第171話 風と氷の魔女、秋葉原に行く
「じゃあご協力いただいたお礼に東京観光を案内するよ。どこ行く? 浅草? 両国?」
「秋葉原デス!!」
「うおーっ」
そういうことになった。
ウィンディ、日本文化研究専攻らしいが、主にサブカルを担当してたりするんだろうか。
アニメもかなり見てるらしいし。
まあ、そうでなければ某漫画家記念館で興奮しないか……。
「でも、某漫画家のアニメは確か女性に受けが良くて、だったら池袋がいいと思うんだけど」
「ワタシ、アニメやコミックの美少女ラブデース! あと、カワイイ服着て歩きたいデス!」
「なんとーっ」
そういうことになってしまった。
マシロにも連絡し、
『ううっ、あたしの仕事してる時間ッス……! 先輩の事は信じてるッスけど、胃に悪い時間が続くッスよー』
「すまんな。後で美味しいご飯探しておくから一緒に行こうな」
なんとか許可してもらった。
ここでポンと手を叩くウィンディ。
「そうデス! スパイスの姿で行けばいいデスよ! そしたら浮気できないデスからね!」
「それだな……! 元の姿のまま、金髪美女と歩いてたら、誰かに見られた時にとてもヤバい」
ということで、翌日は秋葉原観光となったのだった。
では、どうやって秋葉原に行くか?
電車でもいいが、我が家にはあそこまでサクッと行ける手段が存在する。
「お邪魔しマース!」
「ああーっ、朝から外人の人がうちに来たッスー!!」
「マシロ、そんなにウィンディ苦手か」
「背が高くておっぱいとお尻の大きい美女は苦手ッス……!」
身長とボンキュッボンはマシロが持ち得ないものだからな……。
だが、俺が選んだのはマシロなので安心して欲しい。
人間、プロポーションばかりが価値ではないのだ!
とりあえず出勤前のマシロをハグして頭をなでなでするなどし、安心度を高めてから行ってもらった。
さて、我が家。
『ほほーん、ここがあなたがたのハウスなのね』
スノーホワイトが不敵な感じで我が家の中を飛んでいる。
『うおー! 来ましたね! 返り討ちにしてやりますよー! おりゃー!』
『空中戦でスノーに挑むとは、フロータはおバカね! あちょーっ!!』
『ウグワーッ!』
『んフロータが空中で負けたぁ!』
『あいつ浮かんでるだけでやんすからねえ』
『猪突猛進だから動きが読みやすいんですよねえ』
「家の中で戦わないでね! 家具とか壊れるから!」
「協力しマスよー! スノーホワイトカモン! 暴れたらしばらく魔法使わないデスよー!」
『それは困るわ!! 魔法は毎日使ってもらわなくちゃあなた成長しないじゃない!』
ピューッと戻って来るスノーホワイトなのだった。
仲良しだなあ。
なお、フロータはまたふわふわ浮かんできて、『うおおリベンジマッチですよー!』とか叫んでいた。好戦的だなあ。
さて、我が家で俺はスパイスに変身。
そしてウィンディは持ってきていたコスプレに変身。
「スーツケース置いていけるの便利デスね!」
「そうだねえ……おや、そのコスプレは……」
「ハイ! カンザスでは制服が無いデスからねー。ハイスクールの頃、ずっとジャパンの制服に憧れてたんデス!」
ブレザーにミニスカ制服!!
気合を入れていい生地のを買ったらしく、かなり本格的だ。
色はピンクだから現実には存在しない制服だが。
デザインと、これをナイスバディな白人美女が着てるのが完全にコスプレだが。
「ま、スパイスもコスプレみたいなもんだし、いっか! 行こう!」
「レリゴー!」
まず、我が家から異世界に降り立ちます。
「オー! スパイスのハウスからアナザーワールドに!? 便利デスネー!」
「でしょー。ここを経由して、魔法陣で秋葉原まで飛ぶんだけど……」
「オーケー! 魔法陣まではウィンディになったほうが速いデスから!」
彼女も変身し、スパイスをおんぶして飛んでもらった。
うおー、速い速い!!
風と氷の魔女の飛行はとんでもないな!
風圧も、風の魔法で和らげてるらしく、とても快適だ。
「スパイスは変身前はあんなにビッグなのに、スパイスになるとトゥーライトデスネー」
「ちっちゃいからねー。メタモルフォーゼは重さも変わるし!」
アバターは重さ変わらないんだよなあ。
だからマシロは背が高く変身しても軽いままだし。
……イラちゃんが変身すると軽くなるのは、あれは大罪の力を使ってるからなんだろうか。
あのおじさん、謎に包まれてるな。
さて、到着!
魔法陣!
ここにフロータが取り付き……。
『秋葉原ですね? お任せください! 関東圏の有名な駅の位置は覚えてますよー。あ、ほいほいのほい』
『相変わらず異常に器用よねえ……! あいつ、その気になったら私たち魔導書の初期魔法なんか完璧にコピーするでしょ?』
『んその程度はするだろうなぁ。だがぁ、深淵まで至れない程度だから考える必要もないぃ』
『フロータと得意分野が全然被らないイグナイトは余裕でしょうよ!』
魔導書のわあわあ喋っているのを聞いている間に、魔法陣が変化完了した。
ここをエイッとくぐると……。
「イエー! アキハバラデース!」
賑やかな電気街口に立ち、今にも飛び跳ねんばかりに喜ぶウィンディなのだった!
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