27. 令嬢、狩る ③
本日三回目の投稿です^^
ドチャリッ!
最後の一頭がエマの頭に振り降ろした爪の斬撃を自分で受け、顔の半分が切り裂かれた状態で倒れ込んだ時、夢の中での会話が再開されていたのである。
――――お待たせアメリア、解除して良いですよ
――――はっ! 分かりましたわ、『解除』! 解除しましたわ…… それにしても長かったですわね、長すぎて夢の中だと言うのにウトウトしてしまいましてよ
――――器用ですね
――――お褒めに預かり光栄ですわ♪ あら? 何か不快な感覚を覚えますわ、これは? 悪臭の様な……
――――ええ、ですからもう一つ魔法を教えてあげましょう、アメリア、貴女清浄魔法は使えるわよね?
――――清浄魔法でしたら『清潔』が使えますわ
――――ゴミや汚れを消し去る呪文ですね、そこに不浄な物や邪な者も一緒に消滅させるイメージを追加できますか?
――――むむむむ…… 多分出来ましたわ、それで起動に必要な呪文は何と言いますの?
――――やるわね! では『浄化』と唱えて下さい
――――『浄化』!!
――――それではそろそろ目覚めましょうか? 仲間達が探しているようですよ
――――まあ、それは大変ですわ! 精霊さん魔法を二つもお教えいただき、私感謝にたえませんわ! 是非お名前を教えて頂きたいのですけれど、宜しくて?
――――ん~、本当はルール違反なんだけど…… いいわ、私あなたの事が気に入っちゃったから特別よ! 私の名はカーリー、かつて神と呼ばれ悪魔と恐れられ、今は精神体となってこの世界を目撃し続ける精霊よ、アメリア、これからも貴女の旅を見守り続けています、どうか、絶望に打ちひしがれる事無く、貴女の旅が成就しますように……
――――ありがとうございますですの、優しい精霊さん、カーリーさん、私達の願いが成就するその時まで、どうか――――
ヒヒヒヒーンッ!
「んがっ! むにゃむにゃ、あっ! ヴァイスっ! オマエったら私を探してくれていたのですか?」
ブルルゥっ! ヒヒーン!
「んまあ、ありがとう! 心配を掛けてしまいましたね、謝罪いたしますわ…… それにしてもこれは一体?」
そう言いながら自分の周囲を見渡したエマの目に映ったのは、昨日レッドとホワイトが持っていた物より少し大きな魔石がキラキラと赤い色を煌かせる風景であった。
その数、優に数十個を数えるだろう。
なぜこんなに落ちているのかはエマには全く分からなかったが、売れる物だった事を思い出したからだろう、白毛の馬、ヴァイスを伴って一つ一つ丁寧に拾い上げ、イーサンの妻であり、幼い頃から自分のメイドを務めてくれていた今は亡きソフィアお手製のポーチに入れて行ったのである。
「ふぅ、どうやらこれで全部のようですわね、ではヴァイスみんなの所に戻りましょうか? あら、オマエ私を乗せてくれるのですか? うふふふ、では、遠慮なく」
前足を折ってエマの顔を見つめるヴァイスの背に腰掛けるエマ、因みに危険極まりない横掛けである。
※ エマでは無く、ヴァイスが特別賢い馬だからこそ可能な事です、良い子の皆はそこらの街角でよく見かける野良馬相手に決して真似はしないでね! 死にますから♪
エマより随分と賢いヴァイスは背に負った主が落馬してしまわない様に、ゆっくりと立ち上がると、こちらもいつも以上に慎重な足運びで、一行が待つ草原へと歩みを進めたのであった。
ゆっくりと仲間達の元に戻ったヴァイスの背に在ったエマを出迎えたのは、全身をフルプレートメールに包んだデビットの嬉しそうな声であった。
「お嬢! 良かった~! おおいっ! みんなぁ! エマお嬢様がいらっしゃったぞぉぅ! ヴァイスが見つけて来てくれたのか…… はぁ、これで一安心です……」
慌てた様子でマリアとイーサンも戻って来たばかりでなく、シュヴァルツとグラオの二頭も心配そうな表情で駆け寄って来たのであった。
呼吸が苦しいのかフガフガ言っている二人と二頭を前にして、確りと頭を下げるエマである。
「みんな、心配させてしまいましたわ、ごめんなさいね、これからはみんなに心配を掛けないようにいたしますわ!」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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