっぱりあの人は生身でもめちゃくちゃ強いな。そしてガードマスクの成長も見られた」
今度、彼の店にパンを買いに行ってねぎらおう。
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