第177話 大罪系配信者雑談
骨休めとは言うものの……。
それは今月無理をしないと言うだけで、新しい企画をして大いに盛り上がる配信をしないとは言っていないのだ!
ということで、イラちゃんに連絡をしようと試みる。
おや?
今ライブ配信中だな。
誰かと通話している。
『それでよー、イラとしては案外似たものが多いんじゃないかって思っててねー』
『あるあるだよう。ミーもいきなり力が生えてきて、それで配信しなきゃーっておもってぇー』
なんかやたら色っぽいお姉さんとコラボしてるな。
日本語に訛があるから、海外の人っぽい……。
『まあお互い大罪パワーを持った者同士、自制しないと苦労するよねえ』
『そうだよねぇー。ミーなんか色欲だからもう大変!』
『イラだって憤怒だぞー。なははははは!!』
『きゃきゃきゃきゃ!』
二人で爆笑している。
た、大罪会議が全世界にフルオープンで行われているぞ~!!
というか、お相手さん、ウィンディの友達だって言う色欲の大罪か。
ピンク色に金のメッシュが入ったボリューミーな巻き髪で、ここからでも胸のあたりのボリュームが凄いのが分かる。
もしかして髪の毛が伸びてセンシティブなところを隠してるスタイル?
攻めてるなー!
あまりに面白そうなので、配信者の血が騒いでしまった。
雑談配信のようなので、スパイスも顔を出していいか打診してみる。
コメント欄で!
「そっち行っていいー?」
※『スパイスちゃんだ!!』『スパイスちゃん来たー!!』『スパイスちゃんもようみとる』『イラちゃんとスパイスちゃんの絡みが増えて嬉しい』
コメント欄がワーッと反応したので、イラちゃんも気付いた。
『おっ、スパイスちゃん? いいよー! おいでー!』
ということでザッコに繋いだのだった。
スパイスの映像も向こうに映る。
Aフォンを使っていると、遠く離れていてもパッと映像的にはコラボできるんだよね。
「どぉもー! こんちゃ! スパイスでーす!! はじめましての人、はじめましてー!」
『ワオワオ! ウィンディから聞いてるよぉ! 全く互角の激闘をした、強敵と書いて友と読むスパイスチャンねぇ! イラチャンもだけど、カワイイなぁ~。ミーの中の色欲が疼く~』
『あーっ、センシティブは動画から収益化剥奪されるから勘弁~!』
『ミーの配信は全部収益化剥奪されてるよぉ~? 案件で食べてるー』
「ストロングスタイル~!!」
このエッチな感じの色欲後継者な彼女は、ルクシリア・アスモデウス。
愛称はクシーなんだって。
アメリカで活躍中の配信者。
ただいま人気急上昇中!
なお、アンチの数も物凄い。
リアルヒットマンを送り込まれて、全て撃破しながら悠々自適に暮らしてるらしい。
『ミーの国はプロテスタントの国だからねー。カトリックよりは寛容だけど、ミーは行き過ぎなんだと思うなぁ。一応服着てるんだけどぉ』
髪で隠れているようだけど、必要なところだけは隠してあるんだそうで!
そりゃあ日本の配信だと全身像出せないなあ。
「それじゃあさあ、スパイス思うんだけどさあ。暴食がはづきっち、憤怒がイラちゃん、色欲がクシーちゃんでしょ?」
『ちゃん付け嬉しぃ~』
まあ、ルクシリア、中の人はまだ十代なんだそうでスパイスからするとお嬢ちゃんだからね……!!
ウィンディの友達ならさもありなん。
「嫉妬の大罪もどこかに転生してるってこと?」
『してるだろうなー』
『してるだろうねー。特に自己顕示欲とか強そうだもん。絶対配信者として出てくるなぁ~』
大罪の配信者が四人揃ってしまう!
なお、傲慢はイギリスで議員やってるし、怠惰は中国から日本に亡命してホテルでだらだら暮らしてるし、強欲はインドで会社起こして活躍してるらしい……あっ、この間知り合った、冒険配信者うぉっちちゃんねるの管理人さんが強欲の分体なんだっけ!
大罪七人、みんな個性的だあ。
とりあえず配信者が、今は一番手っ取り早く欲を満たせるってことだよね。
色欲のクシーは、今のところアワチューブのAIがBANしようとしてくる度に、色欲の力でAIをショートさせて乗り切っているらしい。
あまりにも強い。
個人で世界的システムと戦ってる。
『おっとっと、ミー、そろそろ学校に行くので……』
この発言にざわつくコメント欄。
クシーがこんなセクシーなのにまだ学生さんだって聞くと驚くよね!
※『でも向こうは成人してからの学び直しとか多いんでしょ?』『この色っぽさでまだ十代はやっぱり信じられない……』『アバターがそうなだけなのではないか』
ワイワイとコメントが紛糾していると、クシーがウィンクした。
『ミーは飛び級で大学入ったから、今セブンティーンだよぉ』
一瞬の沈黙。
そして怒涛のように流れるコメント欄。
みんなうおおおおお!! とか叫んでる。
さすがイラちゃんのリスナーだなあ!
『おい鎮まれー! 鎮まれお前らー! ほい、憤怒ファイヤー』
コメント欄が一瞬、黒く燃え上がった。
※『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』
※『俺は正気に戻った』『ファイヤー助かる』『俺たちはイラちゃんに色々捧げているはずなのに』『むちむちぷりんぷりんに意識を持っていかれるところだったぜ』
「そんな謎のパワーがあるんだねえ……!! じゃあねえクシーちゃん! またねー!」
『バーイ!』
去っていった。
「イラちゃんの人脈が広がったねー」
『スパイスちゃんの人脈でもあるでしょー。やっぱ配信者は横のつながりよ』
「ほんとほんと! それでさ、スパイスは今日は企画を持ってきたんだけど」
『おっ! なになに? 面白いこと?』
「もちろん! 日本カワイイ三巨頭会議……やっちゃわない?」
大企画が動き出すのだ!
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