第163話 リスナーから呪文を募集します!!
「どーれ、ガードマスクの成長を確認させてもらおうかなー」
「恐縮です!」
いかついヒーローマスクのおじさんが、幼女に向かって空手っぽい礼をしている光景!
※『うおおおお』『ガードマスク再登場か!』『おっさんどこまで強くなったんだ?』『造形がゴージャスになってる!』
「リスナーの方から色々いただきまして……。お陰でこのように本格的に配信者っぽい姿に」
腰が低い!
スポンサー(欲しいものリストを送ってくれる人)ができたから、彼らの顔に泥を塗らないように発言と仕草に気をつけてるんだそうだ。
社会人~!
「ほんじゃあ、行ってみよう! 早速ダンジョン化した公園のあちこちからゴブリンが湧いてきたので」
「押忍!!」
「ガードマスク空手やってた?」
「高校時代はラグビー部でした!」
※『納得しか無いファイトスタイル』『体ができてるんだな!』
確かにねー。
でもなんで押忍?
「うおおおおお!! おらああああ! どらああああああ!!」
『ゴブーッ!?』『ゴブグワーッ!!』『ゴブガーッ!?』
エアガンを射撃しながらガンガン突き進み、接敵したらゴブリンを引っ掴んで顔面パンチ!
後ろからまとわりつかれたらひたすらエルボー!
掴んで持ち上げて地面に叩きつけて、上から杭打ちパンチ!
「パワーアップしてんねえー!」
※『同接と武器の強化でむっちゃ強くなってる!』『ビースト! って感じのバトルスタイルだな!』『体力あるよなー』
「ほんとにね! いやー、やるねえガードマスク! これは今後の成長にも期待だね! 戦い方に幅をもたせるとリスナーさんも飽きないかも」
「幅ですか?」
ゴブリンたちをぶっ倒して立ち上がったガードマスク、ちょっと肩で息をしてる。
「格闘技を習うとか! 今度ね、コーチ頼んであげるよ。スレイヤーさんでいい?」
「ええっ! あ、あの大京嗣也に!?」
「本名あかーん!! スレイヤーV!!」
※『本名言っちゃったw』『みんな知ってるけどなw』『っていうかガードマスク、スレイヤーVのフォロワーだったんか』『なんとなく納得』
まあ、パワー系配信者の原点にして頂点みたいな人だからね。
技だとか魔法だとかじゃなく、パワーで八咫烏とかDizと並び立つ人だから、フィジカル系配信者にとっては神様みたいなもんだろう。
「ってことでここからはスパイスなんだけど、ここで一つみんなに課題があります!!」
※『!?』『課題!?』『なんだなんだ!』
「スパイスは呪文を詠唱しながら戦うんだけど、この呪文のレパートリーには限界があります! そこで、お肉どもから詠唱する文章を募集しまーす!! 一人一文節までね。コメントにガンガン書いていって! 今、コメント欄をメンタリスとフロッピーが精査していい感じのをピックしてくれるから!」
『任せるでやんすよー! あっし、最近厨二アニメを履修してこの辺り詳しくなってるでやんすからねえ』
『頑張りましょうお兄様!』
『頑張るでやんす!!』
※『うおおおおリスナー参加企画!!』『考えろ、厨二フレーズを!』『優雅なフレーズでもいいんですの?』『なんでもいいから送っちゃえー!』
ワーッと盛り上がるコメント欄なのだ。
幸い、この公園は、序盤のモンスターが弱いみたい。
チョロチョロ出てくるゴブリンを、この間詠唱したフレアアローで退治しながらリスナーからの呪文詠唱を待つ。
※『深遠なるものどもよ』『フォマルハウトの空より来たれ』『いでよ、五色の魔龍!』『曖昧なりし虚空の王』『侵略する蒼』『地より吹き上がる業火』『眠りの園へと招かん』
「すげー!! 厨二ーっ!!」
こりゃあ凄い!!
リスナーの中にプロの厨二民がたくさんいるぞ!
『大魔将の眷属の生き残りとか現役がいる気配がありますねえ……』
フロータが胡乱なことを言っている。
そんなのまでスパイスの配信見てるの?
『主を失った大魔将の眷属は、この世界で生きていくしかないですからね! この間のマンマーみたいに、モンスター側の存在でも上手いこと共存しないと全滅しちゃいますから』
「ははあ、じゃあ人間といい感じでやってる連中がリスナーになってるんだねえ」
※おさかな『マンマーです! 耐水性のスマホから見てます!』『本人きちゃあ』『マンマーが配信見てるのw』
「いたー!! じゃあ、深遠なるものどもよ採用しちゃおうかな」
※おさかな『やったー!!』『俺らと反応変わらなくて草なんだ』『この順応性よ』
ってことで、ポケットにはアイソトニック飲料が入ってるぞ。
これのちっちゃなペットボトルを開けて、ゴブリンたち目掛けて詠唱を開始する。
「侵略する蒼、包み込むわだつみ……深遠なるものどもよ、海の声を響かせよ! あっ、なんか魔法の名前が頭の中に」
『主様ー! より深く海の魔法を知ってくださってありがとうございますー!』
マリンナ感激の声が響く!
というところで、アクアスパイスに変身してしまった!
うおー、なんだこれはー!
「放て! ボルテックス!!」
『いけー、海の上位魔法! 海に散った水の大魔将の因子を利用して、今ここに全てを飲み込み砕く大渦を召喚せん!! 私の侵食はアクアスパイスにいい感じでスーッと吸収されたっぽいですね。便利~』
ペットボトルからとんでもない大きさの渦巻きが飛び出す。
それが周囲のゴブリンやダンジョンを飲み込み、バッキバキに砕いて巻き込んでいくのだ!
「うひょー! なんだこれー!!」
ダンジョンボスみたいなのまで流されてきて、『ウグワーッ!!』とか言いながら吸い込まれていった。
そして……。
魔法が終わった後、めっちゃくちゃ疲れたぞー!!
「うおおー、うごけーん!」
※『スパイスちゃんがぶっ倒れた!』『すげえ魔法だったもんなあ』『あれが海の上位魔法かあ!』おさかな『さもありなん。陸の上で海を呼び出す……感動しました!!』
あっ、マンマーからスパチャが飛んできた!!
こいつクレジットカードとか持ってるのか!!
なお、残りのアイソトニック飲料を飲んだら元気になった。
海の魔法で失った体力は、スポドリで回復するらしい。
『現代の海のポーションみたいなものですね。生物の血潮は海の水に成分が似てたりしますから』
ウッキウキのマリンナが解説してくれた。
で、上位魔法の力を引き出したマリンナに、他の魔導書たちがぶうぶう言っている。
『んずるいぞぉ! 俺はぁ、味方してくれる眷属とかいないぃ!』
『コツコツ魔法を開拓してもらってるあっしが馬鹿みたいじゃないでやんすかー!』
『んぎー! 他の魔法が強くならないと私の魔法がアンロックされないけど、それでも悔しぃー!!』
鎮まれ、鎮まれ魔導書たちー!!
だけどまあ、これはかなりスパイスの修行が成果を挙げちゃってるんじゃないかな?
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