第325話 オフ会の気配
最も古き魔女アネット。
スパイスに一回ちょっかいを掛けてきてから、その動きがないな……。
慎重な相手っぽいから、厄介なんだよな、
絶対に裏で色々画策してる。
特に彼女、フロータの魔力を探っているから動きづらいったらない。
フライト封印状態だからね!
魔王の力を受け継いだっぽいアネットは、とんでもない力を手に入れているはず。
七冊の魔導書を揃えて行動しないと、スパイスは大変危ないのだ!
『こちらでも目撃情報があるのう』
「ほんとですか普賢真人」
『うむー。アネットが現れ、現状に不満を持つ妖怪や仙人たちが勧誘されておるようだ。奴め、己の組織を作り上げようとでもしているのか』
「うわー最悪!」
ちなみに、普賢真人とザッコで繋がっているスパイスなのだ!
最近の仙人はネットにも強いんだねえ。
『危機感は高まっておるぞ。大陸東方における対アネット勢力は、我ら仙人、そして水虎を頭目とする妖怪グループ、さらに配信者たち人間のグループで共闘する形になっておる。何人か行方不明になった者がおり、裏切ったと思われるからな』
「中国は臨戦態勢だー!! ところで普賢真人、ちょっと時間あります? 一緒にゲームしません?」
『配信かね? いいとも』
ということで!!
「こんちゃー! どーもー! 今日は仙人の普賢真人を招いてのコラボゲーム配信でーす! ひたすら山に登るゲーム!! 恐慌山脈!」
※『うおおおおおおお』『こんちゃー!!』『リアル仙人コラボ!!』『そんなことってあるw!?』
あるんだよなあー!
「さらにさらに、声を掛けたら来てくれました! ひさびさー! チャラちゃーん!」
『ウェーイ!! お前ら元気だったかー!? ドワーフどもが俺の手を離れて独り立ちしてよ。やっと暇ができたぜ!! 今日は山、登ってくぜヒャッハー!!』
「あと一人は、マリー・Dさんでーす! よろしくねー!」
『よろしくお願いしまーす! えっ、普賢真人さん、本当に仙人なんですか?』
『そうじゃよそうじゃよ』
あっ、普賢真人がデレデレしている!
仙人って意外と人間っぽいもんな。
さらに、冒険配信者は結果的に人間を超えた存在みたいになるため、ある程度以上の格の配信者は地仙相当なんだって。
なるほど、マリーさんは地仙扱いだから、普賢真人としてはデレデレ対象と……。
四十代の女性でも、普賢真人からすると超絶若いもんね。
なお、マリーさんは大学生の娘がいるなんて、信じられないくらい若作りなのだ!
こうして始まったゲーム配信。
『うおおおおおーっ!? 仙人たるわしが山登り程度でぇーっ!!』
「普賢真じーん!!」
『仙人が霊魂になっちまったぜ!!』
『絵的にはシュールだよねえ』
滑落した普賢真人を蘇生してから、またみんなで山登り!
このゲーム、スパイスとチャラちゃんがとにかく上手いぞ!
『なんとなくノリが分かっちまえば全然いけるよな! ヒャッハー! 登れ登れー!! あっ、俺の手を掴め』
『ありがとうございまーす!』
チャラちゃんがマリーさんを引き上げた。
『わしもわしも』
『はいはい』
「チャラちゃん面倒見がいいなあ」
『ウグワーッ!』
「あっ!! また普賢真人が落下した!!」
『仙郷にはゲームが無いからのう。これは暫定政府の宿舎から遊んでいるぞい』
「そっか、国外だからちょっとラグがあるんだ!」
こうしてワイワイと楽しくコラボ配信が終わる。
たまには冒険しないで、こうやってゲームだけしてもいいのだ!
『それではわしはこれで……』
「普賢真人ありがとー!」
『スパイス、この後発表があるんだろ?』
「そうそう! チャラちゃんトスサンキュー! えーとですね! スパイス、来月末に……オフ会をしまーす!! チケットはこちら!!」
元から計画していたオフ会だったのだ。
それとなく、お肉どもには伝えてあったけど……。
みんなの顔を直接見たいもんね。
今回は抽選制だけど、生配信でオフ会の様子も流しちゃうぞ。
※『うおおおおおおお!!』『生スパイスちゃん!』『現実でも幼女なんですか!?』『それを確認するため、我々は抽選に応募した!』
「狭き門だけど頑張って! お肉どもの応募、待ってるぜ!!」
『私も応募していいですか?』
「あ、どうぞどうぞ」
※『お肉どもの中にマリーさんが混じってる可能性あるの!?』『とんでもねえコラボになりそうだ』ランプ『うおおお応募ボタン乱打!!』
乱打やめてね!
こうして配信は終了!
四月末のイベントを待て!
配信が終わり、チャラちゃんやマリーさんと雑談をする。
『実際、ア……名前を言ってはいけないやつってのがスパイスにとっての宿敵みたいな感じになるんだろ?』
「そそ。かなーりヤバいやつ」
『うちの旦那もガンガン使ってやってくださいね。彼って戦闘民族みたいな人だから、強い相手を求めてて、スパイスさんが次々強敵と当たるのを本当に羨ましそうにしてるんで』
「スレイヤーさん頭戦闘民族過ぎる!」
まあ、彼の場合はAギルドのまとめ役もやっているし、多忙だしで存分に強者と戦えない状態になってるからねえ。
いや、五児の父にして元内閣の閣僚な人が、戦闘民族ってどうなんだって思うけど!
だけど、暇してるなら色々誘ってみるかあ!
『あっ、俺も暇が出来たぜ! 色々企画はしてるけど、それが動き出すのは半年後だし。今すぐの配信コラボなら大歓迎だぜ!』
「よーっし! じゃあ近い内になんかやろう!」
そういうことになるのだった。
なお、八咫烏はなうファンタジーのコンサート関連で大忙しだぞ。
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