第336話 誰だゾンビ連れてきたの!
説明しよう!
サバゲーにおけるゾンビとは!!
※タヌキ『ご存じないようですね!? サバゲーのゾンビってのは、このゲーム弾に当たると「ヒット」とか宣言しないといけないんですけど、そういうのせずにプレイ続行するやつのことです』
タヌキ詳しい!
この化け狸、サバゲーやってんなー?
なお、ゾンビはスレイヤーさんとカモちゃんの集中攻撃を食らっても、無視してパラララと弾を撒き散らしている。
誰だ誰だ、こんなの連れてきたやつは!
今回のサバゲー大会は配信者メインで、その紹介でしか一般人は参加できないはずだけど……。
「これは部外者の予感だねー!! スパイスの目は確かなのだ」
ここで、主催者から発表!
「ゾンビ退治です! 皆さんも一時的に復活! 魔法とかも解禁です!」
うおーっ!!
会場に響き渡る歓声!
ゾンビがビクッとして振り返った。
おや?
ゾンビからゆらりと糸のようなものが飛び出したような。
それが頭上につながり……。
こ、このゾンビ、何かに操られた人形的なサムシングだ!
「みんなー! こいつは人間じゃない、操り人形だ! こいつをやっつけて本体を引きずり出そう!」
こんな面白い大会に水を差そうとするやつ……。
そして本当に水を差せる能力があるやつ。
アネットしかいないでしょー。
っていうか、他人が面白がってると冷水をぶっかけようとする人っていうのはどこにでもいて、そういうのの一人がアネットによって尖兵にされたと考えるべきではないか。
あの魔女が好んで選びそうだもんねえ。
こうして、全ての配信者がゾンビに殺到!
降り注ぐBB弾の雨!
『ウグワーッ!?』
たかがBB弾と言えど、ゾンビ周辺の地面が埋まるくらい注がれると効く!
あとはリスナーたちからの応援もあるから、実際にダメージが入ってたりするんじゃない?
ゾンビはばったり倒れると、BB弾の上をツルーっと滑って頭から草むらに突っ込んで停止した。
ワーッと上がる大歓声。
※『ざまあああああああ』『クソゾンビwwwww』『つるーっと流れていったw』
「スパイスさん、油断しないで! 本体が来る!」
エミナちゃんが何かに気づいたようだ!
術を使って周囲を警戒してたみたい。
さっすがー。
「なんだってー!」
つまりそれって、操ってるゾンビがやられて悔しいからって、力で叩きのめしにやってくるってこと?
大人気なーい!
現れたのは、魔女アネットの尖兵。
なんかさっきのゾンビとそっくりの姿をしてるんだけど?
いや、全体的にちょっとみすぼらしい。
予算不足で装備が揃わなかった人みたいな。
武器もハンドガンだし。
『お、お、お、お前ら~っ!! 遊んで金をもらいやがってー!! 楽して金稼ぎなんか許せねえんだよぉぉぉぉ!! 引退しろ配信者ああああああ!!』
なんか戦う素振りも見せず、激昂して叫んでる!
「魔女の尖兵だー!! 狩るぞー!」
うおーっと盛り上がる配信者!
『ちょ、ちょっと待て! 俺は一人なのに弱いものいじめするのか!? や、やめろ! 善良な一般市民を攻撃するのは……』
「善良な一般市民は空中に浮かんでサバゲーゾンビを操って攻撃してこないもんね! おりゃー!!」
スパイスはダッシュからの連射だ!
ドランクが入ってるから、びしびし当たる度に向こうが酔っ払っていくぞ!
『ウグワーッ!! 頭がくらくらするーっ!!』
「私もいきます! くらえー!」
「まさか君が来てたとはなあ……。リスナーに妹がいることがバレてしまった」
「お兄様!? いいじゃありませんか。たまにしか帰ってこないんだから、これからは私が会いに来ますし!」
「ええーっ! 実家の監視が付くようなもんじゃん!」
おっ、兄妹がいちゃいちゃしてるぞ!
これを見た尖兵が、
『ああああああああリアル妹許せねえええええええ!!』
とか吹き上がるのだが!
森羅万象に対して怒ってるな君!
だが、八咫烏とエミナちゃんのコンビネーションに翻弄される。
左右からビシビシとBB弾を喰らい、後ろからトコトコやって来たシヅルさんに後頭部を撃たれ、さらに配信者たちが嵐のように弾丸を浴びせかけ。
シヅルさんもBB弾を喰らい。
「あーれー」
「シヅルさーん! んもー、みんなの射線上にトコトコ入ってくるから」
シヅルさんを回収して、BB弾の上を滑らせて行くのだ。
もう、尖兵の運命は風前の灯火!
無数のリスナーから直接ぶん殴られてるみたいなもんだからね。
『ウグワアアアアアアア!? な、なんで俺ばっかりーっ!! ひどいぃぃぃぃぃ!!』
みんなの楽しみに水を差したから、君自身がエンタメに変えられたんじゃないかな!
ってことで、尖兵はドカーンと爆発!
その体が全部BB弾になってばらばらーっと散らばったのだった。
アネットの尖兵になると、もう絶対に助からないのな。
うーん哀れ。
ここで運営、大会の再開を宣言!
さっきのバトルは八咫烏チームとスパイスチームのダブル勝利ということにして……。
昼休憩の後にまた一戦ということになったのだった。
「ああ~。とても楽しいですねえ。弾丸が飛び交う中、魔女として世界を股にかけていたころを思い出します」
「シヅルさんの物騒な思い出話が出たぞ」
「そりゃーこの人、幾つもある戦争中もアジア中飛び回ってたからなー」
「なんでイラちゃん見てきたみたいな事を言ってるの?」
「もみじちゃん、そりゃあ秘密だぜー」
「ただいま戻りました、皆さん。やっぱりお兄様ったら食生活が乱れてます! ユーバーイーツとやらで運んでもらっているのもファストフードばかりではありませんか! これは私が家に行ってお料理を作って差し上げないといけません!!」
みんなめいめい好き勝手にお喋りし、サバゲー大会を大いに楽しんだ。
配信者はリスナーの数、同接の数で強さが決まるから、こういう楽しい大会をちょこちょこ挟むのがベストな選択なんだよね。
名前やキャラの面白さを知ってもらえて、登録者も増えるチャンス!
楽しさと成り上がりを同時にやれるわけだ。
うーん、ダンジョン配信って、普段は命がけだけどいい仕事だねえ。
なお、もみじちゃんはなんと、修学旅行を抜け出して参加していたそうで……。
終了後、シヅルさんの鏡の魔法で即座に修学旅行へ合流!
忙しい~!
そしてそして、大会が終わって帰宅したスパイスをマシロが迎えてくれて……。
「あたし、仕事辞めるッス!! スパイスちゃんを法人化して経理とか雑務担当して節税して、そっち方面で利益を最大化するッス!!」
なんか凄い宣言をされたのだった!!
な、な、なんだってー!?
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