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33. 令嬢、攫われる ⑥

本日二回目の投稿です^^

 レイブ爺さんは多少若返った感じで言った、心なしか目尻の皺も減っている様であった。


「だろう? んで、お前とお前の仲間達が持っていて、こ奴らが持っていない物を与える為にどれぐらいの時間が必要じゃろうか?」


 エマは結構長尺で逡巡(しゅんじゅん)したのであった。


 読み書き、戦闘力の底上げ、それらを教えた後で優秀な者への指揮官教育?

 更には落伍者への救済策……

 カタカタカタと悪くはない、それこそ王立学園主席の頭脳を働かせたエマはいつに無く断言をするのであった。


「レイブサン、ガガッ! コノモノタチヲ、ジリツサセルマデニハ、ガガガッ! オオヨソ、サンカゲツヲヨウシマス、ガガガッ」


「それだっ!」


 カクカクと機械のように動いていたエマに若返りつつあるレイブが叫び、その声を聞いたエマが人間っぽい動きに戻って言った。


「どれですの? レイブさん? 私それっぽい事言いましたかしら?」


 レイブはもう二十歳(はたち)くらいになっていたが、構わず言うのである。


「なら三か月かけて、農奴たちの向き不向き、特性や将来性を考えて育て上げてやれば良いんじゃないか? 三か月の間、今日の様に自分が出来る形で応援してあげればいいだろう? 今日は金貨八枚を稼いだエマだ! 三か月、百日以上の時があれば八百枚以上、二百人だって農奴から冒険者にしてやれるじゃないかぁ!」


 既にレイブ爺さんでは無く、つるつるテカテカのレイブ兄ちゃんみたいに若返ってしまったカウンターの向こうに困った顔で語り掛けるエマ。


「でもですわよ、レイブさん、この方々って結構限界なのですわ、先程飲ませて頂いたお水のせいで、私お腹がゴロゴロゴロゴロと言い始めていましてよ? 三か月も待たせたら皆さん仲良くリビングデット、()しくはその餌だと思うのですけども……」


 成程、エマほどの癒術師を以てしても下腹部の痛みを解除出来ない程追い詰められている現状である、悠長に三か月も待つことなど出来ない事は自明の理(じめいのり)であった。

にも拘らず(かかわらず)、レイブ兄さん、いやそろそろレイブ少年みたく成ってしまっていたカウンター向こうの存在は言うのであった。


「そうだね、そこでさっき教えた視野の話だよ! 視野って言うより聴覚? かな? ほらほらエマ! 耳を澄ませてごらんよ! 何か聞こえてるんじゃないの?」


 言われた通り耳を澄ませて聴覚に集中したエマには、一定のリズムで打ち鳴らされるカーンカーンと言う(つち)を打つ音が聞こえて来たのであった。


「っ? これってあれですの? 町の造成工事や建物を作ってる音なのですかしら?」


「正解! 今この町の周辺には、木こりや大工、下働きの農奴たちもメチャクチャ集まっているんだよね! それもまだまだ人手不足みたいなんだよね! 冒険者になれる! そんな言葉で集まった皆には冒険者になれない…… 全て終わった! とか思えるかもだけどさ、冒険者になれなかったって事は農奴のままなんだろ? この町はちょっと前まで貯め込んでたお金を使ってしまってでも農奴を雇いたい人もいるみたいじゃないかい? そこに話してみれば需要と供給が合致するよね? それにエマ達が冒険者として必要な知識や戦闘方法なんかを教える時間も稼げるよね? なあ、どうだい?」


 エマは目ん玉が飛び出てしまいそうな位、目を剥きだして言うのであった。


「ほ、本当ですわぁ! レイブさん、いいえレイブ君ってば天才ですわ! 私、今すぐ造成工事や建設ギルドの責任者に話をして来ずにはいられませんわ! 凄いのです!」


 レイブ少年は言葉を発するこの瞬間にも幼児化しながら言う。


「ほらほらぁ、又狭くなってるよ、視野が! エマお姉ちゃんの仲間にはしっかりして見えるメイドさんや、もっとちゃんとして見える執事さんも居たんじゃないのぉ? 自分の力、自分の周りの力、それら全てがエマお姉ちゃんの力なんだよぉ?」


「っ!! そ、そう言えば…… そうですわね、ありがとうございますわレイブ君、いいえレイブちゃんかしら? 私、やって見せましてよ!」


「うん、がんばりなよ」


「「「エマ様、我々も頑張ります!」」」


 声を揃えたジャックとチャーリー、ハンスに今日の稼ぎの中から金貨五枚を渡して夕食の足しにする様に告げたエマはギルド併設の宿屋に向けて、これから始まる物語への希望に満ちた足を踏み出すのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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