第343話 全国にグッズが発送されたぞ!
さて……。
イベントで販売したグッズは先行生産分。
無事に売り切れて、イベント参加できたお肉どもの手に渡ったことと思う。
そしてついに……!
ネットで受注したグッズの生産が完了!
全国に向けてスパイスのグッズが発送されていくぞ。
「よしよしよし。めちゃくちゃ売れてる。どうしてずっとグッズ作ってなかったんだ。今までこんな簡単なことにも気付かないくらいにいっぱいいっぱいだったか」
うーむと唸る俺なのだ。
今はショウゴモード。
受注してくれたお肉どもの居住地をチェックすると、見事に日本全国にばらける。
万単位で売れてるからね。
これが彼らの手に届くことで、お肉どもとスパイスの強固な結びつきが生まれるのだ。
『主様、グッズはどうして重要なんですか?』
「それはだなフロータ。きら星はづきによって発見された事象なんだが、その配信者に関するグッズは偶像足り得るんだ。このグッズに祈り、グッズを愛でることで非配信時でも同接パワーが集まることになる。事実、きら星はづきは配信していなくても無法な強さを誇った。そういうことだな」
『なるほどー! ではアネット相手に有利ですね! ヒョイッと襲われても問題ないという』
「そういうこと。この間の分身相手に、割といい勝負できたでしょ。あれはグッズが先行頒布されてたからというのは間違いなくある」
魔女としての力に、同接ブーストがかかるからね。
完全体でなくても、分身程度なら圧倒できる。
なお、同接ブーストがオマケにしかならない実力者というのもいて……。
八咫烏とスレイヤーVとDizさんね。
あの三人は本体がチートだ。
イラちゃん曰く、それと並ぶレベルのがあと四人この国にいるらしいけど。
はづきちゃんを除くの?
つわもの多いなあ!
特級戦力扱いされてないってことは、配信をしていないんだと思う。
「スパイス……じゃない、俺の見立てでは、この特級戦力級でも単体ではアネットと戦えないな。複数人集まる必要があるが、うち四人が配信者ではないなら、各個撃破されると苦しい」
『まーた主様が色々心配し始めましたね』
「次から次に心配の種が出てくるからな……」
そうこうしていたら、我が家のちび二人がパタパタと動き始めた。
はいはいしながら、俺のところに突進してくる。
「あうばー!」
「うおー! ホムラのはいはいは速いなあ! そしてミナトはちょっと進んでは物思う顔をしている。双子だが個性が大きく分かれたな」
今、マシロは会社関係の仕事をすべく、配信ルームでうんうん唸っている。
在宅の仕事になったのに、むしろ業務は大変になったな?
「おっ? なんかこう……力がみなぎってくる感じがある。ナチュラルにパワーが上がってきてるな」
『今まさにグッズが到着したところですねこれは!』
「まさしくな!」
ホムラを抱っこしながら、リビングのPCで配送状況を確認する。
もう、関東圏のお肉どもにはグッズが届いている頃だろう。
この急激なパワーアップも納得。
おっと、ミナトがはいはいよりもゴロゴロ転がる方を選んだな。
俺に向かって回転してくる。
そしてパッと起き上がると、なんか俺の腕を掴んでプルプル立ち上がった。
立った!?
「お、おおおおお! マシロ! マシロー!! ミナトが立った!!」
「な、な、なんですってー!」
配信部屋からマシロが転がり出てくる。
そして、俺につかまり立ちしているミナトを見て、「うおー!」と吠えた。
そうか、もう我が家のちび二人は生後九ヶ月になるのだ。
魔導書のケアがあったおかげで、何事もなくすくすくと育ってくれたなあ。
ホムラがじーっとミナトを見て、「むふーっ!」と鼻息を荒くしながら俺の太ももをぴしゃぴしゃ叩いた。
おっおっ、やる気だな。
弟にやられっぱなしじゃ、姉の威厳がないもんなあ。
なお、本人はまだ立ち上がる気がないらしく、俺の太ももを叩いただけで終わった。
寄りかかってまったりしているな。
「イグナイト、英才教育はどう?」
『ん炎の魔法は危険だからぁ、まだ何も教えてないぞぉ』
「それはそうだった」
つまりホムラは比較的、普通の活動的赤ちゃんとして育っていることになる。
なおマリンナ。
『ちっちゃい主様はぁ、簡単な水の魔法が使えますよぉ。でも魔法がまだイメージできないから、ほんとにちょっと水を出したり、触った水を小さく渦巻かせるくらいですね~』
「それでも赤ちゃん魔法使いと考えると凄い……えっ!? 魔法少女にならないのに魔法が使えるの!?」
『生まれてすぐに私と契約したからできるみたいですねー?』
凄い発見じゃない?
今は、マシロに抱っこされて撫で回され、パタパタしているミナトである。
なんだか分からんがママに褒められているというのを理解してるのかも知れない。
「うちのコたち、どんどん大きくなって……。もうすぐ二人と手を繋いでお散歩ができるッスねー」
「ほんとにな。楽しみだ。それまでにアネットはどうにかやっつけないとなあ」
俺の家族計画を邪魔させないためにも、アネット包囲網を完成させ、ぶっ倒してやるのだ!
配信者スパイスの完成度が上がるほどに、アネットに対する戦力が高くなるぞ!
頼むぞお肉ども、みんなの同接力をスパイスに注いでくれー。
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