70. 令嬢、値踏みする ③
本日三回目の投稿です^^
エマが元気を取り戻した事が嬉しかったのか、マリアも嬉しそうに続いたのである。
「そうですとも、全ての能力が私たち五人の劣化版とは言え、プラチナ冒険者のキックス様が指揮を執られるんですもの、きっと大丈夫ですよ、お嬢様!」
エマとデニーは再び表情を曇らせてしまうのであった。
「あーそこなんだよね、心配なのは…… いや凄いとは思うよ、一人で色々出来るんだし、強いのは強いんだろうけどさ、なんか自信過剰気味な感じが不安を助長させているんだよな?」
「私も同じなのですわ、アンナさんに聞いたのですけれど、以前オーガキングを討伐した際なのですけど、配下のオーガ十数体は上級モンスター、他に最上級モンスターに当たるハイオーガが二体、オーガキング自身も最上級の範疇だったと言うお話だったのですわ、その時は旅の途中で偶然ルンザに滞在していた五人組のゴールドパーティーとステハムが同行したらしいのだけれど、キックス卿はオーガキングだけに夢中で、他のモンスターは全部ゴールドの六人が相手をしたらしいんですの」
デニーは顔色を青褪めさせて言った。
「え? それってヤバいんじゃないの? 今回って最上級ばかりと魔人だよね…… ねえ、イーサン! 土から出て来た最上級っぽい奴らってどれぐらい居たんだっけ?」
イーサンも顔面蒼白で答えた。
「大体四十位です…… 青と赤が二十体づつ、です…… 更に二体、魔人の左右に立っていた個体は、魔人に近いか同格かと……」
マリアは気楽そうだ。
「でもそれを報告した上で、今回はあの戦力で十分だとギルドマスターが判断したんですよね? なら大丈夫なんじゃないんですか?」
エマの顔が再び明るさを取り戻すのだった。
しかし次のデビットの言葉で再び考え込む事となる。
「それか、我々を危険から遠ざけたとか、かな?」
「うっ」
デニーが首を傾げてエマ達四人に聞く。
「なんで、ギルドがそんな事をするの? エマ達って何か秘密でもあるのかい?」
エマは大慌てである。
「ひ、秘密なんて無いのですわ! そ、それに私達じゃなくて、ぎ、ギルドが守りたかったのはデニーかも知れないのでは無くって?」
「うっ」
何故かデニーも黙ってしまった。
居残り組のアプリコット村の冒険者たちがエマの周りに集まって来たが、皆心配そうな顔で塞ぎ込んでいる。
騎士団の一人がデビットに話し掛けた。
「デビット様、そろそろ闘い始めているんでしょうか?」
「そうだな、あれだけの数の冒険者が露払いに付いて行ったんだ、直行だろうからそろそろだろうな……」
「どれぐらいで終わりますかね?」
「終わる……」
エマが呟いて頭を抱えた。
――――何故! 最悪のイメージが浮かんできたのですわ! お師匠様達やジャック達、アプリコット村の皆がキックスの無茶のせいで、せいで…… そんな…… そんな終わり方絶対嫌ですわ! でも、でも……
「行ってくればいいだろ? エマお姉ちゃん!」
「え、れ、レイブ先生? なぜギルドへ」
幼児の見た目のレイブが冒険者ギルドの中、エマの目の前に立って話し掛けて来たのだ。
やれやれと言った渋めの表情は幼い姿には似合わなかったが、気にせずに話を続けたのであった。
「仲間が心配なんだよね? だったらさっさと行けば良いじゃんか? エマ!」
エマが泣き出しそうな顔で答える。
「だけど、今回の討伐はギルド案件だから、街の留守居が私達の役目だから、冒険者なら守らなきゃいけないルールだからぁ~」
レイブがまたもや幼児には似合わない感じ、斜に構えて言うのであった。
「ねえ、エマお姉ちゃん? 冒険者になりたくてルンザに居るの? それとも他に目標があって冒険者になったの? 目的は何だっけ? いい? 目的と手段を取り違えたらだめだよ? 冒険者になるっ! それって目的だったっけ? それとも手段だったかな?」
「「っ!」」
エマだけでなくデニーも同時に顔を上げたのであった。
エマが言う。
「私は人々の恐怖や悲しみの涙を消す為に冒険者になったのでしたわ! その目的の為であれば特段、冒険者に拘らなくても良かったのでしてよ!」
「僕も同じだよエマ! 報酬なんか無くったって、仮に冒険者の資格をはく奪されたって、民の、いいや大切な人たちの流す涙をほんの一滴だろうが減らす為に冒険者になったんだからね! ……だけど、僕たちがダンジョンに向かってしまったら…… いざという時ルンザを守る者が…… いなくなってしまう、のか?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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