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51. 令嬢、メンバー募集する ②

本日一回目の投稿です^^

 早く会ってみたくて気がはやっていたのだろう、エマが食い下がる。


「では、宿はどちらでしょうか? アンナさんが事情をしたためてくれれば、私が宿まで持って行きましてよ、そうすれば夜にはお会いする事が叶うでしょう? お願いいたします、書いて下さらなくて?」


 懇願するエマに対してアンナは再び首を振りつつ答える。


「そう思いますよね、家か定宿がありますもんね、普通は…… でもデニーさん相手では届ける場所が無いんですよ、なんでも街の端や工事現場の資材の間、閉まっている商店の軒先なんかで寝ている様なんで…… 一度ギルドの厩舎(きゅうしゃ)で飼い葉に潜って寝ていた事もありましたよ…… その時は馬に齧られたらしくて頭から血を流していましたね」


「え、無宿…… ですの? でも、シルバー冒険者ですのよね、稼ぎが無い訳ではございませんでしょう?」


「さあ? 勿論私たちは上、ギルドの宿をご紹介したんですけど、『いらない』の一言だけで……」


「まあ」


「「「……」」」


 それならば明日まで待つしかないと、不承不承(ふしょうぶしょう)ながらアンナの言葉に頷いたエマであったが、明日が楽しみ過ぎて落ち着かず、今日はもう狩りの気分では無くなってしまっていた。

 午後からジャック達の集落を訪ねる事として、午前中は宿の食堂でお茶でも飲んで過ごす事にしたのである。


 マチルダが淹れてくれた緑茶を飲んでホッと気持ちが落ち着いて行くのを感じたエマが言った。


「やっぱり緑茶は落ち着きますわ、これも昔どこからともなく現れた夫婦の旅人の奥様の方が考案されたのですって、最近では私、紅茶よりも好きになってしまいましたわ」


 ほっこりとした表情を浮かべるエマに執事イーサンが話し掛けた。


「ですがエマお嬢様、先程のデニーという冒険者でございますが、些か(いささか)怪しい様な、なんとなく変わっていらっしゃるのでは無いですかね?」


 エマは不思議そうに返した。


「どこがですの?」


 イーサンは少し悩むような表情を浮かべて答える。


「どこ、という事では無いのですが、何となく…… 私の思い過ごしでしょうか?」


 エマはいつもより真面目な顔つきになって諭すように言ったのである。


「イーサン、根拠も無く他人を評するような真似は控えなければなりませんのよ! 私達が冒険者になってからまだ三か月でしてよ? 思い出しても見なさい、お金を使うですとか、モンスターのお肉や乾燥野菜を食べるですとか、この緑茶の存在もそうでは無くって? ハンスなど質素なキャリッジを王様の乗る馬車だ、等と言っていたでは無いですか、魔石を燃料に使う事も知らなかった私達ですのよ! 庶民の中にはデニーさんの様な暮らしを好む者もいるのでしょう! もう我々とて一介の冒険者なのですよ? 貴族時代の常識に捕らわれていては駄目なのですわ、先入観を持つの駄目、絶対でしてよ!」


「こ、これは仰る通りでございます、私とした事が、大変失礼、いいや無礼な発言をしてしまいました、猛省致します」


「分かってくれたのなら宜しいのですわ」


 デビットがイーサンを慰めるように言う。


「無理もないさ、イーサンの旦那! まだ貴族の癖が抜け切れないんだろう? 実を言うと未だに私もカチンと来ることもありますからね、丁寧に挨拶しているのに商人にゲラゲラ笑い返された時なんかにこうイライラしてしまうとか、ですよ」


 マリアも追随する。


「ええ、私もそうですわ、この間もお嬢様のドレスがいつも同じだ、等と言って来た冒険者を殺してしまおうと思いましたもの! 何とか堪えましたけれども、頭に来ましたわよ! だって、同じ所かジューブのステッチもストマッカーのレースもローブのエンブロイダリーだって毎日微妙に違う物をお召しになっているのに…… どこに目を付けているのやら、ですわ!」


 エマが三人に優しい視線を向け乍ら話して聞かせる。


「すっかり庶民の生活に慣れたと思っていても、まだまだ私達の知らない事も残っている、そう言う事ですわね、仕方が無い事ですわ…… 兎に角先入観を捨ててデニーさんの能力と人となりだけに集中しましょう! あまりに可笑しな方でしたら丁寧にお断りさせて頂けば問題なくって? でしょう?」


「そうですな、そう致しましょう」


「はい、お嬢様」


「委細承知!」


 すっかり庶民に溶け込んだらしい四人、ノブレス・オブリージュの意志は統一されたようである。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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