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TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~  作者: あけちともあき
リトルウィッチ・デュオ編

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第200話 エクソシストといっしょ

 夜が明けて朝になる。

 ウィンディと同室だが、年頃の男女で間違いが……なんて起こるはずもない。


 グラーツ滞在中のスパイスは、バ美肉(バーチャル美女受肉)状態を固定化しているのだ!

 この辺りはフロッピーに言い聞かせて、常時女性モードを保つようにしている。


「おはよーございます! 外は寒そう!」


 目覚めると、既に置きていたウィンディが窓の外を見てはしゃいでいる。


「クラシックな光景ですよね。こういう雰囲気って意識して作るとわざとになるから、ちょっと羨ましいなーって思うんですよねえ」


「アメリカは新し目の国だからねえ」


 古いって言っても西部開拓時代とかそんな感じになるのかな。

 さてさて、朝食はルームサービスを使って部屋で摂る。


 外はカリッと、中はふわっとしたロールパンに、ハムとチーズとバターとお茶がついてくるシンプル朝食。


「焼き立てパンうまーい!!」


「見た目は大人のなのに、食べる時はスパイスになりますね!」


「メタモルフォーゼしてると、基本はスパイスだからね。スパイスが大人の演技をしているに過ぎないんだ」


「複雑な構造~!」


「滞在中に身も心もスパイスにならないようにしないとね……!!」


「たまには男の人に戻ってもいいんじゃないです?」


「男性の姿と女性の姿で、こう、欲求の質が違うからね」


「オー、さらに複雑!! わたしも男の人に変身してみたいなあ」


『あらウィンディ興味あるの? だったらこの間フロッピーにコピーしてもらったメタモルフォーゼの簡単な魔法があるから使ってみる? 欲求の形まで男になるから新体験よこれ!』


「やめておくんだー!」


 男性経験者のスパイスは止めておいたぞ!

 てなわけで、朝食を終えてから回収に来たボーイさんにチップを渡した。

 ニコニコしながら受け取ってくれたので、これでまたいいサービスをしてくれることだろう。


 スパイスたちはこれから街に出るぞ。


「オーストリアは日本より七時間遅いから、配信時間はこれを基準で考えないと……」


「大変! わたしも配信してたら、カンザスとの時差を気にしないと行けないところだったかも。頑張ってスパイス!」


「頑張る。プロだからね……!」


 本日は、現地に入ってきている配信者やエクソシストを探すことになる。

 一番簡単なのは、エクソシスト探しかな?


 現地のSNSで配信者を探すでもいいけど、彼らは気まぐれだし位置を特定されないため、さっさと場所を変えてしまう。

 エクソシストならば彼らが所属するエクソシスト協会みたいなのに連絡し、今日の仕事を聞くことができる。

 エクソシスト協会と配信者は何気に仲がいいのだ!


 配信と兼務している人も多いし。


『本日だと……』


 紹介された人の仕事している現場へゴー!

 到着したら、背が高いコート姿の男性が待っていた。


「グスタフです。日本から来た配信者のお嬢さんだと聞いています。今日はよろしくお願いします」


「はい。スパイスと申します。よろしくお願いします」


「えっと、助手のウィンディです!」


 グスタフ・ビルトシュバインさん。

 年齢的にはスパイスよりちょっと上かな?

 身長は190くらいありそう。


「ちょうど、魔女の迷宮を一つ攻略するところでした。こうやって日々、迷宮を潰していかないとどんどん増えていきますからね」


「ひえー、厄介なんですね、色彩の魔女は」


 その名前を口に出したら、グスタフがじろりと見てきた。


「シッ。その名はみだりに口に出してはいけません。名を呼べば、災いの耳に届く。彼女は口にした者の元へやってくるでしょう。いや、白い魔女であるあなたにはその方がありがたかったかな?」


「ご理解いただけて幸いです。いかにも、私は彼女を退治しにやってきました。魔女の手の内は、魔女が一番よく分かりますから」


「なるほど、心強い」


 このやり取りの向こうで、ウィンディが何か言いたそうにもごもごしている。

 配信者でもない、一般女子大生魔女は話がややこしくなるからね!


 グスタフともうちょっと打ち解けてから説明しようね!


「それで、今日のダンジョンは……」


「このマンションですね」


「あっ、かなり新しい!」


「景観に合わない建造物は、表通りには作らないように言われるんですよ。ですから裏通りですが……この数年はグラーツの裏通りは魔女の領域です。新たに作られたばかりのマンションでも住み着く人は少ない。故に、そこに目をつけた魔女がこの建造物をまるごと迷宮に変えた」


 グスタフがカバンを下ろす。

 中にはギッシリと、対魔女グッズが並んでいるではないか。


「この十字架がついたグローブが除霊アイテム的な?」


「ええ。俺は若い頃、オリンピック強化選手でして」


 オリンピック!

 ダンジョン化の危険がある飛行機を使い、命がけでスポーツの祭典を行う世界で最も崇高なイベントの一つ……だった!

 今はかなり安全になってるそうだけど、グスタフが現役の頃は大変だったことだろう。


 グスタフは柔道のオリンピック選手だったそうだ。

 そう言えば……テレビで見たことがあるかも知れない。


「現役から引退したのは、妻がダンジョンにやられたからです。俺は柔道とともにカラテを習い、エクソシストになりました」


 うおっ、ドラマチック!

 妻の復讐のためにエクソシストをやる男!

 コンテンツ化しては失礼だと思うのだが、絶対に受けることが確信できる。


「では行きましょう。日本の配信者の力も見せてもらいますよ」


「ええ、もちろん!」


 スパイス、このシリアスな人の前で魔法少女に変身するわけだな?

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
それって、モンクじゃん!
更新お疲れ様です。200話到達おめでとうございます! 人当たりの良さそうなグスタフさんに悲しい過去…。こんな感じの理由でエクソシスト等の道に人生のルートを変えてしまった人、世界中に結構いるんでしょう…
ウィンディちゃんも魔法少女で配信始めればいいのに……(まだ言うか)
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