59. 令嬢、常識を教える ②
本日二回目の投稿です^^
デニーは感心の度合いを一層深くして言う。
「夫婦での合作だったのですね、なおのこと感動した、なにか褒美を贈りたいところだが…… 困ったな、今贈れる丁度良い物が手元にないが…… はて?」
「いやいやいや、褒美って! 今お代貰ったんだからそれでいいんだよ! デニーさんだっけ?」
「それでは僕の気が済まないのだが……」
このやり取りにエマが助け舟を出すのであった。
「なにか贈りたい程美味しかったのならこう仰ったら如何かしら? ご馳走様でした、美味しかったですわ、ありがとう、と」
「それは庶民の感動を伝える方法ですか? エマ」
笑顔で頷くエマ。
それを見てデニーは屋台の中に立つ串焼き屋の夫婦に向けて大きな声で言うのであった。
「ご馳走様でした! 美味しかったですわっ! ありがとうっ!」
エマの言い方をそのまま叫んだデニーに思わず吹き出すノブレス・オブリージュの仲間達と串焼き屋の夫婦。
「こちらこそありがとよ! 気に入ってくれたならまた来てくんな、おっと、いらっしゃい!」
デニーの大声で興味を持ったのか、旅の行商人風の男たちがわらわらと集まって来ていた。
一気に忙しくなった屋台を後にしたエマ達は魔石買取所、おこちゃまのレイブちゃんの元を訪れるのであった。
「レイブちゃん、エマでしてよ!」
「ちゃんはやめてよ、こう見えてもエマお姉ちゃんよりずっと年上なんだからね!」
「分かっていましてよ、デニー、こちらはレイブさんですわ、魔石の買取と、使用済み魔石のリサイクルをやってらっしゃるのよ! 因みに私達四人の魔力操作の先生でもあるのでしてよ」
「この子供が?」
「子供じゃないぞ! 体内で魔力を流し過ぎて若返っちゃっただけだい! ん? なんだお兄ちゃんルーク? でしょ?」
デニーはビックリ仰天の表情で聞き返した。
「な、なぜそのミドルネー、ぐふんぐふん、その呼び名を! ぼ、僕はデニーです! 君は一体?」
「レイブだぞ、レイブ・バーミリオンだ!」
「ば、バーミリオン、ってあの侯爵家の、マーキス・バーミリオン卿と何か、関係あるんですか? 若しかしてレディー・アメリアともご関係が?」
エマが顔色を変え、慌てて間に入った。
「ほらほら、同じ苗字なんて珍しくは無いでしょう! そんなに矢継ぎ早に聞いたりしたらレイブちゃんが困るでしょうし、マーキスの方々だって迷惑ですわ! 少なくともレディー・アメリアはそんな話題をされるのは、迷惑千万、断固拒否ですわ、いえ、きっとそう思われているのに違いないのです! と思いますわよ!」
気迫溢れるエマのダメ出しを聞いたデニーは肩を竦めて答える。
「そう言う物ですか、これは僕が悪かったようですね…… もう、過度の詮索はしないことにするよ、ゴメンねレイブ、それにエマ、反省するよ」
「わ、分かって頂ければ宜しくてよ…… そんな事よりご覧になってレイブさんの後ろに積み上げられた真っ白な魔石の山を」
言われた通りに魔力を失って白く変じた魔石に視線を向けたデニーは首を傾げている。
恐らく、こんな物一体何のために取って置いてあるのだろう? そんな事を考えているのであろう。
エマが数か月の間に覚えた知識を自信満々で披露し始めるのである。
「このレイブさんの魔石買取所はギルドやそこら辺にある商店より僅かですけれど高額で買い取ってくれるのですわ! でも、でもですわ、ここレイブの魔石買取所の真骨頂はそこでは有りませんのよ! 実はこの高めに買い取ってくれる、これって、カモフラージュなのですのよ!
実はレイブ先生が主にやっていらっしゃるのは魔石回収業なのですわ、真っ白くなって無価値になった魔石を回収して回り、対価は数こそ半分ですが、自ら最充填した八割ほど使える再生魔石なのですわよ! これが貧しい人々の生活を支え続けて居るのですわ!
どうですかデニー、貴方に伝わっているのでしょうか? ここ、この小さな魔石買取所が、ルンザで生きる数百人の貧しい民の生活を陰ながら支え続けて居るのでしてよぉ!」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^
感想、レビューもお待ちしております。
Copyright(C)2019-KEY-STU









