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84. 令嬢、商う ③

本日三回目の投稿です^^

 資料に目を通しながら聞いていたクリスは思う。


――――なる程、要はアプリコット村とやらのモンスターの肉と魔石を少し高く買って欲しいと…… そこで利益が目減りした分の補填(ほてん)に、自分たちで回収し最充填(じゅうてん)したリサイクル魔石を無料で持ち込むからそれを売って当てて欲しいと…… ついでに安い武具防具の修繕屋を紹介してくれと…… ふむ、単純な話だな、悪い話でもないが…… 特段儲かる話とも言えないな~、


それにしても簡単な事を小難しく説明する辺りは相変わらずアメリアさんらしいな、王立学園の頃と変わっていないよ、残念だ…… 長い付き合いだし協力するのは吝か(やぶさか)ではないけど……


一番の疑問は王都で行方不明だなんだと大騒ぎになっている人物が、ここルンザでなんでこんな商売の話をしているかって事だけど……


はっ! ()しかしてこのモンスターのフレッシュ肉と魔石のリサイクル利用というビジネスモデルを、領土全域に広げるつもりなんだろうか! 確かにバーミリオン侯爵家とその寄り子たちの領を合わせれば広大だ、それだけじゃないエマ、アメリアさんの二人の妹達が嫁いだ辺境伯二家と配下の領地迄合わせれば…… これは凄い話だぞ! 王国内でそれ以外の重要な領といえば王家の直轄地と縁戚である公爵達の領、二家の大公領、中央から派遣されたいわゆる国王派の子爵、伯爵領だけだ…… これは……



 考えがそこまで及ぶとクリスの決断は早かった。

 もうだらだらとアメリア、エマの講釈を聞いていられる気分では無くなっていたのだ。


「次に資料の十八をご覧下さいな、そちらにある様に今後考え得る、『冒険者数の増加によるインフラ資源としてのモンスターの減少予測とその対策』についてですけれども――――」


「分かりました、そのお話お受けいたしましょう!」


 エマが驚いた声で返す。


「え! でもまだ四十ページも残っていますのよ?」


 クリスは笑顔で答えた。


「もう十分ですよエマ様、それよりも確認させて下さいませんか?」


 エマとデニーはハテナ顔を浮かべながらも頷いて話を促すのだった。

 クリスはにっこりと微笑みながら二人の顔を交互に見つめながら聞くのである。


「この商売を私、クリスが受けた場合、専売許可を頂いたと考えて宜しいのでしょうか? それもルンザだけでは無くお二人が影響力を持つ全ての場所で…… そうお約束頂けるのでしょうか? 如何(いかが)でしょう?」


 そう聞かれたエマはデニーの耳に口を寄せて小声で聞いた。


「影響力のある場所って何ですの?」


 デニーがエマの耳に口を寄せて答えた。


「うーん、多分アプリコット村、かな? 他に無いよね?」


 再びエマがデニーの耳に口を寄せた。


「そうですわね……」


 エマとデニーはハテナを浮かべたまま視線を合わせ、首を傾げながらではあったが答えたのである。


「ええ、まあ、よろしくてよ」


「僕も否はないけどね」


 クリスは立ち上がって姿勢を正すと、商人らしく左胸、心臓部分の服を握りしめて宣言したのである。


「ありがとうございます! このクリス・ポンダー、全身全霊を持って、いいえ、この命を懸けてでも、お二人の希望に沿えます様に努める事を御誓い申し上げます!」


「まあ!」


「おお、ありがたい!」


 こうして実家の大商会から独立し、新興の街ルンザで暢気(のんき)に金貸しでもやろうかと考えていたクリス・ポンダーは、予定を一新してモンスターの肉と魔石の買取所と併設された格安装備品のリペア屋さん『クリス商会』を開く事になったのである。


 素早く、空き店舗を確保し簡単な改修工事を始めたクリスによると、エマやデニー達が決戦に赴く数日前には開店にこぎつける事が出来るそうである。

 喜んでジャック達アプリコット村の人々に伝えたエマ達は、自分たち以上に喜色満面な村人の笑顔にホッと胸を撫で下ろしたのであった。


 後顧(こうこ)の憂いを一つとは言え解決した二人は次の日から二人きりではあるが、再び地獄の訓練に集中して行くのである。


『毎度お馴染みの魔石交換でございます! 使い切ってご不要となりました古魔石をリサイクル魔石と交換させて頂きます! ご利用の際は、どうぞ、お気楽に声をお掛け下さい! 毎度お馴染みの魔石――――』


 ルンザの街には今まで聞いた事の無い声があちらこちらで響くようになっていたのである。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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