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31. 令嬢、攫われる ④

本日二回目の投稿です^^

 オドオドしながら代表っぽい青年が言うのである。


「お、お嬢様…… お名前を教えてくださいませ、我々はお優しい貴女様と出会う事が出来た、その事だけで十分でございます…… この思い出だけを持って、これから生きて参ります、お供は叶いませんが、せめてお名前を、是非お名前を!」


 エマが答えた、躊躇(ちゅうちょ)は無い!


「私はエマ、只のエマですわ! アナタ方の幸せの為に残りの人生を費やす覚悟を決めた者でしてよ! お供は叶うのです! どうですか皆さん? 冒険者になりたいのでは無くって? 如何ですか?」


 周辺に散っていた百人の冒険者志願者は声を揃えて言うのであった。


『エマ様』


 と……


 しかし、エマの言った付いて来いという誘いには懐疑的な声があがった。


 不平不満とか従いたくないと言った声では無く、こんな若いお嬢さんに無理をさせたくないだとか、男として情けないだとか、あまりにも図々しいんじゃないかだとか言う、割とまともな意見ばかりであった。


 そんな煮え切らない声を聴きながら、当のエマはいつも以上に冷静であった。


 みんなを助ける為には冒険者にするしか無いのである。

 丁度百人という事は三百十枚の金貨が必要という事だ。

 だと言うのに手元にはたった一枚の鉄貨すら無いのである。


 エマは、自分が手に持った、今は無き優しいソフィアお手製のポーチから、きょう午前中に拾った数十個の魔石を取り出して見せながら言葉を発したのであった。


「今私が有しているのはこの数十個の魔石が持ち得る全てでしてよ! 随分頼りなく見える事でしょう…… ですが私は諦めないのですわ! これを元手に皆さんを救って見せましてよ!」


 代表が言った。


「私たちの旅をこのように受け止めてくれた人など皆無でした…… お嬢様に無理を強いてしまってはいけません! どうぞお見捨てくださいませ」


 エマ、アメリア・バーミリオンはちょっと怒った顔をしたのである。


「もうこの助けてあげますわ、いいえとんでもない、助ける! だめだめぇ! 的なやり取りの繰り返しは飽きたのですわ! ここにいる者たちの中で我こそは、そんな風に思った方は付いていらっしゃれば宜しくてよ? さあ、一緒に魔石買取所のお爺さんの元に参りましょう! 如何ですか? 」


 ルンザの街に戻ったエマは真っ直ぐ魔石買取所、レイブ・バーミリオンの元へ向かった。

 冒険者志願者の中からは結局代表者の青年ジャックと中心メンバーのうちの二人、チャーリーとハンスの三人がオドオドと同行している。


 店に入るとエマは不愛想な表情でこちらを見ている老人に話し掛けた。


「レイブさん、昨日伺いましたエマですわ、ごきげんよう、今日は早速魔石を売りにやってきましたの」


「ああ、お前さんか、今日はお供が違う様じゃが?」


 怪訝(けげん)な表情を浮かべたレイブに微笑みで返しながら、ポーチの中から取り出した魔石をカウンターの上に並べつつ返事をするエマ。


「ええ、そうですのよ、新しく出来た仲間なのですわ、さあ、これで全部ですわ、鑑定お願い致します」


「どれどれ、ほう、中級以上ばかりじゃな、大したものじゃ」


「エッヘン! と言いたい所ですが、実は拾っただけなのですわ、実力では無いのです、ショボンなのですわ」


 隻腕(せきわん)の老人、レイブは右手で拡大鏡を外しながら呆れの混じった声で言った。


「はあ? 何を言って居るんじゃ、この魔石の持ち主、恐らくマッドウルフの物じゃろうが、残らずお前さんの魔法で倒されとるわい! さらに浄化か何か迄施しているじゃないか! ワシの目は誤魔化せんぞいエマよ」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

感想、ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^


Copyright(C)2019-KEY-STU

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