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34. 令嬢、破産する ①

本日一回目の投稿です^^

 少しだけ未来への希望が持てたエマは、足取りも軽くギルドに向けて歩みを進めていた。

 そんな彼女に聞き覚えのある声が語り掛けた。


「ん? エマ! お前一人なのか? お付きはどうしたんだ?」


 奇麗に剃り上げられたスキンヘッドがキラリと光る巨漢であった。

 エマは答える。


「ストラースのステハムさんではございませんの!」


「ストラスな、んでもエマ、お前一人で街を歩いてるなんて危なくないか? 何だったらギルド迄送って行ってやろうか? 悪い人攫いとかもいるかもしれないんだぜ?」


「そうなのですわ、悪い人攫いに攫われてしまったのですのよ、でも今はやる気に満ちておりますのよ!」


「はっ? おま、攫われたのかぁ?」


 ビックリした顔を浮かべながら周囲を警戒しているストラス、見た目と違い優しい男の様である。


「ストラスさん、貴方様はこれからどちらに(おもむ)かれるのですか?」


 上目使いで聞くエマの可愛らしさにやや心拍音が明確になりながらスティファームのストラスが答える。


「うん? 俺か? 俺はまあ、飯も食ったし、久しぶりに博打(ばくち)、チーバクでも打とうかと思ってな、賭場(とば)に向かおうか、なんてな、そんな感じだったんだよ」


「ギャンブル? ですの?」


「んまあ、平たく言えばそうだな? エマには縁のない場所だろうがな」


 エマは、ポーチの中に残った三枚の金貨を見つめてから言うのである。


「ねえ、ステハム様、金貨三枚でも賭けに参加できますかしら?」


「ストラスな、まあ、十分じゃないか? 銀貨二、三枚、中には鉄貨や銅貨を持って来ている奴らだっているからな、なんだ? 行きたいのか? エマ?」


エマはニタリとした顔を浮かべて答える。


「ええ、エスコートして下さりますでしょうか? ステハム様?」


「お、おうっ! まあ、ストラスなんだけど、も、勿論だよ!」


 ニコニコと笑顔を浮かべながらストラスの逞しい腕を抱いたエマに促されながら賭場(とば)に足を運ぶ、この町最強の冒険者は意外にも純情そうに緊張した顔を浮かべるのであった。


 そのままで訪れた賭場(とば)は街の発展の勢いをそのまま映し出したかの如く、大盛況なのであった。


 ストラスがエマに教えてくれた通り、僅か(わずか)な鉄貨や銅貨を掛けて、指を組んで祈る者達や、エマとストラスの様に金貨を持って一勝負しに来た感じの豪奢(ごうしゃ)な装備に身を包んだ者、質素な身なりに身をやつしてはいるもののいずれ商人や職人の中でも生活に幾分の余裕があるだろう者たちの姿も散見されていた。


 ギャンブルを得意と思っていたエマにしても、様々な立場の人たちが混ざり合うこんな空間は全くの初心である。

 賭け馬競争で、シンシアと互いのジュエリーを賭けあって連勝記録を誇るエマですらこの場の雰囲気に飲まれそうになっていたのであった。


 腕を抱いたストラスにそっと聞くエマの言葉はこうである。


「ねえステハム様、皆さんは、ここではどんな風に賭けているのでしょうか?」


「ストラスな、ここではダイスを振って出る目が奇数、半か、偶数、丁かを当てるんだよ、分かるかな?」


 エマは頷いて言う。


「ああ、なる程ですわね! オッド(奇数)イーブン(偶数)かですのね、運が左右するシンプルな賭けですわね! 良いじゃないですのよ! 受けて立ちますわ!」


「そ、そうか…… おい、エマよ、あんまり熱くなるなよな、大丈夫か?」


「大丈夫でしてよ! お任せくださいませ! それで、金貨で賭けますの?」


「いや、ほらそっちのカウンターでチップに変えるのさ、金貨を掛ける奴なんてめったにいないからな、自分の反対の出目に掛けられた総額との差異が賭けられる金額になるんだが、分かるか?」


「ええ、大丈夫でしてよ、どちらがどれ位多いか判断しているのがあちらのディーラー、片肌脱ぎになっているカラフルな模様の肌の男性ですのね?」


「ああ、因みにタトゥーって言うんだぞ、あんまりじろじろ見ちゃダメだからな」


「まあ、見て欲しくてやってらっしゃるのかと思いましたわ、でも分かりました、絶対見ませんわ!」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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