第189話 もみじスパイラル三部作のラストを始めるぞ
2月度もみじスパイラル三連続コラボ、ついにラストが近づいてきたのだ。
イラちゃんは予想通り、VR空間で話を進めていた。
『外に行くにしても、ダンジョン以外だと事案だろ。おじさん二人と女子高生だからね。リアルお出かけは女の子同士か将来を決めた人と行きなね』
『な、なるほどー。だからVRなんですねー。うち、この間ゴーグル買っちゃいました』
今まではイカルガから貸与してもらっていたらしい。
で、配信の収益を使ってついに自分専用を買ったと。
Aフォンと通信できる機能があるから、バーチャライズ姿をそのままアバターに変換できるんだよね。
便利!
ってことで、今日はもみじちゃんを慣れさせるために練習でVRに行こうということに。
「イラちゃん、授乳喫茶はやめておこう」
『うむ。イラにだってこれはヤバイなって判断する頭はある。普通にゲームで楽しもう』
もみじちゃんを連れて、ワイワイとVRスペースのロビーを歩き回る。
『今回の煽りなんだけどさ、枠主の名前を最初に出すルールにしたじゃん? だとするとイラ、次はもみじちゃんで、最後にスパイスちゃんかね』
「それそれ」
『うちの時、うち、スパイスちゃん、イラちゃんだったもんねー』
もみじちゃんもすっかり打ち解けてきていて何より。
『ここでFPSをリアル体験できるぜー。サバゲーなんだけど、立体機動とか目くらましのボムを投げられるから、現実よりもちょっと派手なんだよね。あと、安全』
「確かにVRは安全だねー」
『やりたーい!』
ということで。
もみじスパイラルでバーチャルサバゲーをやってみることにした!
なお、これはあまりにも美味しいシチュエーションなので動画撮影もしておく。
五名一組らしく、もみじスパイラル+2名でスタートということになった。
一人は一般人のトウフ・ブランドーさん。
もう一人は……。
『こんなところで噂のもみじスパイラルに出会えるなんて! はじめまして! 熊内またぎでーす!』
「噂の猟師系配信者の人ー!」
きら星はづきに発掘され、今大人気になりつつある北海道出身のまたぎちゃんだ!
スキーボードみたいなユニットを使って、高速滑走しながらの射撃とかが得意な人だぞ。
最近は女子FPS系配信者グループに加入し、バリバリ活躍していると聞く。
えっ、関東に引っ越してきたの?
「ってことでこの五人でやりまーす!」
『うおー! 有名配信者と一緒! テンション上がって来たなあ!』
トウフさんもやる気満々だ!
こうして挑んだ、VRサバゲー。
もみじちゃんが完全に初体験だけど……。
小柄な体を活かしてどんどん進撃するイラちゃん。
正確無比な狙いで相手チームを次々ヘッドショットするまたぎちゃん。
そしてカバーがやたら上手い一般人トウフさん。
最後にスパイス!
うおおおおこの三次元立体走法をみよー!!
『げえ、スパイスちゃん!! ……が壁から天井駆け上がって走ってくる!!』『ウグワーッ! 撃たれた!』
ということで、急造チーム大勝利!
もみじちゃんは銃を持って、ポテポテ走り回っていたのだ。
『これどうやって使うのー?』
「そこからだったかー」
だが動画的には美味しい。
二戦目はもみじちゃんも銃の使い方を覚えた。
なお、遮蔽とかそういうのがいまいち分かっていないので、ペチーンと撃たれて『はひー』と落とされたのだった。
現代魔法の申し子にも苦手なことがあったか……!
本人は楽しかったらしく、
『次はもっと上手くなるー!!』と鼻息も荒い。
いいぞいいぞー。
『ほんと楽しかったです! また誘って下さい!』
『ぜひー。またぎさん、もしかして配信中だった?』
『実は! ではではー! 今日はありがとうございました!』
去っていった。
凄い腕前だったなあ。
命中率だけならスパイスが知っている配信者で一番じゃないかな。
リアルで熊を撃ってた猟師らしいので、やはり職業猟師は違う!
「VRサバゲーはやってしまったし、本番はどうしよう?」
『今回のを動画編集して一本にまとめあげるだろー? あとはそうだなあ。もみじちゃんにVR空間のアクティビティを楽しんでもらう方向で行くかー』
「スパイスが経験したやつだね!」
『楽しみです~!』
若い子が楽しんでくれると分かると、頑張っちゃうのがおじさんというものなのだ!
これはスパイスも全面協力して、イラちゃんをサポートせねば!
準備期間はそこまで長いわけではない。
冒険配信者は短いスパンで仕事をしていくので、企画はサクサク素早く立てて実行することになるのだ!
『飛行機に乗せて飛ばして夜景見せて』
「うんうん。お店に行くとして、ホストクラブも良くないでしょ」
『女子高生だからねえ……。本当に良くない』
「こうして見ると、VRは大人向けの店が多いなあ」
『ほんとだ。自分がおじさんだからずっと気付かなかった』
おじさん二人、現役女子高生をどう接待したものか頭脳をフル回転させるのだ。
これがジェネレーションギャップ!!
現役女子大生のウィンディはまだ分かりやすかったんだが!
『あっ、コスメショップがある!』
「コスメかあ! 全然わかんないぞー」
『イラもわかんないねえ。ということはだ。条件はフェア!』
「それだ!!」
おじさんたちの無謀な挑戦が、今始まる……!
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