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第8話 掴め!アニマルパワー!!




「皆さん!!よかったです戻って来てくれて……こちらへ!すぐに手当てします!」


 アジトへ戻って来た皆さんをすぐに椅子へ座らせます。皆さん肩をかしながら歩くのもやっとって様子です。擦り傷にあざが見えてとても痛々しい……。私は戦えないから皆さんをモニター越しにしか見ることしかできない。そんな私がいつも不甲斐なく感じます。


「はぁ……美咲ちゃん。ごめんねぇ…私たち負けちゃった……」

「そんなこと、そんなことないです!熊沢さんたちはまだ負けてなんてないです!」


 そうです。確かに今回のハカイダーは強かったです。でも、先に撤退したのは相手の方です。きっと勝てます。皆さんはもっと強くなれます。だって皆さんは神獣の相棒で選ばれた人たちなんです。きっと勝てる方法があるはずです。


「でもさ…あのハカイダーどうやって勝てばいいんだよ…」

「あのパワーはそう簡単に攻略できませんよ。なにかしら作戦を立てなければ…」

「そういえばさぁ。最後、ハカイダーが撤退する直前俊野くん凄いパワーだったよねぇ。あれどうやったのぉ?」

「え?なんなことですか??」

「俊野気づいてなかったのかよ!!」


 最初に熊沢さんの手当てをしているとみなさんが獅子王さんのことで話始めて随分と盛り上がってる様子です。どうやら獅子王さんの最後の力について話してるみたいですね。確かに獅子王さんはあのマワシハカイダーの攻撃を唯一跳ね返しました。おそらくあの力でしょう。


「みんなよく無事に戻って来てくれたね」

「お父さん…!」

「司令!!」


 部屋の奥からひょっこり出て来たお父さん。なにか工具を携えて服もところどころ汚れてる。奥の部屋から何か物音がしてたみたいだし何か作業をしてたみたいだけど…。


「まずはみんなが無事に戻ってきてくれて嬉しいよ」

「豊凱さん…」

「そしてすまない!まさかハカイダーがあそこまで力をつけていたなんて…完全に予想外だった……」

「司令が謝ることないですよ!」

「そうっす!」


 熊沢さんに鮫原さんがお父さんに対して頭を上げるように頼んでいます。お父さんだけじゃない。私ももっとできることがあったはず。ハカイダーが長期間活動していないことをもっと警戒して疑うべきでした………。


「司令。貴方私たちに何か隠していることがありますよね」

「その汚れた服とさっきまで持ってた工具箱。何してたのぉ?」

「隠すつもりはなかったんだけどね。さて説明しようか。美咲」

「はい。分かりました」


 お父さんに言われて部屋の端に放置されていたホワイトボードを引っ張ってきます。お父さんの前へ持ってくるとペンを持って文字を書き始めた。


「まず君たちに習得して欲しい力がある」

「力、ですか?」

「そう。その名もアニマルパワー!!」

「ダサッ……」


 ホワイトボードにでかでかと書かれた文字に鮫原さんがつい反応してしまいます。私も初めて聞いた時もそう思いました。お父さんのネーミングセンスは少し残念なところがあります。お父さん曰くこの名前は昔の古文書に記されていたらしいですがいまいち信用がないです。


「まぁ名前はいいとして。司令、アニマルパワーとはなんなんですか?」

「よくぞ聞いてくれたね。アニマルパワーとは聖獣の力を借り一時的に聖獣の力を使える力のことだ。この力を使える様になればきっとあのハカイダーも倒せる」

「「「「「!!!!」」」」」


 お父さんの言葉に皆さんが反応します。確かにアニマルパワーを習得すればあのハカイダーにも対抗できるはずです。しかしあのハカイダーが人間を襲い始めるか分かりません。そんな状況でアニマルパワーを習得するなんてできるのでしょうか……。


「それで今からみんなには修行をしてもらいます」

「修行?何するのぉ?」

「筋トレとか?それとも山登りでもするの?」

「いや、それじゃあ次ハカイダーが襲ってくるまでには間に合わない」

「それじゃあどうするんですか?」

「少し荒技だけど方法は1つある。こっちだ」


 お父さんが奥の部屋へ歩いていくのを皆さんといっしょについていきます。あそこの部屋確か前からずっと封鎖してた筈。何があるか私にも分かりませんがお父さん一体何をしてたのでしょうか。


「さて、ここでみんなに修行をしてもらう」

「修行ってただの部屋じゃないっすか」

「五つの部屋。見た感じ何もなさそうですが…」

「この部屋は僕が開発したんだ。名付けて、超重力負荷ルーム!!」

「……………」

「豊凱さんのネーミングセンスは相変わらずですね……」

「お父さん私に隠れてこんなものを……」

「それでみんなには今からここに入ってもらう。アニマルパワーは極限状態で力が目覚めると言われている。俊野くんがマワシハカイダーの攻撃を跳ね返したのはアニマルパワーの片鱗だ」

「あれがアニマルパワー…!」


 獅子王さんが自分の手のひらを見つめてグッと拳を握り締める。お父さんが工具を持ってたのはこの部屋の調整をしていたんでしょうね。服がところどころ汚れてたのもきっと調整をしているときに汚れてしまったんでしょう。言ってくれれば私も手伝ったのに。


「この部屋で本当にアニマルパワー?ってやつを習得できるのですか?」

「多分、ね。今考えられる限りではこの方法が1番早く習得できる方法だ。今はこれに賭けるしかない。この部屋は重力負荷を与えながら仮想敵を相手にする部屋だ。危険だが短時間で習得するにはこれしかない」

「これしかないならやるしかないじゃん!やろっみんな!!」

「僕もさんせ〜」

「俺もかな。あのままやられっぱなしってのは性に合わねぇし」

「私もです」

「そう、だね。やります!豊凱さん!!」

「みんないい返事だね。それじゃあみんな頑張ってくれ」


 皆さんはそれぞれ部屋に入って行きます。お父さんが近くのボタンを押すと部屋の上のランプが点灯し、部屋の中から皆さんの叫び声が聞こえてきます……。皆さんまだ傷も治ってないのにこんな無茶な…。


「美咲。僕らは待つことしかできない。みんなを信じよう。きっとみんななら習得できるはずだ」

「そう、そうですよね。きっと皆さんなら……」


 部屋の前でただ待つことしかできない私たち。皆さんが部屋から出て来た時に手当てできるように救急箱の用意をしなければ。




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