第100話 我らフォーガイズ!
配信は……。
それぞれの視点で行う!
枠主はあえて設けず、めいめいのリスナーにアピールしていくこのコラボが、スパイスたち四人のスタイルなのだ!
「どーもー! こんばわー! 本日二回行動目! これからコラボだぞー」
※『こんばわー!』『二度目!』『連続行動助かる』
「うんうん! さっきはスレイヤーさんの呆れるような破壊力に唸りっぱなしだったねー。素手でオーガを捻り潰した辺りは笑うしかなかったよー。爽やかな感じのお兄さんが力であらゆるモンスターを凌駕する絵面はかなり強い」
※『超大型新人、来ちまったな……』『冒険配信スタート前に活動してた大ベテランの気配がする……』マルチョウ『一体何京元長官なんだ……』
みんなノリノリだなあー。
すでに、ツブヤキックスのトレンドはスレイヤーVでいっぱいだ。
これは大反響だったね。
古い時代の元長官を知っている人たちは、『あの英雄が帰ってきた!』『政治家だった頃は色々身動きできなくて大変そうだったもんな』『楽しそうで何よりです』『全ての束縛を断ち切って野に放たれた』とか書いていたのだった。
そういう心境になるんだねえ。
生き生きとモンスターとダンジョンを蹂躙する様は、迷宮省のやらかしで混乱の中にあったこの国をかなりホットにしたようだった。
具体的には、「こんなやれる人間をクビにしてアホを上に据えやがって、頭沸いてんのか」という感じであったまった感じである!
スパイスしーらない。
「ほいほい! ほんでは行きましょー。三人も合流してきますからねー。横のちっちゃいサムネイルにスパイスたち四人が並びます。つまりこれは……」
『スーパーオクノパーティー!!』
タイトルコールが流れる。
「スパイスがクリスマスに遊んだあれですねー。チャラちゃんが八咫烏さん連れてきてくれたやつ。おーい!」
『ウェーイ!! こっちもいい感じでホットだぜ!』
『うちもいい感じだよー。楽しくやっていこう。僕は今回もクールだからね』
『やあやあ先輩方、胸を借りるつもりでやって来たぞ。よろしく頼む!』
「こんな貫禄のある新人いるかー!」
ワッと受けるリスナーたち。
ここで、自己紹介をしていくのだ。
『ウェイウェイ! ダンジョンは消毒だぁーっ!! アポカリプス世界系配信者、チャラウェイだぜー! ヒャッハー!!』
背後で火炎放射器っぽいエフェクトが踊るチャラウェイ!
彼の一番の強さは人脈。
次に人柄。
後は自分が特別な力のない人間であることを理解した上で、万全の準備をしていくところだ。
今回の四人の中で一番人望がある配信者と言っていい。
モヒカンに顔のバーバリアンなお化粧に、もりもり筋肉で棘付き肩パットの人格者だ!
『みんな、こんばんはー。八咫烏です。えー、どういう設定だったっけ? お社から派遣された上位烏天狗だっけ? え? 違う?』
自分の設定すら忘れている八咫烏!
実はスパイスもあまり詳しくない。
この中で唯一の企業勢で、配信者業界でトップに君臨する企業の一つ、げんファン株式会社の日本勢、なうファンタジー所属。
しかもそこのトップクラスの配信者だ。
カラスの濡れ羽のような髪色をした、影のある美形……なんだけど中身はズボラで呑気なお兄さんなんだよな。
そして自分のリスナーにすら明かしてない情報として、とんでもない次元の剣の達人。
あんまりそこら辺、押し出してないし興味がない感じなんだよねえ。
未だに謎な人だ。
「はーい! どーもー! こんばわー!! 黒胡椒スパイスでーす! 魔法少女だぞー!!」
そしてスパイス!
おじさんにして魔女の後継者にして魔法少女!
以上!
絶賛魔女たちとバトル中で魔導書集め中!
最後に……。
『スレイヤーVだ。よろしく!』
若くして爽やかになった大京元長官みたいな見た目の、スレイヤーV。
基本は探検服みたいな姿をしている。
腰に装備したピッケル……いや、ウォーハンマーが武器だが、素手でもとんでもない戦闘力を発揮する。
さらに中身は元迷宮省長官で、冒険配信が始まる前から生身でダンジョンと戦い続けてきた英雄的人物。
知識、経験、実力を兼ね備え、同接が無くてもアホみたいに強い。
お前のような新人がいるかー!
ってことで、揃ったのだった!
「四人揃ってー!」
スパイスの声の後で、四人が唱和した。
「『『『フォーガイズ!!」』』』
※『うおおおおおお!!』『この四人が揃ったコラボ名が!!』『凄いメンツだぜ……!!』特上ロース『フォー……ガイズ……? ガイ……?』
「スパイスはおじさんだからねー」
コメントに流れる、スパイスは幼女だよ勢の困惑のコメント。
純粋な君たちが好きだよ。
そのままでいて欲しい。
『ウェイ、じゃあ今回のゲームについて説明していくぜ。スーパーオクノパーティに新しいDLCが追加されたんだぜ。今回はファイナル皇帝やインペリアルガードのキャラを選択できるようになったぜ! もちろん、ガワだけで全く能力は変わらない! 頼れるのは俺たちの腕と運だけだ!!』
うおーっと盛り上がるスパイスたちなのだった。
もちろん、リスナーも大盛り上がり!
※ランプ『これだけのメンツがダンジョンに潜ること無く、当たり前みたいな顔してパーティゲームでコラボしてるの本当に凄いな……w』
言われてみればね!
そして激しいゲームバトルが繰り広げられる!
「うおーっ! スレイヤーさん強い!!」
『ははははは! 俺がゲームに弱いと思ったかね? 家族と一緒にやり込んでいるのだよ!!』
『ヒャッハー! 八咫烏から金貨巻き上げだぜーっ!』
『あぎゃあああああ! この世紀末野郎許せねええええええ!!』
八咫烏がまたキャラ崩壊みたいな叫びをあげてる。
「でもざんねーん! スレイヤーさんは高山地帯送りだーっ!」
『うわーっ!! す、スパイスーっ!! 覚えてろよーっ!!』
ノリノリだなあ。
本当に楽しそうで何よりだ。
こうしてフォーガイズお披露目配信は、大好評のうちに幕を閉じるのだった。
近々ダンジョンも潜るからね。
こうご期待なのだ。
そしてスパイスには……。
あの世界的配信者、きら星はづきちゃんとのコラボが待ち受けているなあ……。
※
ちなみに。
こんな事をしていた数日後に、迷宮省の新長官がサクッと更迭。
職員たちもまた、上層部が丸ごと入れ替わってもとの体勢になったそうだ。
やっぱり市民感覚、いかんかったよねえ……。
げっそり痩せて老け込んだ新長官が、辞任する旨を発表。
その後に就任する長官は、与党穏健派の人らしい。
『前々任であった大京氏の方針を堅持し、ダンジョンの抑え込みと、配信者によるダンジョンへの容易なアクセスを実現して参ります』
もう、この答えだけで百点満点ではないだろうか?
余計なことはしない。
以前やっていて効果があった施策だけやる。
当分はこれでいいのだ。
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