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49. 令嬢、伸び悩む ⑥

本日二回目の投稿です^^

 先頭に立つエマがおずおずとしながら言った。


「ねえ、ステハム、良かったらこれもお持ちくださいませんか? 私達からのせめてもの贈り物ですの!」


「こ、これは!」


 エマの手に乗せられストラスに向けられた物は、四か月近く前、不意にこのルンザに現れたエマが、無一文になった際にギルド買取所に売却した、宝玉が潤沢に施された髪飾りであった。


「皆で相談して買い戻しましたの! 私たちの想い出の品としてお持ちくださいませ! んでもビックリですのよ? 金貨二十八枚でお売りした髪飾りが、買い戻す為には金貨百枚でしたわ! もうっ! 嘆かわしいですわね! ねえ? ステハム?」


 ストラスはエマの目を真っ直ぐに見つめて言うのであった。


「ありがとうエマ、実は俺は実家に帰ったら、えっと、その、許嫁と結婚するんだよ…… この髪飾り…… 彼女にあげても良いかな?」


 一瞬表情を固めたエマが、満面の笑顔を浮かべて答える。


「これは貴方に差し上げたのですわ! ステハム、貴方の思うようにお使い下さって良いのは決まり切っていますわ! 違って?」


 ステハム、いいや、ストラスは胸からヤケに豪勢な宝石箱を取り出して、エマに向けて蓋を開いて言うのであった。


「ありがとうエマ! では、代りにこれを…… これは我が妻となる婚約者に贈る為に拵え(こしらえ)た髪飾りだ! 使ってくれるかな?」


 エマはいつもの様に胸を張って、反して幾分、胸を詰まらせながらも笑顔で答える。


「え、ええ、頂きますわ…… お幸せに、ステハム…… お兄様……」


 ストラスも引き攣った笑いで答える。


「おう! いつかまた会おう! 我が妹エマよ! そしてエマを支える我がともがらたちよ…… なあ、エマ? お前は帰らなくていいのか? 王国の重鎮たるバーミリオンの家に? なあ、アメリ――――」


 エマが被せて答える。


「エマでしてよ、私は只のエマ! そう言って来たでしょう? お兄様?」


 ストラスは笑顔を深くして柔和な表情を浮かべてエマに答えた。


「そうだな、只のエマよ…… 改めて名乗るとしよう、俺はストラス! ダキア伯爵家の次男にしてゴールドランク冒険者のストラス・ダキアだ! 家名を持たぬ只のエマよ、我が最愛の妹よ、お前の幸せを祈る事しか出来ぬ兄の愚を許してくれ」


「ありがとうございます、お兄様! ダキア家を継がれるのですね! お祝い申し上げますわ! おめでとうございます!」


「「「おめでとうございます!」」」


 ストラス、ストラス・ダキア伯爵家次男は剃り上げたツルツルの頭部を掻きながら言った。


「いや、実は俺は婿入りするんだよ、兄貴が健在だからな…… 同じ伯爵家で女子一人きりの家になんだが…… 面目ないっ」


 エマを始めノブレスオブリージュの面々、居並んだ冒険者たちも声を揃えるのであった。


「「「「「「「「「この上ない縁でございました、行ってらっしゃいませ」」」」」」」」」


「お、おう! ……ありがとう、んじゃ、そろそろ行くわ! みんな、又いつかな!」


 ストラス・ダキア、いいや彼女にとってはストラースのステハムの大きな背中が見えなくなると、エマはいつも通りの美しい笑顔を浮かべて振り返り、イーサンとマリア、デビットに向けて言うのであった。


「さあ、みんな、ギルドに向かう事と致しましょう! アンナさんにメンバー募集について相談に乗って頂くのですわ!」


いつも通りの笑顔を浮かべたエマ、只のエマの両の瞳は涙を堪えているせいだろう、朱に染まって、いいやバーミリオンに染められていたのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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