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第四話 初恋のあの人は




「変わった人間だったな」 


 美咲を本屋へ送り届けた後、バイクの男は自分の愛車であるバイクを運転していた。彼は自分のバイクにダーク・ヒート号と名付けており彼の1番のお気に入りである。


「あ、そういやこれどうすればいいんだ?」


 彼は美咲との別れ際に渡されたメモをしまっているポケットを見つめる。このメモには美咲の電話番号が書かれている。急いでるなかなんとか連絡先だけを渡せた美咲だったが1つだけ誤算があった。それは、彼が携帯を持っていないということ。この時代にスマホはおろか携帯を持っていない人がいるとは美咲は思いもしなかったのである。


「よっしゃ!もう一走り頼むぜ相棒!」



 ****




「てでぇまー」

「おや、ヒート。戻って来たんですか。戻ってこないかと思いましたよ」


 彼は人間が簡単には訪れることができない場所へ辿り着いた。その場所は普通の場所とは違う雰囲気を纏っておりこの空間の中心には禍々しい柱がたっている。この空間の中に彼よりも先にいた2人の人物がいた。だがこの2人見た目が人間のそれではない。人型ではあるが、身体のつくりが人間ではないのだ。


「あ?なんで俺様が帰ってこねぇと思うんだよ」

「ふふ…まずはその姿をなんとかしてくれませんか?人間の姿の貴方なんて見たくないんですよ」

「おぉ…忘れてたわ」


 彼の体が人間から2人の様な姿に変わっていく。そう、彼は人間ではない。この3人はハカイダーを束ねる幹部3人、ヒート、プラス、エアーシュである。彼らの目的はハカイダーのトップであるデス・フューチャーの封印を解き目覚めさせ、この地球を死の星にすることである。美咲は知らなかったとはいえ宿敵であるハカイダーの幹部、ヒートに恋をしてしまったのである。


「ま、いつもの貴方も見たくはないんですけどね」

「ん、だと!?」

「五月蝿いわね!静かにできないのかい!?」

「うっす……」

「すみませんね。ひとえにこのバカヒートがうるさいばかりに」

「あ?先に喧嘩を売ったのはテメェだろうが!!」

「いいですよ。喧嘩を売った気はしませんが受けて立ちましょう」

「だから五月蝿いって言ってんだよ!お前たちは言ったことも守れねぇのかい?そしたら犬っころよりも頭が悪いのねぇ」

「すんません…」

「申し訳ありません…」

「分かればいいのよ」


 ヒートに突っかかってくるのは幹部の1人、プラスである。クラゲの様な見た目をしておりルーペをつけている。ハカイダーの頭脳担当であり、知略を生かした戦いを得意とする。

 そして2人を仲裁したのは幹部の1人、エアーシュである。花魁が着ていた着物の様なものを身につけており、扇子を携えている。男勝の性格で3人の中で怒らせたら1番怖い存在である。彼女は特殊な風を起こし一度倒れたハカイダーを巨大化する能力を持っている。


「ったく…。騒いでる暇があるなら強い怪人の1人作りやしないもんかねぇ」

「そういや作戦はどうなんだよ。アイツらアニマルジャーの弱点を研究して作る怪人ってにはよ」

「あぁそれならもうすぐでできるよ。データを集めるのに時間が掛かっちゃってね」

「今度は上手くいくんだろうね」

「勿論だよ。さ、やるよ」


 プラスが禍々しい柱に手を触れると柱から煙が発生し空間いっぱいに煙が充満する。そして徐々に煙が晴れると先ほどまではいなかった4つの腕を持った力士を模したハカイダーが現れた。


「へぇ。なかなかいいんじゃないかい?」

「最近集めたデータを元にアニマルジャーの弱点をつける怪人を作ったんだよ。腕が4本あることでアイツらのあらゆる方向からの攻撃に対応可能!そしてアイツらの防御力の低さをつくために圧倒的なパワー!どうです、どうです?私の最高傑作です!名付けてマワシハカイダー!」

「プラス様!吾輩は何処に行けばいいのですか!」

「まずはアイツらの戦い方を見てもらいましょう。アイツらの戦い方を完全にマスターするのですよ」

「ごっつぁんです!」

「さあみっちり学習しますよ!」


 プラスとマワシハカイダーは別室へ行ってしまいヒートとエアーシュだけが残された。


「で、ずっと気になってたんだけど、ヒートその紙はなんだい?」

「あ、これか?人間に押し付けられたんだよ。ま、あとで捨てるよ」

「ちょっと!見せてごらんなさい!」

「あ?なんでだよ」

「いいから!!」

「お、おう…」


 エアーシュの圧に負けてヒートが紙を見せるとエアーシュは目の色が変わった様にヒートへ詰め寄る。


「ヒート…まさかこれ女に貰ったんじゃないだろうね」

「あ?なんで分かったんだよ」

「へぇ…へぇ!あんたも隅に置けないねぇ!まぁあんた顔はいいもんねぇ。顔は」

「あ?どういう意味だよ」

「とりあえずこれを渡してくれた子にもう一度会いに行きな!」

「なんでだよ。めんどくせぇ…」

「行きなさい」

「うっす……」

「これは電話番号ってやつだね。お金渡すから公衆電話っていう箱に入ってる緑の電話にかけな」

「めんどくせぇ…」

「い・い・ね?」

「分かったよ!!」


(まぁどうせすることもなかったしちょうどいい暇つぶしにはなるかもな。それにもし会わなかったことがバレたらエアーシュに何をされるか分からねぇしな)

 

別に知らなくてもいい話 その2

怪人幹部たちは環境問題がモチーフです。

・ヒート 温暖化。身体にパイプが生えてる

・プラス 海洋汚染。クラゲみたいな身体

・エアーシュ 大気汚染。着物みたいな衣装。(巨大化担当)

ちなみに名前の由来はヒートはそのまんま熱い。プラスはプラスチックの略。エアーシュは大気汚染を英語でエアポリューションで短く組み替えたものです。

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