第252話 ビーチバレーで連携を練習するぞ!
さーて、海にやってきたけど、遊ぶだけではないのだ!
スパイスプロデュース!
連携チャレンジ!
「こんちゃー! どーもー! スパイスでーす! 本日はー海水浴場からお送りしまーす!」
スパイスの後ろで、水着姿になった勇者パーティがいえーいと手を振ったりピースサインしたり。
なお、ちゃんと昨今の日差しに対抗すべく、みんな強力な日焼け止め(耐水性)を完備なのだ!
※『うおおおおおお』『こんちゃあああああ』『まさかスパイスちゃんの配信で水着配信を見られるとは』ランプ『ありがたやありがたや』マルチョウ『寿命が伸びる思いだ』特上ロース『モリトンくんかわいい』おさかな『我が同胞たちが周りで警備をしてるんですね。誇らしいです』
うんうん、夏の風物詩とも言える配信の一つだね。
今回はダンジョン配信ではなく、勇者パーティの練習風景を中継することになる。
リアルで見学してる人たちは、配信に顔が映るからフロッピーの近くに来るのは覚悟完了してからにしてねーと声を掛けてあるのだ。
「では、本日はビーチバレーでコンビネーションを高めていきまーす! こっちチームはユーシャちゃんとシェリーのコンビ! こっちはタリサとモリトン! カイワレ余っちゃったねえ」
「オーノー!」
大昔みたいな、つなぎ姿の水着なカイワレだ。
柄がバリバリにヒーロースーツなので目立つ目立つ。
ひょろっとして弱そうだが、まあ彼は予測不能な男だ。
コンビネーションをテーマにした配信にはあまり関係ないことだろう。
「ほんじゃあ、カイワレはスパイスと組むかー」
「オーケー! イェアー!! カイワレパワーでスパイス・ガールを守るよー!!」
「ふふふ、本当にガールかな……? メタモルフォーゼ!!」
育つ変身!
アクアスパイスの姿が、たちまち妙齢の美女に変身してしまった!
これでスク水は事案なので、すらりとしたちょっと昔の競泳用水着みたいな格好になったぞ。
※『うおおおおおおお』『スパイスさんきたあああああああ』『これが一番ぬけるまである』
ぬけるいうな!
外見的には二十代半ばくらい……マシロくらいの年齢に合わせた大人スパイスだ。
うーん、成長させるとスパイスアバターはとんでもない美女になるな……!!
勇者パーティの面々もポカーンとしている。
そうこうしていると、マンマーたちが水中からポールとかネットを持ってきて、設置を開始した。
「いつもありがとうねー」
『いやいや、こちらこそ世話になってるからねー。あれ、おっきくなったら海の魔法みがちょっと薄くなったね』
「変身に力を使っちゃうからね」
かなり日本語が上達したマンマーと談笑しながら、コートのセット完了!
試合開始!
なお、ゼルガーはケンタウロスだし、色々サイズ感の問題もあるので見学。
まあ、スパイスが見るところ、ゼルガーが一番協調性に長けているから見稽古で十分だと判断したのもある。
さあ、それでは試合開始!
タリサ&モリトンペアVSユーシャ&シェリーペア!
タリサは持ち前の圧倒的な運動神経で、コートを縦横無尽に駆け回る!
どんなボールにでも追いつくのだ。
で、モリトンは優れた目で、相手の挙動を見逃さない。
サーブや、次のレシーブの球種を見極め、タリサに指示を出す。
いいペアだなー!
で、ユーシャちゃんとシェリーは……。
「ユーシャ、二人でブロックよ!」
「オッケー! うりゃー!」
「な、なにー!?」
二人でジャンプしてタリサのスパイクをブロックしたり、飛んでくる球を二人でクロスレシーブ!
交互に打つルールとかどうでもいいくらいに、見栄えがするプレイだなあー!
これはこれでとてもいい。
配信画面のお肉どもも大いに湧いている。
『みんなそれぞれ持ち味を出してていいなあ』『審判のゼルガーがあらゆる反則をスルーするのも面白い』『かっこいいほうが勝ちみたいなところあるよなw』『そしてやっぱり眼福……』『若さが溢れている~!』
参加者全員ティーンですからね!!
フレッシュな試合で彼らの持ち味を存分に見たあと、ではスパイス&カイワレペアでやろうということになった。
偶然、会場にはアマチュアビーチバレー選手のお姉さんも遊びに来ていました!
彼らとプレイを楽しむことにする。
よーし、スパイス準備運動しちゃうぞ。
『あーっ、体の伸びをするとセンシティブ!』『スパイスちゃん盛ってない?』『スパイスちゃんのまま大人になると大きくなるのか……』『勇者パーティ一のサイズだ……!!』
「これはスパイスが女の人だった場合、これくらいになるというのをマリンナが正確にシミュレーションしてくれてるんだよね」
『そうですよぉ。主様は可能性のカタマリ。すっごいことになるんですからぁ』
ざわつくお肉どもなのだった。
お前ら、大きいものは大きいものでいけるのか!
てなことで試合です。
「カイワレ体で止めろー!」
「オーケー! アーウチ!」
カイワレがスパイクでふっ飛ばされた!
この男、ビーチバレーのスパイクでも巨大モンスターの攻撃でも、だいたい同じくらい吹っ飛ぶな。
質量の法則とかどうなってるんだ。
で、高く上がったボールをトスなしでジャンプしたスパイスが、「おりゃー!」とスパイク!
お姉さんたちから「ありえなーい!」と驚愕の声が漏れる。
スパイスの肉体、それなりに鍛えた180センチ男性の全盛期の身体能力を女性の体のサイズと軽さで完全に行使できるからね!
大人スパイクの動きも、オリンピック選手顔負けレベルになるのだ!
それに実は、生身の時も最近はジムで鍛えてるからねー。
圧倒的火力のスパイクが砂浜に突き刺さる!
「ふははー! これぞ東洋の魔女!」
『本当に魔女なの草』『魔女が身体能力で圧倒するなw』ランプ『揺れ』
この後も、スパイクはカイワレをレシーブ即トスマシーンとして大いに活用し、バンバンと球を返したのだった。
「スパイスちゃん強いんですね!」「すごかったー! ボール全部喰らった彼はなんで無傷なんですか……?」
「カイワレはああいう人だからね。ご協力ありがとうございまーす!」
お姉さんたちと握手をして別れた。
勇者パーティの面々、唖然としている。
「そ、そんな形のコンビネーションが……!!」
「カイワレを完全に盾にするなんて……思いつかないわー」
タリサとシェリーは、スパイスの戦法に感服しているね!
「ちょっとかわいそうでは!?」
おっと、ユーシャちゃんからもっともな言葉が!!
今後、盾にする時は強力なモンスター相手だけにしよう。
さてさて。
まだまだ砂浜での楽しい訓練は続くのだ!
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