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95. 令嬢、野営 ②

本日四回目の投稿です^^

 次にエマが自我を取り戻したのは、とっぷりと暮れた野営場所に停泊したキャリッジの中、一人きりの空間であったのである。


「ふわあぁ~、数時間のつもりが随分眠り続けてしまいましたわ、日も落ちたようですわね、おや? 何やらいい香りが……」


 香りに釣られる様に、キャリッジを出たエマの前に広がった風景は、大きな木を背景に焚火を使って串に刺したモンスター肉を焼いているマリアと、簡易テントを立てているイーサンとデビットの姿であった。

 テントは三組らしい。

 イーサンとデビットの二人は最後のテントを協力して立て終えようとしている。


 馬たちは木の近くに繋がれており、テントとグラオのキャリー、そしてキャリッジが焚火を囲む様に配置されていた。


 キャリーの脇を抜けて入って来たデニーは両手にたくさんの(たきぎ)を持ちエマに気が付くと声を掛けて来た。


「起きたようだねエマ、思ったより疲れてたみたいだね、よく眠れたかい?」


「「「おはようございます」」」


 デニーの言葉でイーサン、デビット、マリアも気が付いたらしく挨拶を送ってくれた。

 エマは僅か(わずか)に頭を下げて言う。


「ごめんなさい皆、寝過ごしてしまいましたわ、野営の準備を手伝えなかったのです……」


 マリアが笑顔で答えた。


「とんでもないですわ、デニーに聞きましたが私達が留守の間、一日の休みも無く働き続けておられたとか、気が回らなくて申し訳ありませんでした…… 少しは回復されましたでしょうか?」


「ええ、でもそれでしたら私だけでなく一緒にデニーも――――」


「僕はエマの後ろをついて回っていただけだよ、クリスへの提案も、アプリコット村の皆への説明資料も全部エマが一人で準備したんだから、疲れが蓄積するのも当然だよ、よく頑張ったね、エマ」


「デニー」


「それに僕はエマと一緒に居るのが大好きだからね、疲れなんて感じないのさっ!」


「えっ!」


 エマの顔は見る見るうちに真っ赤に染まっていく。

 二日前にエマが切り替えたとか何とか思って忘れた筈だった、デニーの気持ちを知りたいと願ったエマ自身の欲した声が、不意打ちで本人であるデニーの口から屈託のない笑顔付きで(もたら)されたのだ。


 わたわたしているエマを優しい笑顔で見つめる、イーサン、デビット、マリアの三人。


「どうしたのエマ? 顔が真っ赤だよ?」


 肝心のデニーに他意は無かったのだろう、不思議そうな表情で首を傾げて聞いていた。


「な、何でもありませんわ! もうっ、デニーったら」


 その後、皆で輪になって夕食を摂ったノブレスオブリージュの面々は、明日の決戦に備えて早めに休む事となった。


 エマが全員に、『清潔(クリンネス)』を掛けてマリアと供にキャリッジに、イーサンとデビットは一人づつテントに入り、デニーは焚火の前で最初の見張りに着いた。

 男性陣三人が朝まで交代で火の番と、万が一の襲撃に備える為だ。


 キャリッジに入るとマリアは程なく寝息を立てて眠りについたようだった。

 気丈に振舞っていてもやはり慣れない野営の準備で疲れていたのだろう。

 逆にたっぷり眠ったばかりのエマは眠りについた物の、一時間もすると、パッチリと目を覚ましてしまうのだった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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