第254話 魔王直属大魔将現る!
きら星はづきが大陸に渡り、大半が魔王の手に落ちて滅びかかっている中国を救うべく活躍しているようだ。
相変わらず規模が大きいなあ。
「俺は勇者パーティのみんなを鍛えたり、小目標と中目標と大目標を作って、そっちに向けてみんなのモチベーションを上げたりでやっとだよ」
「ショウゴさんめちゃくちゃ頑張ってると思うッスけど!」
マシロに肩をもんでもらって労われる俺なのだった。
「しかしもうマシロのお腹もそこそこ大きいな。産休に入ったほうがいいのでは?」
「そうッスねえ……。でも、先輩方が妊娠した時よりも異常に安定してて、よく動くんスけど全然つらくないんスよねえ」
『フヒョヒョ! ミーが毎朝毎晩手助けしてるざんすからねえ!』
「その発言だけを聞くと、うちの奥さんが謎の魔導書によって体をいじられているみたいなイメージに……。いや、間違ってないんだけどなあ。でももうすぐ8月だし、生まれる予定は10月なんだろ? よし、俺の意志でマシロには産休を取らせる……!」
「わーい! お休みッス~! カラフリーがいたら出産も無痛分娩以上に楽になりそうな気がするッス」
『間違いないざんすねー。だけどある程度手応えを持ってもらうために微調整するざんすよ。感覚がないと踏ん張れないざんすからねー』
「詳しいなあ」
他人が対象だと冷静だけど、うちの奥さんが対象だと色々気になるなあ。
今度、カラフリーの出産関係の魔法について色々教えてもらおう。
そんな事をやっていたら、迷宮省から連絡が来た。
具体的には、隣に住んでいるシノが来た。
「どうもー! スパイスはん、マシロはんお元気ですか~? 大ニュースですー」
「今日は幼女モードだ。どうしたどうした」
「シノちゃんこんにちはー。ぶどうジュース飲む?」
「いただきますー」
100%ぶどうジュースをごくごくやったシノ。
それでは、と前置きして話し始めた。
「ダンジョンの休日、取り下げる方針で政府はやってますわ」
「おおー! 大事件じゃないか。政府もよくぞ方向転換したなあ。まあ実害しか出てなかったし、大手配信者も迷宮省もボイコットしてたし」
「ですよねー。有名無実化を口実にしてますけど、これって裏取りしたら相手がほんまにあかんやつやったようですわ」
「だろうねー」
「小国を滅ぼした動画が出回ってまして」
「うわーっ」
そいつは魔王直下の魔将で、ジーヤという名前である。
七体の分身を持ち、その分身ですら並の魔将など足元にも及ばない強さを持つ。
「勇者パーティ的な最終目標はこいつだなあ。戦力の分析が必要だ。……うーむ、ショウゴの状態だと思考がショウゴに引っ張られるな。ぶっ飛んだ発想が出てこない。ちょっとスパイスになる」
「はいはい。あたし、スパイスちゃん大好きッスよー」
「この間はスパイス状態のまま抱きしめられて昼寝されて困ったもんだ……。メタモルフォーゼ・スパイス!」
ということで!
通常モードのスパイスに変身だ!
「ほほーん。ジーヤの戦力の調査ねえ。マリンナに頼むのがいいでしょー。マリンナよろしく! 多分、イカルガにも情報あるでしょ? 向こうのドラゴンのウェスパースさんと連絡取り合って、情報収集とか補完とかよろしく!」
『はぁーい! 主様の指示は分かりやすくて助かりますぅ~!』
飛び出してきたマリンナが、画面の中に飛び込んでいった。
自らWebに入って情報収集。
これが新世代の魔導書なのだ。
一番古いのに、一番新しい情報収集をする魔導書……。
いいと思います!!
『マスター、私もマリンナお姉様のお手伝いをします』
「フロッピーよろしくー! 二人なら情報収集の速度も精度もガツンと上がるねー」
スパイスはスパイスで、PCを使ったザッコで勇者パーティに情報共有だ。
ダンジョンの休日に関しては外国勢が多いからスルーしておくとして……。
「最終目標はジーヤ。情報をガツッと集めて戦力をシミュレーションするんで、みんなで対策を立てて行こう~!」
『オッケー! 僕のパワーでジーヤなんてノックアウトさ!!』
カイワレの役割は仲間がノックアウトされないための盾だけどな。
『相手の強さが分かれば、こちらが準備する手札も決まってくるものね。勝つためには十全の準備が必要だけど、最初に備えさせてくれるなんて親切な敵だわ』
シェリーが不敵な発言を!
頼もしい!
『タリサの力が通用するかな……。ううん、通用させる!! もっともっと強くなる!』
いいぞタリサ。
前向き~!
『ゼルガーはやる気。僕も頑張る』
言葉が少ないが、モリトンくんの意気込みを感じますねえ。
『私も頑張ります!! なんかアフームたんが言いたいことがあるらしくて』
『僕なのです! ギリギリでユーシャちゃんは成ったのですー! このために睡眠学習まで動員した甲斐があったのですー!』
『ええーっ!? い、いつの間に!?』
「成った!? じゃあ、その成果は見せてもらうとして……。えー、スパイスが見た感じ、この夏……8月が正念場です! もうすぐはづきちゃんが帰ってくるんだけど、なんと彼女が中国で戦っている間に、東京湾上に巨大なコンサート会場が建設されつつあります!」
ざわつく勇者パーティザッコ。
この情報の裏付けは、すぐにマリンナが持ってきた。
『まだあの恐ろしい女本人は知らないんですけど、多分彼女は大規模イベントで魔王をおびき寄せるだろうという予想のもと、イベント会場が設営されてるらしいですねぇ』
「予測でそんな大規模なものを! 誰か予知能力者がいたりしない?」
『多分いるんじゃないですかねぇ? そういう魔法はありますしー。占いの結果かも?』
なるほどー!
魔王撃退のために、世界中の魔法とかそういう能力を持った人が集結しているのだ!
建築されるコンサート会場……。
そこが勇者パーティ最終決戦の舞台になると見た!
でもまあ、アニメとかの定番なら、その前にジーヤの顔見せがあるはずなんだよねえ。
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