第344話 バーチャル空間で思わぬ面子会議だぞ!!
「どーもどーも。集まってくれてありがとうございまーす!!」
ここはVRロビー。
スパイスが主催した、世界の魔女担当者会議が行われているのだ!
『お久しぶりですスパイスさん。こちらは各地のエクソシスト協会もかの魔女の攻撃を受けたことで、危機感を共有できているようです』
「グスタフさんお久しぶりー! そっかそっかー。派閥の関係とかあるから、共闘は厳しいかなーと思ってたけど案外なんとかなりそうかあ」
グスタフのアバターは、アゴヒゲのあるナイスミドルでダンディなやつだ!
彼には、東欧方面での連絡役をお願いしているのだ。
東欧のリーダーはオーストリア・エクソシスト協会の長であるあのおばさまだぞ。
『ええ。東欧側はまとまりましたが、西欧側がなかなか強硬で。英国をまとめてくれているルシファー議員があれですしね』
「そっか、大罪だもんねえ」
その場に集まったみんなでわっはっはと笑った。
『彼らのことは私に任せて下さい。英国にいる本体と連絡を取り、彼女の名を使ってまとめましょう』
ここで米国担当から心強い声が!
ありがたーい!
『日本からオセアニアに関しては問題なしだ。みんな協力的で助かる。まさか君がこれだけ大きな集まりを統括することになるとはな』
「いやいや、スレイヤーさんのカリスマも絶対あるって!」
お馴染み、スレイヤーV!
日本のみならず世界的に有名な迷宮踏破者なんだよなあ。
オセアニアの地域では、配信者はそこまで大きく活動できていない。
そのために日本のAギルドがフォローしつつ、対魔女戦線的なものに協力してもらってるってわけだ。
「頼むよスレイヤーさん!」
『ああ、任せてもらおう。とは言っても、Aギルドが大半の仕事をしているがな。オセアニア支部が作られることが決定しているぞ。シドニーに拠点が置かれる』
「話が進んでるー!! 色々期待しちゃっていいんですかー!?」
『いいぞいいぞ!』
パパとしても先輩だし、ダンジョンに挑む仲間としても先輩だし、頼れる~!
そして、今度はアジア方面の担当をしてくれるのが……。
『いやー!! VRは面白いのう!! まあ仙術には、若返ったり性別を変えたりするものもたくさんあるが、気軽ではないからの!』
銀髪に道服の幼女がいる!
これ、普賢真人ね。
声もボイチェンが掛かっててちっちゃい女の子のものになってる!
「普賢真人、まさか魔法少女デビューする……!?」
『してもいいかもしれん……!! ああ、それはそうとこちらは順調ぞ。なにせ、中華は一度滅んだみたいなものだからの。残った僅かな地域には、今の世界に融和的な人間ばかりが残っておる。お主の決定に異議は唱えぬさ』
「ありがたーい! いや、十億人規模の犠牲者が出てるから良かったとは言えないんだけど!」
『数こそ多いが、世界的にも比率はそんなものであろうな。だからこそこれ以上やられるわけにはいかん。我が国でも、哪吒太子の起動が間近ゆえな』
「なたたいし?」
『中華メカはづきじゃよ』
「ナタクになるの!? あー、でも納得」
『ほう、後輩ですね』
米国代表の不敵な声がする。
さて、そんな米国代表だけど……。
鋼の色のスキンをした、ジャージ姿の女子。
ディテールははづきちゃんなんだけど、無表情でメカっぽいんだよなあ。
そう、メカはづきです!
『アメリカは完璧ですよ。私たちガーディアンズがいますから』
「尖兵とか分身を撃退してるらしいじゃん」
『ええ。我々は完璧ですから。まずカイワレを敵にぶつけ、そこをカイワレごと集中攻撃で勝ちます』
「ダーティな戦法だ!!」
『私一人でいいんじゃないかって言われがちな集まりですので、みんなの見せ場を作るようにしているのです。ダーツを投げるだけの人とか、常人の三倍くらい運動できるだけの人とかもいるので』
「パワーの格差がすごーい!! その凸凹がなんからしいよねえ」
アメリカを守るガーディアンズは現在六人。
無敵の盾カイワレに、ダーツの名手ガネット。
元オリンピック十種競技代表選手のマイキー、悪魔の力を使いこなす黒い炎のダークチャイルド、普段はふとっちょで自分の脂肪をエネルギーにしてビームを放つレールガン・レイリア。
そして空を飛び、目からビームを撃ち、口から炎を吐き、指先から引力光線を放ち、20万トンタンカーを持ち上げる怪力があって、核爆発にも耐える防御力と高速再生能力、完全な暗闇を見通す暗視力に完璧なエコロケーション能力、ごく短時間の予知能力があり一瞬ならきら星はづきのパワーを模倣できるメカはづき。
全部メカはづきでいいんじゃないかなー!?
防御力だけカイワレがアウトソーシングできるけど。
『みんな活躍するからチームなのです。あと絵的にも人間の範囲にいる人が頑張るとかなり受けるのです。これは重要です』
「ほんとにねー! メカはづきちゃんは完全にプロの目線になっている」
『そこでスパイスさん、ちょっと質問なんですが』
ここでグスタフさんが挙手した。
「はーい、なんですか?」
『世界に注意喚起を行ってまで、これだけの規模で魔女との戦いを繰り広げていく事を世間にアピールするのは一体どういう意図があってですか? 結果的に共通の敵を得て、それも手が届くレベルなので皆の共闘が可能になっています。交流も生まれ始めていますから、いいことだとは思うのですが。そこまでやる理由はなんだろうという純粋な疑問です』
「それはねー、かなり実利的な理由なんだけど! 世界中で魔女に対抗する機運が盛り上がると、あいつの目がそっちを見るしかなくなるでしょ。あいつ、他人を信用できないっぽいからワンオペでやってるし」
『なるほど……。魔女の隙を作る意味もあると』
「そういうこと! その間にこっちでどんどん準備をして、包囲網を完成させていく! で、あいつのパワーを削ぎ落としつつここぞと言うタイミングでぶん殴るわけ!」
その場に集まったみんなが、なるほどーっと納得したのだった。
『スパイス代表』
「スパイス代表!?」
メカはづきに呼ばれて目を剥くスパイスだぞ。
『対魔女包囲網の代表ではないですか。視察に来ますか? あなたが全速力で飛んできても、分身程度なら我々で対処できます』
「な、なるほど~!」
アメリカ行き、やっちゃうか~!?
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