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66. 令嬢、快進撃 ⑤

本日一回目の投稿です^^

 六日が経った。


 今日の冒険者ギルドは早朝からざわざわしっ放しである。

 それもその(はず)、王国中の全冒険者が憧れて止まぬ存在である、プラチナランク冒険者のキックスが今日この町に到着する日だったのだから。


 エマ達ノブレス・オブリージュの面々も同じだったようで、早朝から落ち着かないで寝不足気味の目を擦りながらも、いつもより早くギルド一階のフロアに姿を現したのである。


 この日、ギルドと併設された酒場、各種装備屋前のエントランスに入る事を許可されていたのはシルバー以上の冒険者だけであった。

 それらの冒険者たちもいつものように酒場で酒に酔う者は皆無である。


 何故シルバー以上の者だけが集められているのか、それはこれからやって来るプラチナ冒険者キックスと、ギルドマスターのガンズの指示のもと、今回のダンジョンボス討伐に際してそれぞれの役目を与えられるからであった。


 ノブレス・オブリージュ、大いなる力にはそれに伴う責任が課せられる、これも又その(たぐい)の責任、義務なのだ。


 いつもの様な豪快な笑い声も、女の店員を揶揄う(からかう)卑猥(ひわい)な言葉も無く、集結した強者たちは互いにぼそぼそと低く言葉を交わし合い、それが集まる事によってざわめきを産み出し続けていたのである。


 ゴールドランク冒険者のエマ達ノブレス・オブリージュと、同じくゴールド冒険者であるレッド、ホワイトの七人はガンズの後ろに陣取るのであった。


「いらしたぞ! 『光速剣のキックス』さんが到着されたぞっ!」


 外の様子を見ていた数人のシルバーが言いながら扉を開き、直後、王国最強のパーティー、又は個人に与えられる称号、プラチナランク冒険者、『光速剣のキックス』その人がギルドの床を(きし)ませながら入って来たのである。


――――これが、プラチナランクの冒険者……


 エマはキックスを一目見て、思わず息を飲むのであった。


 モスグリーンのフロックコートに包んだ体はやや痩せて見えたが、背は高く胸や肩の張り出しが目立っている。

 筋肉か、とも思ったが、注意深く見れば中に着ている水色のプールポワンの詰め物が多いのだと判る。


 室内に入ったと言うのに脱ぐ素振りも見せ無い帽子は、紺と金色のトリコーンハット、いわゆるフットマン帽である。

 赤と黄色のオー・ド・ショースと純白のパ・ド・ショース、首には何故か銀色のラフ迄つけていた。

 何と言うか色の組み合わせが気持ち悪い、ガチャガチャし過ぎ、これがエマがキックスの見た目から受けた第一印象であった。

 

 改めて気持ち悪い色目のキックスを観察するエマ。

 鎧の(たぐい)は付けていない、唯一の防具は左手に装着したガントレットと一体になったスパイクシールドのみのようだ。


 武器は背に負った大剣、グレートソードらしいが、大体デニーの魔剣レジルと同じくらいの長さ、比して厚みや幅はどちらもほっそりとしていて重量ではレジルの数分の一にみえた。


 キックス本人の顔は整ってはいる物の、貯えられた口髭を極細にして、左右の頬の中央でクルンとカールさせているのはお洒落なのだろうか、エマには理解が出来ないセンスであった。


「お待たせしたのであーる、冒険者諸君、吾輩がキックス、プラチナランク冒険者の『光速剣のキックス』なのであーる!」


『おおおっ!』


 どよめく冒険者たちの中、一歩進み出たギルドマスターのガンズが丁寧な礼をしてからキックスに言う。


「ご足労傷みいります、アール・キックス、恐縮ですが、またもやお力を借りねばなりません」


 エマは思った。


――――アール? 伯爵なのですの? でも、王国内の伯爵領でキックスなんて領は無かった筈ですし、法衣貴族の方なのかしら? 宮中伯にも見えませんし…… あ、でも、だから、あーるあーる言っているのですわね、納得ですわ


 実の所、この伯爵はプラチナランク冒険者に与えられる名誉爵位であり、領地は勿論、宮中の発言権も無く、内政の役職に就く事も無い有名無実、やる事と言えば国内のダンジョンを回ってボス討伐をする、という冒険者のままなのである。


 勿論、指名依頼、それも王国自体が依頼者なのだから、達成報酬は破格である事は言うまでも無い。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


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