28. 令嬢、攫われる ①
本日一回目の投稿です^^
帰り道の馬車の中でもエマは一人でウトウトしていたが、精霊カーリーからの語り掛けも無く、今度こそ熟睡する事が出来たのであった。
マリアもイーサンの隣の御者席ならば乗り物酔いになる事も無いようで、ご機嫌で周囲の景色に目をやっている。
案の定馬車に積むほどの収穫では無かったが、デビットとグラオの後ろのキャリーには、昨日の薬草とは比べられないほど大量の毒消し草が積み込まれていた。
その数、なんと百束以上である。
ギルドに納品すれば金貨三枚以上に換金して貰えるのだ。
ノブレスオブリージュの面々の浮かべるホクホク顔にも納得がいく。
町に戻りギルドの馬車置き場にキャリッジを止めると、デビットがキャリーから大きな袋に入れた毒消し草を取り出し、その横で三頭の馬の口を取って厩舎に向かおうとするイーサンに目を覚ましたエマが声を掛けた。
「イーサン、私が厩舎に連れて参りましょう、貴方たち三人は毒消し草を納品しておいでなさいな」
イーサンが慌てて否定をした。
「とんでもない事でございます! お嬢様のお手を煩わすなど出来る訳が無いでは在りませんか!」
その言葉に満面の笑みで首を振りながら、イーサンの手から強引に手綱を奪ってエマは言った。
「良いのですわ! 今日は三人で頑張って集めたのですもの、その成果を揃って報告して来るのです! これは命令ですのよ!」
「は、はあ…… そこまで仰るのなら…… お気遣い頂いて申し訳ありません」
「お嬢様、ありがとうございますわ」
「お嬢! すぐ帰ってきますので」
何度も頭を下げてギルドへ向かう三人にひらひらと手を振って厩舎へと向かうエマは心中で勝ち誇っていた。
――――しめしめですわ、三人で必死に集めた毒消し草で金貨三枚ぽっち、私が拾ってきた魔石数十個は恐らく中級、若しかしたら上級かもしれなくてよ♪ ふふふ、みんなの仰天する顔が見物ですわ! うふふ
いたずら心でご機嫌になったエマは、ニコニコ顔で馬の口を取り、足取り軽く厩舎に入って行くのであった。
そんな風に浮かれているエマの姿を、物陰から息を殺して見つめ続ける怪しい視線が……
その存在に気が付いている者など皆無だったのである。
「お待たせしましたお嬢様! あれ? 居られないですな? お嬢様! エマ様!」
「イーサン様、お嬢様が居られないんですの?」
「先に宿のお部屋に戻られたんじゃないか? 俺がマチルダさんに聞いて来るよ」
「ああ、デビット頼みます…… マリアは念の為馬車の中を確認してください……」
「は、はい! そうでしたわ、今日も随分眠そうにしていらしたし!」
慌てて走り去る二人の姿を見つめながらイーサンはいつに無い胸騒ぎを感じるのであった。
ヴァイスとシュバルツ、グラオの落ち着きなく暴れる姿と、けたたましい悲鳴のような声が、彼に一層強い焦燥感を齎していた。
「フガフガフガ、フガフガッ!」
後ろ手に縛られた上に椅子にまで縛り付けられたエマは、猿轡越しに自分を拉致した相手に対して抗議の声、いいや抗議のフガフガを上げるのであった。
場所はルンザの街の塀が途切れた場所から外に出て暫く行った林の中、小川沿いに建てられた数十の小屋のうちの一戸である。
一旦黙って周囲を見渡したエマは室内の様子に目を見張るのであった。
掘っ立て小屋というよりもバラックと呼んだ方が正確だ、壁も屋根もそこらの草を編んだのだろう、薄汚い筵状の物が、こちらも如何にも頼りなさそうな枝製の柱に掛けられているだけである。
調度品の類も揃っておらず、平たい石が置いてあったり、何かの獣かモンスターの革袋が投げ出されたりしていた。
エマが縛り付けられている椅子が一番豪勢に見える程の有様である。
そんなバラックの中、エマの目には、みすぼらしい格好をした数人の若い男たちが地面に車座になっている姿が見えた。
小屋の外の物音に注意を向けると、もっと多くの人間の気配が感じられ、おそらく数十人以上はいるのではないかと思えた。
輪になって相談をしていた若者たちが立ち上がり、その中の一人がエマに向けて話し掛けて来た。
「お嬢さん、手荒な事をしてしまって申し訳ない…… しかし、俺達にゃ、もうこうするしか手が残っていなかったんだ…… ケガはさせないし、アンタの仲間から身代金を受け取ったら必ず開放をする…… それまで辛抱してくれ…… 済まない……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
感想、評価頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^
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