第275話 スレイヤーVと配信するぞ!
「ってことでー! クリスマス直前にですね! スパイスはスレイヤーさんとコラボでーす! こんちゃー!」
※『こんちゃー!』『こんちゃ!』『今やAギルドの重鎮になったスパイスちゃんが……!!』『最近配信減ってて寂しかった!』
「ごめんねー! でも専従職員がワーッと追加されて、そろそろ教育も終わるんでスパイスは配信活動に戻りますからねー!」
「俺も配信主体になるぞ! みんな、待たせたな!!」
※『ギルドマスターが自由になるのw!』『スレイヤーさん、仕事しながら配信もしてたしなあ』『鉄人過ぎる』『スパイスちゃんは子育てあるからね!』
「そうだねー。うちのちびたちも大きくなってきたぞー。そして魔導書とセットで育ってるんで、生来の魔女みたいな感じになれる……」
※『英才教育~!!』『将来が楽しみすぎる』『二人が配信始めたら絶対登録するわ』
既にうちのコたちには予約済みのファンがいるんだな!
「ってことで、今回は中途半端な弱いダンジョンとかじゃなく、極めて危険なダンジョンをチョイスしました! ここはねー、労基を無視して無茶苦茶やりまくったら、頭がおかしくなった社員が刃物振り回して上司を刺したりして、血の海になったオフィスでー」
※『説明からもうヤバい』『知ってる! 社長と管理職だけ逃げたやつでしょ』『胸糞~!』『なお社長は金を回収にオフィス戻って、ダンジョン化してたから食われました』『誰も幸せになってない!』
「ってことで怨念渦巻くダンジョンなんだよねえ。以前、他の配信者が攻略したはずだったんだけど、魔王が出てきてからまたダンジョンとして復活したみたいで」
「スパイス、説明がちょっと長いかも知れないな。俺たちのルールは鉄拳で切り開くことだろ?」
「なんかそんな気がしてきた!!」
※『スパイスちゃんがスレイヤーの雄度高いオーラに毒されてる!』『まあスパイスちゃんもカッとなって行動するタイプのおじさんだから……』『スパイスちゃんはおじさんではない! 幼女だ!』
コメントがわあわあ盛り上がっている中で、ダンジョンオフィスに突入だ!
「Aギルドだ開けろー!!」
スレイヤーさんがダンジョン入口の扉に全力キック!
ダンジョン化した建物は、強度がとんでもないことになる。
それこそ、ガッツリ溶接された分厚い鋼鉄の扉みたいな感じになるはずなんだけど……。
おおーっ、ひしゃげながら奥に向かって扉がぶっ飛んだねー!!
※『相変わらずスレイヤー、とんでもねえパワーだ』『扉ぶっ壊した音がでかすぎてノイキャン掛かってるw』『素のフィジカルなら配信者最強って言われてるからな』『あの雄度の高さにキュンキュンくる女子は多い』『男子も多い』
男も女も夢女子化してしまう!
「スパイスは今回楽させてもらおうかなー。どれどれー?」
トコトコ入ってくるスパイスなんだけど、そしたら……。
『ウボアー!!』
突然、左右から刃物を握った元社員怨霊が飛び出してくる!
走るタイプのゾンビだ!
スレイヤーさんが強そうだったんで様子見して、スパイスを見て襲ってきたなー!
舐めたらあかんぜよー!
「おりゃー!! 右にスパイラル! 左にファイアボール!」
『ウグワーッ!!』
片方は圧壊、片方は炭化!
『ウボアーッ!!』
「前にはウォーターガンだ!!」
高圧水流がぶっ放されて、怨霊の頭をぶち抜き爆散!
「うひょー! たまに大暴れするのたのしー!! でも、ここからは省エネでコツコツやっていこうね」
スパイスが取り出したりますのは、アサルトライフル型のエアガン!
狙いもつけやすくて、威力もピンポイントで最高なんだよねー。
なお、向こうでは怨霊の群れをハンマーでピコピコ潰しているスレイヤーV。
楽しそうに叩いてるなあ。
スレイヤーさんもストレス溜まってただろうからねえ。
「スパイスー! ゾンビ雪崩だ!」
「えーっほんとー!? うっわーすげー!!」
無数の怨霊が一塊になり、憎悪を漲らせてドロドロに押し寄せてくる!
ゾンビ雪崩とは言いえて妙!
※『やばいやばいやばい』『こんなん普通の配信者じゃ刃が立たないじゃん!』『ダンジョンが安全になったなんて誰が言ってんだよ!』
でもまあ、数が多いだけで全部潰せば問題ないですからね!
それができるなら、ダンジョンは安全!
スパイスはゾンビ雪崩に向かってダッシュしつつ……フライトで飛び上がって、頭上からフルオート射撃!
一発一発に爆裂火球を仕込んでるから、炸裂するごとに大爆発だ!
『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』
爆発爆発爆発爆発爆発~!!
うひょー、きもちいー!!
ゾンビ雪崩の動きは爆発に呑まれ、完全に止まっている。
ここに、スレイヤーさんも喜びながら突っ走ってきて……。
「ファイヤァァァァァァァアアッ!! ハンマーッ!!」
ウォーハンマーをファイアボールの爆発で加速させた一撃が、ゾンビ雪崩に炸裂!
そうしたら、雪崩がストライクになったボウリングのピンみたいに粉々にぶっ飛んだ!
うひょー!
『ウグワーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!』
衝撃波が広がって、ダンジョンがビリビリ震える。
『いやあー、いつ見てもでたらめな男ですねー。歴史上でも魔女狩りで、ああいう人間辞めてるのが百年に一人出てくるんですよねー。でもこの国は百年に一人どころか、有名配信者の百人に一人くらいでいるんでどうなってるんでしょうねー』
フロータが呆れながら感想を呟くのだった。
ほんとにね!
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