第202話 エクソシスト呆然! リトルウィッチ・デュオの新必殺技を見よ!
せっかくグラーツに来てるんだから、ダンジョンも雰囲気あるところに行きたかったなーという気持ちはある。
オーストリアだからね。
そこで今風のマンションがダンジョン化しているところを攻略すると、なんか日本と変わらないなーと思うわけだ。
「まあ全力で戦うけどね! うおー! ノーマルモードでスパイラール!! スパイスは相手を二つにちぎったりはしないぞ! 回してぶん投げて、高速でイグナイトにフォームチェンジしてフレアアローで追撃!!」
※『うおおお高速フォームチェンジ!!』『そっか、フォームチェンジしたほうがその系統の魔法は強くなるんだ』『新しい技を覚えたな!』
『ウグワーッ!!』
モンスターが爆散!
これをグスタフが、目を丸くしながら見上げている。
「す……凄く派手なんですね……。俺が知る配信者はもっと、地に足のついた戦い方をしていたが」
「魔女なんで!」
「魔女というのとも違わない……?」
※『ゲーミング魔女だからw』『スパイスちゃんの戦い方はヒーロー映画だからな』『明らかに影響受けてるよねw』
なお、隣ではウィンディも似たようなことをしてるのだ!
ふわ~っと浮かび上がりながら、風と氷の矢を連射する。
『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!』『ウグワーッ!?』
突き刺さった氷の矢が、地面から伸びた氷柱とつながってモンスターを串刺し状態に!
そして風の力で爆散して、あたかも必殺技が炸裂したような状況になる。
『ウグワワーッ!!』
※『破片を氷でコーティングしてるけど』『まあまあゴア描写であるw』『ウィンディもパワーアップしてるね!』『二人ともヒーロー作品から学んでない?』『そりゃあコンビ名からしてね……』
なお、二人の横でグスタフはいぶし銀の戦い方をしてる。
重さのあるローキックでオークの足を破壊してから、突き下ろすような正拳突きで撃破!
チンをフックで穿って体勢を崩し、そこを内股で跳ね上げて撃破!
ローキックにも十字架の光が出るのね。靴も仕掛けがしてあるな?
とにかくでかい男のやる、基本に忠実な空手とそこに織り交ぜられた柔道。
見栄えがする。
いぶし銀だけどずっと見ててもいいね!
スパイスのリスナー層でも、こういう渋いキャラ好きな人が多いんで、わいわいと賑わっている。
※『グスタフ推しかも知れん』『配信やってくれないかなー』『デカくて強くて……推せる』『リトルウィッチ・デュオとグスタフで全く違うのよ』
という感じでどんどん突き進み、あっという間にマンションの最上階。
ダンジョンとは言うけど、迷宮化は日本のそれよりもおとなしい感じ。
これは多分、色彩の魔女がそこまでダンジョンに興味がないからかも知れない……。
「今回はシンプルな構造だった。まるで俺達を誘い込むかのような……」
「えっ、そうなの!?」
グスタフの解説にびっくり。
普段はもっと意地の悪いというか、設計者の思考を疑うようなとんでも構造らしい。
フロアを歩いていたらいつの間にか天井に入れ替わり、真っ逆さまに落ちるとか。
階段を昇るほど下がっていくとか。
扉に見えるけど壁で、壁に見えるけど扉だとか。
「そんないじわるダンジョンどうやって攻略してたの!?」
「俺一人ではどうしようもなかったんですよ。だから他の銃火器を使うエクソシストと協力し、壁や天井をいちいち攻撃しながら攻略していました。何日も掛かることも珍しくなかったですよ」
「な、なるほどー。悪夢みたいなダンジョンかあ」
「今回は随分楽だったんですねー。でも、わたしもスパイスも飛べるから、どんなに複雑でも関係なかったと思うけど」
『これはですね! 私が解説すると! 超火力でダンジョンそのものを攻撃しながら突き進んでるんで、片っ端からダンジョン化が解けてるんですよー!』
な、なるほどー!!
フロータの説明が分かりやすい。
つまり火力は正義!
「ってことで、最上階だオラァ!」
階段の一番上には、ギラギラ輝くいろいろなカラーの扉があった。
これを!
ファイアボールとブラストウィンドを叩きつけてですね!
破壊!
『ウグワーッ!!』
扉に顔が現れて、断末魔を叫びながら粉々になった。
モンスターだったか!
そして現れる、色彩の魔女のコピー存在みたいなやつ。
様々な色合いがグネグネ動き続ける、ローブ姿の巨人だ。
『みみみみつつつつつけええええたああああ!! まままま魔導書ぉぉぉぉぉ』
「あっ、こいつ、スパイスとウィンディを認識してるぞ!」
「やるしかないですねー!」
ザッと前に出るリトルウィッチ・デュオなのだ!
ただまあ、ここを見過ごせないのがグスタフという男で。
「俺が露払いをします!!」
そう告げながら、真っ先に飛び出していく。
うおー、行動で示す!
極彩色の巨人魔女は、絵の具の塊みたいなのをボンボン飛ばしてくる。
グスタフはこれを左腕を盾にして受けて、どんどん突き進む。
絵の具は燃え上がったり、凍りついたり、雷だったり毒だったりいろいろな効果があるようだが、それでもグスタフの歩みが止まらない。
彼は巨人までたどり着くと、強烈なフックを叩き込んだ。
『ウグワーッ!』
ちょっと傾ぐ巨人魔女。
だが、ここでグスタフも膝を突く。
「ダメージを受けすぎたか……!」
「十分頑張った! スパイスたちは背中に隠れて、目と鼻の先まで来たからね!」
「助かりましたー! じゃあやりますか!」
「おっしゃー!」
ウィンディが猛烈な風を起こす。
これは、色彩の魔女が使う風よりもずっと強いのだ!
色彩の魔導書は色々できるけど、専門分野ではその魔導書には勝てないっぽいね。
猛烈なつむじ風が巨人魔女の動きを妨げる。
スパイスは、動けない魔女目掛けてまずはマインドスパイスモード!
放つ魔法はハードショック!
レビテーションで飛び上がっての、デコピンが決まった。
接触からのハードショックは効くぞー!
『ウグワーッ!!』
魔女が叫んでのけぞり硬直した。
ここからイグナイトにチェンジ!
「詠唱カモン!」
※『我らの出番だ!』『渦巻く炎!』『燃え上がる鉄槌!』『貫き燃やし尽くす!』
「オッケー! 渦巻く炎と燃え上がる鉄槌! 貫き燃やし尽くす~!! 何?」
『ん新魔法だぁ!! バーニングハンマー&ネイル!!』
燃え上がる炎のハンマーと、釘が出現する!
動けない魔女目掛けて、炎の釘が突き刺さった。
『ウグワーッ!』
ここに、炎のハンマーがカツーン!!と当たる!
頭から下まで貫通~!!
『ウグワワーッ!! ま、魔導書ー!! 必ずや、我が手にーっ!! ウグワーッ!!』
頭から下まで炎の釘で串刺しになった巨大魔女が、 バーン! と弾け散った。
よし、今だ!
スパイスとウィンディでこちゃこちゃ駆け寄って、爆発を背景にビシッとポーズを取るのだった。
決まった……!
なお、この駆け寄る様がかわいいと評判になったのだった。
かっこいい、じゃないのか~!?
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