第346話 カリフォルニア上陸!
到着と同時に、スパイスにメタモルフォーゼ!
「うおー! カリフォルニアだー!! まだちょっと涼しくない?」
『ここは海際なんでまだ安定してるって聞いてますけど』
「そっかー」
ベルゼブブと一緒に搭乗橋を通って空港の中へ。
うーん!
閉鎖された飛行機の中にいたから、開放感が半端ない。
「スノーホワイトは里帰りでしょ」
『あのねー、この国ってすっごく広いから、カリフォルニアはカンザスからすると外国みたいなもんなの。一つの州が一つの国って言っていいんだからね!』
「そっかー」
日本からは想像もできない価値観だ!
なんだかんだ、どこの県にいても日本だーって感じはあるからなー。
「ハーイ! スパイス~! ベル~! ウェルカムアメリカ~!」
なんか、露出度の高い赤と白のスーツを着た黒人の女の人が、両手に小さい旗を持って出迎えてくれた。
「あっ、もしやダーツの名手のガネット?」
「イエース!」
ここからはフロッピーが同時通訳してくれているので、お互いの言葉で会話します!
フロッピー優秀~!
『ふふふ、色々な機能を搭載していっていますから。不思議なことに、メモリもストレージもどんどん増えていっていて全く問題がないんです』
フロッピーは魔導書化していってるからねー。
さて、ガネットに連れられてタクシーに乗り込む。
「まず、私たちガーディアンズについて話をしてもいい? それともカリフォルニアの観光案内がお好み? ここって私のホームだから、詳しいわよー!」
「そんじゃあ、観光で! どうせみんなこっちに合流してくるんでしょ?」
『話の中心はスパイスちゃんだもんねー』
「ショウゴの時は敬語なのに、スパイスになるとベルっちタメ口になってる!」
『見た目かわいい女の子だからねー。よしよし~』
「ああー、撫でられてる~」
「これはあくまで興味があって聞くだけだから、失礼だったらゴメンだけど、二人ってそういう関係だったり?」
「しませえん!!」
『魔王はたまたま人の姿をしてるだけで、本質的には悪魔なので』
「オッケーオッケー。今って世の中に配慮して、そういうセクシャリティですーってロールをした方がスポンサー受けが良かったりするから。なお、うちのチームはノーマルとよく分かんないのしかいないわ」
メカはづきはよく分かんないだろうなー。
カイワレは実家がそういうの厳しくて、厳格に育てられた結果、恋愛対象がフィギュアになってしまった男だ!
ガネットはメンバーの集まりに関してスマホで調べた後、
「レイリアが今は太り過ぎで動けないから、ちょっとビームで消費してから来るって」
「あー、あの脂肪をエネルギー源にしてレールガンやる人! どういう構造なんだろう」
「持って生まれた魔法なんだってさ。いやあー、私やマイキーは普通の人間なので、そういう超人のことはよく分からん!」
『脂肪をエネルギーにできるのは、はづきが羨ましがりそうだなー』
「そっか! ベルははづきの分身だったもんね? うちのディーヴァとも似てるけど、全然雰囲気が違うから見間違うことはないなあ。なんていうか一番普通な感じ? 社会生活とかきちんとやってそう」
『魔王に対してそれは営業妨害なんで……』
「オー、ソーリー!」
ガネットさんは明るい人だなあ。
彼女、ダーツがめったやたら上手かったから配信してたら、ダンジョンに巻き込まれ……。
ダーツ投げでダンジョンボスを倒してから配信者デビュー。
某大手バーガーチェーン店の店員さんを退職し、配信一本でほそぼそ食べて行ってたら、メカはづき発動の場に居合わせてから色々あって……。
それでガーディアンズの一員になったという経歴がある人なのだ。
持ってる~!
「私やマイキーはね、見た目がすっごく地味でしょ? いや、能力もすっごく地味! 能力っていうか鍛えてできるようになった技術だもん。なので、全部ディーヴァ一人でいいんじゃないか? みたいに言われないように頑張ってるの!」
「ディーヴァってメカはづきね。確かに一人で全てのことができてしまうもんなあ」
「あれはステイツのみんなが、オールマイティなヒロインを望んだ結果生まれてきた女神だと思ってるわ。主とは全然違う方面の神様」
『宗教関係がややこしくなる~!』
「魔王がなんか言ってる!」
もうね、この世界は宗教観はめちゃくちゃですよ!
悪魔とか現実に出てきて、人間とキャッキャウフフしながら仲良く暮らしてるわけだもんね。
世界的には上手く折り合いを付けてて、本来悪魔とされた人外は異世界からの客人と設定し、人間が変化してしまうデーモンを悪魔や悪霊と分類する方向で行っているようだ。
「マイキー走ってくるって。明後日にならないと会えないと思う」
「そんなに」
「ダークチャイルドはカイワレ乗せて飛んでくるって」
「仲良しなの?」
「ダークチャイルド、アニメ好きだからねー」
カイワレがメンターみたいな立場になってるのね。
そしてメカはづきはどこにでも即座に飛び込んでこれる。
万能の超人だからね!
『ガーディアンズ、内部構造になかなか問題を抱えてそうな集団だなあ……』
しみじみと呟くベルゼブブなのだった。
ほんとに彼女、はづきっちから出てきたとは思えない常識人だなあ……。
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