38. 令嬢、捌く ①
本日一回目の投稿です^^
無一文になった翌日からのエマの努力は目を見張る物があった。
宿での食事を終えると農奴たちの世話をイーサン、マリア、デビットの三人に任せて自分一人で毒消し草を集め続けていたのである。
昼近くまで集めてお弁当の串焼き一本きりの昼食を済ませると、森の中に入って昼寝をするのが日課になっていた。
目を瞑る前にしっかり発声してからである。
「『反射』、おやすみなさいませ」
誰に言うでもなく独り言を言い、いつもの様にすやすやと眠りにつくのである。
毎日大体二、三時間経って目が覚めると、最初の日の様に中級ばかりとはいかないが、それでも十数個の低級魔石に混ざって、平均数個の中級魔石を手に入れる事に成功していた。
魔石屋に売却すると金貨二枚前後になっていた。
毒消し草も大体三十束、百五十枚をノルマにして今の所達成できていた。
これで銀貨九枚。
当初の予定より稼ぎが半分以下だったが、取り組みは概ね順調だったと言えただろう。
エマが目覚める切欠は、大声でエマを呼ぶイーサンとマリア、それにデビットの声であった。
「お嬢様! お迎えに上がりましたよ! どちらですかぁ?」
「お嬢様ー!」
「グラオ! エマお嬢様の場所へ急げ!」
まだ、ウトウトしながら目を覚ましたエマはいつもの言葉を呟いた。
「『解除』、むにゃむにゃ」
浄化は唱えない、敢えてそうしているのである。
当然、目を覚ましたエマの周りには、自らの攻撃を反射された狼や蛇、昆虫や鳥型のモンスターたちの屍がそのまま残っていた。
中には死に切れずにピクピクと蠢いている個体も存在している。
「うっぷ、この光景だけは何日経っても慣れるものでは無いですわね……」
眉間を寄せて呟いたエマの横手で蠢いていた大型のモンスターが立ち上がった。
赤黒い毛皮をしたブラッディベアだ。
片方の肩の辺りに袈裟懸けの傷、自らの爪による重傷を負いながらも目を覚ましたエマ目掛けて襲い掛かったのである。
「ボホォァ――!」
「ひっ! 」
思わず頭を抱えて蹲るエマ。
反射は解除済なのだ。
万事休す、そう思った瞬間。
ズバアァ! プッシャアァァ! ズドーン!
何かを切り裂く様な音に続けて、液体が勢い良く噴き出す音、暫く時間をおいて重い物が地面を震わせながら倒れ込んだ音が響くのであった。
恐る恐る目を開けたエマに対して、ここの所毎日聞いていた頼もしい声が届けられる。
「おい、エマ大丈夫だったか? やっぱりここで一人狩りをするってーのは危ないんじゃねーか?」
「す、ステハム? た、助かりましたわ…… ふう、死ぬかと思ったのですわ」
ストラス愛用の剣、グラディウスがブーメランの様に回転し、ブラッディベアの頭を切り裂いてエマを救ってくれたらしい。
ストラスが拾った愛剣を振って、血を掃うと同時にグラオに乗ったデビットがこの場所に走り込んで来て言うのであった。
「エマ様ご無事で! 今日も又、ストラス殿が守って下されたのか! 感謝します!」
ストラスは剃り上げたスキンヘッドにぺたんと手を置いて笑いながら答える。
「なに通り掛かっただけだ、何でも無い…… それよりエマが一人で狩りをするのはやっぱり危ないんじゃねーかよぉ? なあ、デビッドよぉ?」
デビットが兜の天蓋を上げて、深刻そうな表情を浮かべて言った。
「確かに…… この一月の間、毎日毎日、偶然ストラス殿が通り掛かってくれなければ危ない場面が何度もありました……」
「だろう? ちょっと考えた方が良いぜ! エマに何かあったらお前等だって困るんだろうが?」
「無論です」
「私でしたら大丈夫なのですわ! 今日はちょっと油断をしただけですの! 明日からはリリースする前に周囲を確認するようにいたしますのよ! 御心配には及びませんわ!」
ストラスが呆れながら言う。
「エマ…… それ、昨日も一昨日も聞いたぞ……」
「明日こそ大丈夫でしてよ! エマにお任せあれ! ですわ!」
「お、おう、そうか…… そうだな、よしっ! おいデビット! モンスターの死体を運ぶんだろう! 今日も手伝ってやるぜ! 馬車を連れて来いよ!」
「はい、毎日恐れ入ります…… では少しお待ちください!」
そう答えたデビットは、グラオを操って、馬車を呼び寄せる為、一旦木立の間に姿を消したのであった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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