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57. 令嬢、メンバー募集する ⑧

本日四回目の投稿です^^

 キョロキョロ周りを確認しながら小声で聞いてくるアンナの態度にキョトンとしながら答えるエマ。


「はい、無事加入してくれることになりましたわ、ね?」


 エマの言葉に隣で頷くデニーも笑顔である。

 アンナはデニーの全身を見回してからエマに言った。


「エマさん、こちらの方はどなたなのです? 奥から出て来たように見えたのですが、一体どうやって……」


 エマは驚いた表情でアンナを見つめて言った。


「誰って、デニーじゃありませんの、アンナさんが紹介してくれたでは無いですか、どうしたのでしょう?」


「えっ!」


 アンナはもう一度自分の前で首を傾げている、エマがデニーだと主張する全くの他人を見つめながら思うのであった。


――――これがデニーさん? まさか? あれかなエマさんが馬に噛まれてできた傷を治したから?

いやいやいや、そんなレベルの話では無いわね、何しろ全身泥とモンスターの血や体液塗れ(まみれ)で服の色すら分からなかったんだから、汚くて臭くて早朝にうろうろして話し掛けても鷹揚(おうよう)な返事しかしなかった変人だった(はず)……


何かの魔法かな? 幻覚とか?


ふむ、それにしても…… 良い男じゃないの~、金髪に同じく金色の瞳、目鼻立ちの整った美しい顔立ち、すらりとした細身の長身だけど決して貧弱では無い引き締まった身体、ほぼ白に見える極々薄いシアンのジェストコールは些か(いささか)時代遅れだけど最近流行りのアビみたいに丁寧な刺繍が施されている、中々高価な物の様ね……


そう言えば手足に装着している防具も薄らと金色に輝いているし若しかして魔法金属かな? 目立たないけど額に着けている細めのサークレットも緻密な細工だわね、それに背中に背負っていた真っ黒な汚い塊、あれ剣だったのね…… なんか薄らと古代語? みたいな模様も浮かんでいるし、高そうだわ!


くぅ、まだまだ目利きが甘いな、あたしも! これ程の素材を汚いからって見過ごしていたとは……

いやいやまだ遅くはない、装備だけでも査定してみるか、うーん、よし!


「金貨で二百二十枚ですっ!」


 エマが驚愕の表情を浮かべて聞き返すのである。


「ええっ! パーティーに一人追加するのにそれ程掛かるんですの!?」


 ガンズが近づいて来てアンナの頭を軽く小突く。


「この馬鹿が! エマ手数料は銀貨一枚だ、払えるかな?」


 デビットが銀貨一枚を取り出してアンナに渡すとデニーが慌てて言う。


「いや僕が払うよ、まだ銀貨二枚残るし」


 エマがやれやれと言った顔で言った。


「デニー、この場合パーティー名簿の内容を修正して貰う手数料なのですから、元々パーティーをやっていた私達が払うのは当然の事、理に適っていますわ! それにしてもデニー、貴方のお金の使い方、なっていないのではなくて? まだ有るからと言って良く考えもしないで使ってしまっては良く無くてよ! いっそのことデビットに渡して管理して貰った方が良いのではないかしら?」


「そうだね、そうするよデビット預かって貰っていいかい?」


 デビットに向かってなけなしの銀貨三枚、全財産を素直に差し出すデニーを見て、これではすぐ騙されてしまいそうだと、自分を棚に上げて思うエマであった。


 優し気に微笑みながらデニーに言うエマ。


「欲しい物がある時や必要な時はみんなに話して使えばいいでしょう、パーティー全体のお金ですから遠慮しないで言ってくだされば良いのですわ」


「ああ、そうだね、ありがとう皆」


 エマは満足したのかガンズとアンナに向き直って言った。


「ではこれからデニーに街を案内して参りますので失礼いたしますわ! ごめんあそばせ」


 エマの後に素直に従ってギルドを出て行くデニーの姿を見て、ギルドマスターのガンズがアンナに言うのであった。


「すっかりお姉さん気取りだな、それか世話女房かな? な、相性良かっただろう?」


 アンナも言葉を返した。


「……確かに、お似合いですね」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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