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TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~  作者: あけちともあき
魔王出てきた編

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233/373

第233話 えーっ、ユーシャのドローンに大魔将!?

 ばびゅんと飛び上がるスパイス!

 まあ、追跡って言っても一瞬で追いつくんですけどね。

 ライトバンの上に、ストンと降り立ってからカラフリーで迷彩をかける。


「いやー、どこ行くんだろうねー。楽しみだねー」


『ほんとですねえ! 主様が注目する配信者! どれほどのものか! まあ、かなり筋が良いのは確かですね彼女! 多分、魔女の才能がありますし魔導書も使えると思いますよ!』


「フロータがそこまで言うとは!」


『魔女の血そのものは広く拡散していますからねえ! 才能がある人はちょこちょこいるんですよ。最近の配信文化で、眠っていた魔女の血が目覚めたタイプの人が多いと思いますけど!』


「へえー!」


 どうりで冒険配信者、凄い異能を持った人がちょこちょこ出てくると思った。


『マスター。私と同じ系統の反応のモジュールがこちらを見ています。車の天板を透過してこちらを認識しています』


 フロッピーがピカピカ光っている。

 ふむふむ、お互い、通信し合っちゃってる感じかな。


『マスター、該当モジュールの中に、よくないものの気配を感じます。ダンジョンと同質のものです』


「なんだってー!」


『それを言ったら、ミーだってダンジョンくらい発生させられるざんす。他の魔導書も一緒ざんすよ。ただ、フロッピーちゃんが言うのはミーたちが引き起こす疑似ダンジョンではなく、モノホンのことざんしょ?』


『はい、そうです。あれは魔将や、もっと上の存在です』


「もっと上と言うと……はづきちゃんが退治してた大魔将かあ。地の大魔将は行方をくらましたし、他の三つの大魔将は倒されたし。まだまだいたの?」


『通信障害が起きていた時に計測した数値と、電磁波の波長が一致しています。炎の大魔将です。正確には、その1%ほどの欠片です』


「うへー! そんなのがユーシャちゃんの近くにいるわけ? 何が起こるかわからないなあこれは!」


 ライトバンは、八王子市郊外にある廃屋の前で止まった。

 長く放置されていたこの家がダンジョン化したらしい。


「あー、ダンミーにも契約済みってある! これを勇者部で攻略するわけね」


 どれどれ……?

 スパイスは「よいしょー」と天板から降りた。

 もちろん、振り返った勇者部のスタッフの人に気付かれる。


「ウワーッ! 車の上から小さい女の子が!!」


「どーもー! ユーシャちゃんに興味が湧いたのでちょっと見に来ました!」


「よく見たらスパイスちゃんだ!」


「はづきっちに続いてスパイスちゃんまで!? うちのユーシャはどんだけ注目されてるんだ!」


「これはビッグになれる予感」


 盛り上がる勇者部の面々。

 ユーシャちゃんはと言うと、既にダンジョンに飛び込んでしまっている!

 勇者部はバックアップだから、ここからドローンを操作しつつ撮影と配信の補助も行うのだ。


「ちょっと見に行っていーい?」


「どうぞどうぞ……でも配信に映っちゃうと台本が」


「じゃあ影から見てるから!」


 というわけで!

 スパイスもダンジョンに入ってみたのだ。

 どれどれー?


 一般的な廃屋ダンジョンだねえ。

 家に染み付いた思いとか、残された物品に宿った記録を利用し、ダンジョンが拡大するやつ。

 これ、ダンジョンは現象ではなく、魔王による侵略だと考えると、ここにある物品には悪意とかは全然ないんだよねえ。


 ぎしぎし音がする床を歩いていく。

 前方で、ユーシャちゃんが戦っている音がするな。


「ファイアボール!」


『きゃーっち!! 拡散してどばーん!』


『ウグワーッ!』


「ドローン喋ってる!」


『あれは完全に自律意思が芽生えつつありますねー。なんか中心に大きなダンジョンコアが組み込まれてるので、あれのせいじゃないでしょうか? あの恐ろしい女が宇宙で倒した、大魔将のコアですよ』


『いけません、暴走しかかっています』


 フロッピーがピカピカした。

 なんだってー!


 ドローンが受け止めたファイアボールを拡散して、周囲のモンスターにぶっ放している。

 現代魔法のファイアボールは、イグナイトのあれよりももうちょっとCGっぽいんだよねえ。


『んん~、あんなファイアボールはぁ、なってなぁーい』


 唸るイグナイトなのである。

 だが今はそれよりも、ドローンの暴走しかけが気になる!


 モンスターを一掃したあと、ドローンがピカーッと光った。

 おお、炎をまとってだんだん大きくなっている。


「あれ!? わたしのドローンが……!」


 おーっと、ここでスパイスが登場だ!

 タタターッと走ってきて、ドローンに話しかける。


「しずまれ! しずまれー! なんか勝手にダンジョンコアに呑まれかかってるけど、しずまれー!」


『うごごご、なんなのですあなたたちー』


「スパイスと」


『魔導書フロータ!』


『イグナイトだぁ!』


『メンタリスでやんす』


『マリンナでーす』


『フヒョヒョ、カラフリーざんす!』


『あとフロッピーです。私達はマスターと共存してるので、あなたもここで変な自我を出さずに共存するのがいいですよ』


 ドローンは、いきなり目の前に同類が六人も現れてびっくりしているようだ。

 燃え上がっていた炎がしゅーんと消えた。

 逆に、内側から青い光が漏れつつある。


『なるほどですー。ファイアボールを受け取ったことで、うちなる炎に焼き焦がされそうになりましたです! ですがみなさんがやってきたら、そもそもこの炎なんだよ、僕は僕ですーって自我がはっきりしたですよ!』


「うんうん、いいことだ」


 ユーシャちゃんはカチーンと固まったような状態。

 そして、どうやら配信も途切れているようだ。


『ミーと』


『あっしと』


『私でちょちょっと時間を止めてあります! まあ、魔女や魔導書同士による認識の加速みたいなものなんで! もうすぐ切れますけど! でもこのドローン、私達と同調して意識がはっきりと生まれたみたいですよ!』


「よきよき! おや? ユーシャちゃんもちょっと動いてる! なるほど魔女の才能だねえー。ま、スパイスはこの後も、ユーシャちゃんやドローンとは初対面みたいな反応するからね。よろしくー! それじゃドローン、ばいばーい。ユーシャちゃんを助けつつ、ガンガン成長するんだぞ!」


『頑張ってください』


 魔導書たちもわあわあと声援を送る。

 これを受けて、ドローンが『がんばるです~!』とやる気になった。


 いやあ、はづきちゃんも大魔将のコアをぽんと渡したらいけないね!

 あんなの、はづきちゃんやスパイスじゃなきゃ管理できないんだから!


 でも、コアは完全に別人格として目覚めたし、こっちからの影響でフレンドリーになった!

 成長したドローンとの再会が楽しみだなー。


 ユーシャちゃんが動き出し、配信が復活するまでの間に、スパイスたちは急いでダンジョンをあとにするのだった!


お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。

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― 新着の感想 ―
まさかの裏事情!
あの恒星を生み出すレベルの1%ってめっちゃ強大じゃないですか! はづきっちもうちょっと渡すものを考えてもろてw そしてフロッピーちゃんからすると後輩ができた感じでしょうか、仲良くして欲しいものです。
更新お疲れ様です。 なるほど、ユーシャちゃんのドローンちゃん(くん?)に自我が確立したのはこういう経緯だったんですね。スパイスちゃん居なかったら危なかったなぁ。 それでは今日はこの辺りで失礼致しま…
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