41. 令嬢、捌く ④
本日二回目の投稿です^^
「おい、エマ? そろそろ今日の魔法訓練を始めないか? レッドとホワイトも来たみたいだぜ?」
ストラスの待ち切れない、そんな声を聞いたエマは、切り株から立ち上がって自らの師匠に丁寧な礼をしながら言うのであった。
「ごきげんよう、お師匠様! 徒弟エマ、本日の魔法講習を始めさせて頂きますわ! 宜しくて?」
歩み寄ったレッドとホワイト、ルンザの街で二番目と三番目のゴールドランク冒険者となった二人は、声を合わせて言うのである。
「「ああ、エマ、今日もよろしくね」」
レッドはその名の通り、炎、火炎の魔法にその才能の片鱗を見せ、対してホワイトはエマと同様の回復、補助魔法に目覚め、一か月の間農奴たちと同様に魔法講習を受け続けて居たのであった。
加えてデビットとの訓練や、気紛れで不定期に行われていたストラスとの模擬戦を経て、あっという間にゴールドに辿り着いた二人の潜在能力は、正しくエマが敬愛して止まぬ師匠達であったと言えるであろう。
レッドは火炎特化の魔法剣士、ホワイトは支援と回復持ちのラッシュスキル迄有する槍の使い手としてルンザを代表する存在になっていたのであった。
同時に少し前までルンザ唯一のゴールド冒険者であったストラスもあり得ない程の成長を見せつけていたのである。
元々使用していた身体強化は、たび重ねたマリアとの組手に負け続けた経験に依って精緻を極めた上で二枚掛けになり、更にはイーサンやエマから教えられた魔力操作の妙に依って、自身の攻撃力を瞬間であれば、数十倍に高める事を成功させた純一戦士、いいやここが世紀末であれば覇者、人々が迷わず拳王と呼ぶであろう辺りまで成長し捲っていたのである。
彼は最早、愛を持った救世主的なヤツに倒される事を待っているのかもしれない。
そうこうしていると集落の中でも魔法適性が高いメンバーがエマの元へ集まって来て席に着く。
「ねえ、エマ様今日はどんなお話なんですか?」
エマの目の前、最前列に座ったハンスが聞いた声にエマが答えて言うのであった。
「ええ、本日はマチルダから聞いてきた『桃から生まれた桃太郎! 悪い悪い鬼を皆殺し、退治するのですぅ! 』のお話ですよぉ! 宜しくて?」
「えええっ! また怖いやつかぁ!」
そんな声を聞きながらもエマはおっかない話を始める、これが魔法力強化の授業であったのである。
「昔ぃ、昔ぃ、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川に洗濯に――――」
……………………
………………
…………
……
「そうして宝を独り占めした桃太郎は、かつての手下、犬のクチシロと猿のフンババに追われ続ける日々に疲れ果て、辿り着いた廃屋で鳥のカルラによって音も無く暗殺されるのでした、めでたしめでたし」
「良かったぞエマ! 鬼? オニというのが何かは判らんが、面白い話だったことは間違いないぞ!」
「本当ですの? えへへ、嬉しいですわ、ステハム! どう、どうでしたか? お師匠様達!」
「うん、善と悪の不確かさを感じてしまう話だった、かな? ホワイト?」
答えてホワイトが叫んだ。
「レッド……、レッドォ~! 我々は犬となるべし、猿を求めるべし、鳥であるべき也ぃぃぃ! そうだよね、な、なぁ? そうすべきだろ! 稀有な逸話を聞いた…… エマ、いいやエマ様、いやいやエマ太郎様! 我々に対して、考えるな、死ね…… そう仰るのですよね? ホワイトは理解しましたよぉ! キビ団子下さい!」
エマが顔を引き攣らせ乍ら答える。
「ホワイト師匠! 何であろうが死んで良いような忠誠は間違いなのですのよ! 死んじゃダメ! それどんな狂信者ですの? って事でございますわよぉ!」
エマの魂の叫びに答えてホワイトは言った、いとも簡単に……
「はいっね! エマ! なら死なないよ! んで次のお話は何なんだい?」
「そうですわね…… では、グロリアから教えて貰ったお話、鶴の恩返しでは如何でしょうか?」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^
感想、レビューもお待ちしております。
Copyright(C)2019-KEY-STU









