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TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~  作者: あけちともあき
奥様コラボと同じマンションのドラゴン

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第139話 スタンピード対策!

「大京さん一家はイカルガのイベントを見に行くみたいだね。俺はその予定は無いから、現地を守りながらスタンピードが裏返るのを待とうと思う」


「ふんふん。あたしはお手伝いッスね」


「そう! パワーアップしたシロコで一緒に戦おう。あと、地元の小規模配信者がいるから、ちょっとまとめて対策チームを作る」


「えーっ!? この街に他に配信者がいたんスか!?」


 そりゃあいるだろう。

 だが、大体の配信者というものは専業でやれないくらいの規模なものだ。

 登録者多数の大手ばかりが目立つため、配信者はキラキラした仕事みたいに見られることが多いのだ。


 というか、未だにご年配の方々からすると、冒険配信者はいかがわしいものであり、見るべきではないみたいなイメージがあったりもするらしい。

 世界の平和を守ってるんだけどなあ。

 今冒険配信者を応援しないことは、平和への背信行為とすら思われてたりするしな。


 あれっ、信心の自由が許されない本邦、ディストピア……?


「先輩がまた妙なところに行ったッス!」


「あー、ごめんごめん! とりあえず、俺等の住所が知れるとよろしくないから、それとなくこの辺り住みの配信者を探ってみようか。大体仕事のついでにやってて、そこまで個人情報を隠してないこと多いから」


「詳しいッスねー!」


「そりゃあもう研究してるからさ」


 地元のダンジョンばっかり攻略してるなーっていう配信者は二人チェックしてある。

 一人は俺より年上のおじさんで、アバターを買うお金が無いらしくて覆面を被ってる。

 武器は安そうなエアガン。


 もう一人……いや、一組は高校生男女のチームだ。

 ストリートダンスみたいなのを戦闘スタイルにしていて見栄えがする。

 ただまあ、技術なんかは八咫烏やDizの動きを見慣れていると子供だましですがね……。


 いやいや、頂点と子どもを比較してどうする。

 ということで。


 この二人に、直接スパイスから接触しに行くことにしたのだった。

 イカルガ大感謝祭まであと少し。

 全く猶予がない。

 今日中に二組を取り込んで、この街を守るチームにする。


 まず、おじさんの方。


「うおおおっ! ガードマスクに任せろっ!」


 叫びながら、エアガンをぶっ放すおじさん!

 市販の覆面でガードマスクを名乗る……! いや、自分でも彩色を変えてイメチェンしてるし、百歩譲ってオリジナルでもいい。

 それにこの人、同接つねに一桁だ。

 当然のように収益化できてはおるまい。


 それでも、危険なダンジョン配信をなぜやるか?

 自己肯定感のため?


『もがーっ!!』


「うわーっ! エアガンが効かない! だが、ガードマスクは諦めない! ここは! 昭和から愛されるお豆腐屋さんがあった場所です! 断じて! ダンジョンなんかにされていい場所じゃあないっ!! うおおおおおっ!! うおおおおーっ!!」


『ゴブワーッ!?』


 ゴブリンともみ合いになり、エアガンで相手の頭をガンガン殴りつけてKOしたおじさんなのだ。

 最後は気合の雄叫びが、完全にゴブリンを圧倒していた。


 この人、本当に義侠心で戦ってるっぽいんだよな。

 信用できる。


 おじさんを囲むように次々現れるゴブリン。


「今までにないピンチ……! こちらの攻撃はあまり効きません。だが、ガードマスクが退くことは、街の思い出が一つ消えていくこと……。それを、ガードマスクは許さない!!」


 絶望的な状況だが……おじさん……いや、ガードマスクは諦めないのだ、絶対に。

 折れぬ、くじけぬ、立ち向かう。

 そんな背中に加勢せねば、魔法少女じゃないよなあ!


「うおー! 助けに来たぞ助けに来たぞ!」


 そこにスパイス登場!

 イグナイト入りのエアガンで、ゴブリン共を爆発させる。


『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』


 ここまで反応の少なかったコメント欄に激震が走る。


※『えっ!? スパイスちゃん!?』『スパイスちゃんなんで!?』


「ガードマスクの! 正義を叫ぶ声に反応したぜ! スパイス登場だあー! 手を貸すよー!!」


 ガードマスクは一瞬きょとんとした後、すぐに味方だということだけを理解して強く頷いた。

 おや?

 スパイスの配信見てない人だな!

 だが一向に構わんよ!


「ありがとう!! 絶対にこのダンジョンはなくさなくちゃいけないんだ! 手を貸してくれ!!」


 おじさんとスパイスは固く握手を交わすと、背中合わせになって銃を構え……。

 連射だ!


 ウワーッと増える同接。

 おじさんのパワーが跳ね上がる。


 ちょっとみすぼらしかった覆面が変化した。

 ガンメタルの地に赤い炎マークが映える、ヒーローっぽいマスクになる!

 あのオーブっぽいのは梅かな?

 この市の特産品だし。


 人の意志は覆面すらアバターに変えるのだ。

 襲い来るゴブリンたちを次々に倒し、横合いから飛び出した伏兵は、駆けつけたシロコがやっつけた。


 最後にはゴブリンジャイアント!

 明らかにこの規模のダンジョンに出てきてはいけないやつ!


「いくぞーガードマスク! つっこめー!」


「うおおおおお!!」


 だが、どんなに強大なモンスターだろうと正義の炎に燃えるスパイスとガードマスクの敵ではない。


『ウグワワワーッ!!』


 全身をBB弾で撃ち抜かれ、ゴブリンジャイアントは膝をついた。

 そこに駆け上がるスパイス。

 ゴブリンジャイアントの頭目掛けて、ゼロ距離爆裂火球なのだ!


 さらに、おじさんは最後までエアガンの連射を止めない。


「うおおおおおお!! ここから! いなくなれえええええ!!」


 ゴブリンジャイアントは消滅した。

 戦いが終わり、配信も終わり……。


 おじさんはもとの覆面に戻ったマスクを脱いだ。


「いやあ、ありがとうございます。今回ばかりは本当にダメかと思いました」


「無茶するなー。収益化もしてないのに、正義の心だけで頑張るのすごすぎるよー」


「僕の生まれ育った街ですし、守りたいんですよ。でも、僕は特別な才能もないので、必死になるしかない。本当に助けてもらって感謝です! これで次もまた、街を守れます!」


「偉い!!!」


 スパイスは思わず飛び上がったぞ!

 感動した!


「そんなガードマスクに依頼があるんだ! 来たる某日、日本中をスタンピードが襲うと思う! もちろんこの街にも来る!」


「な、な、なんだってー!!」


 心の底から驚愕するおじさん。

 いい人だなあ。

 絶対世の中から発見されてないだけだよ、この人。


 だが、安心して欲しい。

 今日、世界が君を見つけたぞ。


「街を守る手を貸してくれ、ガードマスク!」


「分かった!! 全力で街を守らせてもらう!!」


 一瞬のためらいも無かった。

 しかし、放って置くとむちゃくちゃしそうな人だ。

 命だけは大事にな!


 ってことで、おじさんは味方につけたぞ。

 次は高校生グループの方なのだ。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
おじさん……これぞ真のヒーローと言う奴ですねぇ……
ドサ周りとは、こうやるのか。
このおじさん、いい人だあ……! 存在に心がほっこりする。 はづきっちの物語の裏で、着実に物事を進めていくスパイスちゃん。 できるおじさんやなあ。
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