第262話 産気づいた! 二世ダブル誕生
「ほいほいほい」
「マシロはもう臨月近いんだから、ゆっくりしてたらいいのに」
「だってなんだか、ずーっと体の調子がいいんスよ! ご飯もとっても美味しいし、お腹の中の子たちもパタパタ動いてるし!」
大きなお腹をして、元気に家事に勤しむマシロなのだ。
魔導書のサポート様々ではある。
お陰で彼女の体調はすこぶる良い。
『ふーむ~』
「どうしたマリンナ」
『いえー、なんか月の波動っていうんですかね? そういうのがちょっと乱れ気味で。赤ちゃんに影響でるなっておもってましたぁ』
「そういうの詳しいんだ」
青い本がぷかっと浮かび上がる。
海の魔導書マリンナ。
よく考えてみたら、海は月の満ち欠けに強く影響される。
月は女性の体調にも関係すると言うから、マリンナが妊娠関連に詳しくても当たり前なのだ。
『そっち方面はマリンナの専門ざんすねえ。今まではミー一人で支えられていたのでマリンナは手出ししてこなかったざんすが……! ミーの得意分野は技術的なところざんす! ここからはマリンナの手を借りたいざんすねえ』
『えー! カラフリーに手を貸すのいやなんですけどぉ!』
「まあまあそんな事言わずに」
『主様がそう仰るならぁ。今回だけですからね』
『感謝ざんす~! いよっ! 偉い! 魔導書一の気遣い上手!』
『おっほ!? そんなことありませんよう!』
おだてられて調子に乗るマリンナだぞ。
そんな事をしていたら、マシロが「あれ?」と声を漏らした。
そして膝を突く。
「あいた。いたたたたたたたた! あ、あ、あ、なんかやばい。やばいッスよこれ! あいたたたた!」
「カラフリー、鎮痛は……」
『これは止めないほうがいいざんす! 出てくる時に痛み止めするざんす! 産まれそうざんすよー!!』
『月の影響で、早めに出てきますよこれはー!』
「な、なんだってー!!」
即座にフロッピーが予約していた産院に連絡を取り、俺はスパイスに変身。
マシロを抱きかかえて空に飛び出した。
「うおーっ!! フロート!」
「あー! うまれそうー! うーまーれーるーっ!!」
魔導書たちがスパイスの後ろをビューンと飛んでくる。
もうみんな必死である。
スパイスのポーチに収納されてる余裕がない!
産院に降り立ったスパイスは、
「予約しました者でーす!! うちの奥さんが産気づいて!!」
スパイスの姿にびっくりした看護師さんだが、流石プロ!
ビャーッとストレッチャーが走ってきて、マシロを乗せて分娩室まで連れて行った。
「旦那さん? も早く!」
「はーい!」
『主様、姿、姿ー!!』
「いや、スパイスの姿のほうがサポートできるからこれで行くぞ! うおおおお!! 無事に産んでくれマシロー!」
スパイスはどたどた走って分娩室にイン!
『はーっ! 無痛分娩魔法ざんすー!!』
『スムーズに生まれてくる魔法……スムーズベイビー!』
「うおおーっ!? 魔法!? ぬうっ、赤ちゃんがするりと出てくる!!」
産科医のおばさんがめちゃくちゃビックリしていたが、流石プロ、すぐに状況を受け入れた。
出産は一時間ほどに及び、男の子、女の子の順番で出てきたのだった。
ギリ未熟児回避だねこれは。
だが、元気にほぎゃーほぎゃーと二重奏をしてきたので、どうやら安心だな。
保育器は必要なし。
魔導書たちが『うおおおおー!』と大盛りあがりしている。
でも彼らの相手は後回しだぞ!
「マシロ、よく頑張った! 感動した! ゆっくり休んでくれ!」
「あー、ずっとショウゴさんが手を握っててくれたッスね? 随分ちっちゃいと思ったらスパイスちゃんの姿で……。スパイスちゃんの姿で!?」
「魔法で色々補助するためにはこっちが便利だった」
「身バレするかもなのに」
「身バレより奥さんの方が大事でしょー!」
「ショウゴさーん!」
出産直後なのに元気だなマシロ!
どうやら魔法と科学による完全サポートで、母体の負担が極限まで少ない状態で産んだため、体力が残っていたようだ。
ひとまずしばらく歩けなさそうなので、病院で休んでいくことになった。
「家から着替えとか持ってくるぞ! 今度は元の姿で……」
「それがいいッス! うほー、ついに出てきた、あたしとショウゴさんの赤ちゃん二人! ちっちゃいッスねー」
「うんちっちゃい。お義父さんとお義母さんに連絡も入れとくよ」
「お願いッス!」
即座にフライトで帰宅する!
なんかメンタリスとマリンナとカラフリーは病院に残っているな。
スパイス分身モードになり、赤ちゃんをお世話する看護師さんを眺めているようだ。
看護師さんは戸惑っているが、流石プロ、やるべき仕事はちゃんとやる。
スパイスの去り際に、
「もしかしてなんですけど、スパイスちゃんの奥さんと赤ちゃんだったりするのかな……?」とか呟いていたので、彼女はお肉ども確定!
後で記憶をいじればいいだろう……。
こうしてスパイスはショウゴに戻り……。
色々準備して義両親に連絡を取り、ついでに親父にも一報入れておいて(電話の向こうで、父がガタガタ動く音がした。動揺しているようだ)再び産婦人科に出動!
「おやスパイス、随分騒がしいようだな」
「あっ、社長。実は子どもが生まれまして」
「ほう!! 双子だという噂の子どもか? そのうち連れて来るがいい。どれだけの素質を受け継いでいるのか楽しみだ。ああ、これは我からの祝だ。この間作った龍玉でな。赤ん坊の近くに置いておくと精気を与えるようになっている」
「あ、これはどうも」
妙なものをもらってしまったが、お祝いというならありがたい。
お守り代わりに近くに置いておくことにしよう。
俺はタクシーを拾い、産婦人科に直行した。
いやあ、しかし……。
俺が親になるとはなあ……。
そして病室に来たら、マシロも赤ちゃんたちもすやすや眠っていたのだった。
母子ともに極めて健康。
何よりだ。
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