72. 令嬢、独断 ①
本日一回目の投稿です^^
レイブの声を聞いて覚悟を決めたエマが大きな声で宣言をした。
「私ダンジョンに参りますわ! 後で罰を受けても構いませんことよ! ただし、レイブちゃんに何か言われたからとか、リッキーさんやモーガンさん、グロリアさんやマチルダさんのバーン登場とは一切関係ありませんのでしてよ! 皆さんにはなんの罪咎は無いのです! これは、あくまでも私の独断! 個人的判断に基づく行為でしてよ! よろしくって? 独断なのですわ、独断っ!」
デニーが続けて大きな声で言う。
「僕も行くよエマ! 勿論独断で! 早く行こう! 独断だよ! 独断!」
アンナが慌てて声を上げた。
「ちょ、ちょっとエマさん、貴女達をダンジョンに向かわせてしまっては、私がギルドマスターに――」
言っている途中でイーサン、マリア、デビットの揃った声が発言を斬る。
「「「独断です!」」」
有無を言わさずギルドから飛び出していったエマ達五人を、右腕にアプリコットの布を巻いた五十人超のシルバーランク冒険者が追いかけながら合唱を続けた。
『独断っ! 独断っ! 独断っ! 独断っ!』
訳の分からないシュプレヒコールを響かせて見る見るうちにルンザから離れて行くのであった。
勢いそのままにダンジョンに到着を果たしたエマ達であったが、ダンジョン封鎖の指揮を執っていたガンズに侵入を防がれてしまっていたのであった。
「独断なのですわ! 独断独断独断独断独断!」
「いやエマ分からないから、意味が伝わってこないから、取り敢えず落ち着けって!」
直ぐにでもダンジョン最下層に突撃したい気持ちを抑えてガンズに説明をしようとした、その時であった。
「ドロン、くっ…… はっ! エマ様、イーサン様っ!」
「ちゃ、チャーリー! ど、どうしたのですそのケガは! はっ! ハイヒール!」
ガンズとエマが押し問答をしていたすぐ脇に、チームアプリコット一の諜報担当兼、『努力あるのみ』の斥候担当であるチャーリーが大けがを負った状態で転移して来たのであった。
イーサンに支えられたまま、エマの単体回復の上位魔法、『ハイヒール』によって治療されながら、荒い息のままチャーリーは言った。
「ご、ごきげんよう、エマ様、最下層の討伐隊は壊滅寸前です、キックスさんがフロアの最奥に飛び込んで行ったのですがそこでモンスターの群れに不覚を取られ助けに向かったレッド様とホワイト様も手傷を負われました…… 今は何とか三パーティーで円陣を組んで堪えていますが、ば、場所が最奥だけに脱出もかなわず…… 転移が使える私が救援を求めに参った次第です…… 面目ない」
エマが答えて言う。
「ごきげんよう、チャーリー、良く伝えて下さいました、見た所魔力切れを起こしているようですわね、後は私達に任せて回復に専念するのですわ! 行きますわよ、独断の戦士の皆さんっ!」
「行こう、エマ!」
「「「ははっ!」」」
『応っ!』
救援を急ぎたいエマの前にまたもや立ち塞がるギルドマスター、ガンズであった。
「待て待て待てよ、エマ! 救援だったら封鎖組から選んで向かわせるから、お前の身に何かあったら――」
「お黙りになって! これ以上邪魔立てするのでしたら、私何をするか分かりませんことよ! さあ、そこをお退きになって下さいませっ!」
思わず数歩下がって道を開けるガンズの前を、堂々と進んでダンジョンの入り口に辿り着いたエマは振り返って言うのであった。
「ごめんあそばせ、では皆行くのですわ! 急ぎましてよ、それ、独断~!」
「独断~!」
「「「はっ!」」」
『わああぁー!!』
腰を抜かした様に座り込んだガンズに向けて、封鎖組の冒険者の一人が声を掛けた。
「大丈夫ですか? ギルマス?」
「……見た」
「えっ? 見たって何を見たんですか?」
「子供の頃に聞いたんだ、泥沼の南方戦線で、物資も乏しく不慣れな敵地を転戦し、朱色の悪魔と呼ばれたバーミリオンの戦士団の話を、吟遊詩人が歌って聞かせてくれた、血塗られた殺戮集団の先頭に立ち率いていた無敵の将軍、当時のマークグラフ、パトリック・バーミリオン辺境伯の姿、それを、エマの中に見た……」
「……」
ゴクリと喉を鳴らしたシルバー冒険者は、それきり冒険者ギルドのマスター、元ゴールド冒険者、『冷たい瞳』のガンズに掛ける言葉を見つける事が出来ないのであった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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