25. 令嬢、狩る ①
本日一回目の投稿です^^
翌朝、昨日同様目を3にしたエマを先頭に階下のギルドに降りて来たノブレスオブリージュの面々は、受付嬢のアンナから毒消し草の見た目や採取方法、一応念の為に群生地の情報を得ると、ギルド裏の厩舎から馬を出し、ギルド隣の馬車置き場でハーネスや胸がいを装着させると、馬車を牽かせて表通りに出て来るのであった。
後ろからはデビットが自分の愛馬を牽いて付いて来ている。
二頭でキャリッジを牽いている黒鹿毛の馬はシュヴァルツ、隣で足並みをそろえる白毛の馬はヴァイスと言い、デビットの愛馬、葦毛の馬はグラオと名付けられていた。
色の見た目まんまと言った辺りが、侯爵家となった今でも、荒ぶる戦士達を率いて闘い続けて来た、武張った辺境伯家の名残が散見されるバーミリオン家であった。
この日、馬車を使う事が決定されたのは朝食時、エマの一言が切欠となったのである。
「ねえ、みんな! 今日はお師匠様達に教えて頂いた毒消し草群生地に行きますわよね? でしたら収集物を積んで帰ってこれる様に馬車と一緒に行きませんこと? デビットのグラオにもキャリーを牽かせて参りましょう! 積み切れなかったら勿体ないのではなくって? 如何でしょうか?」
そう言われてしまってはイエスマンしかいないノブレスオブリージュのメンバーに何も言える訳も無く、町から出た街道をごとごとと進んで行くしか無かったのであった。
キャリッジ馬車の窓を開けたエマがデビットが騎乗して、後ろにキャリーを牽いているグラオに声を掛けた。
「グラオ、大丈夫ですか? 帰りはそのキャリーに山程の重たい毒消し草を載せますのよ! 辛かったら言うのですよ! どう? どうなのです? グラオ、大丈夫ですか?」
「ヒヒヒヒヒーン!」
ハッキリとは分からなかったが、エマはグラオが大丈夫だと答えた、そう判断して目の前でバケツを抱えるマリアに視線を移して言うのである。
「ねえ、大丈夫、マリア? 貴女、馬車、というか乗り物に向いてないのではなくって? どう?」
マリアは吐きながら答えた。
「ウゲェエェ~! そ、そんな事ございませんわ! ウゲェ! 直ぐに慣れますので、ゲボォ、ご心配なく! お嬢様! オジョォオボボボボォ!」
エマが呆れた顔を浮かべて言う。
「貴女そんな様子では死んでしまいますわよ! イーサンの隣の御者席に移りなさいな! これは命令です! 風を感じられる御者席なら少しはその、乗り物酔いがましになるでしょう? 今すぐ移りなさいな!」
マリアはバケツに頭を突っ込んだまま答える。
「そ、それではお嬢様がお一人になってしまうでは在りませんか、オオォエエェ! そ、そんな真似、で、出来ませんわ、ワオォウエエェ! ですわ!」
エマが鼻を摘まみながら言う。
「ええ、それはそうなのですが、貴女がいる方が私的にも色々な試練が降り掛かっている状態なのですわ、分るでしょうか? 所謂モライ〇ロ状態を辛抱している状態なのですっ! ここは素直に御者席に移って下さいませんか? ねえ、マリア、さっさと行けよ、お前臭ぇんだよ! とか私に言わせないでくれませんか? さっさと行ってくださいませ! ってか行けよ! おい! マリアよぉ! ですわ」
「は、はいいぃぃ! ただいまぁ!」
そんな言葉、悲鳴? を残してイーサンが手綱を手繰る御者席に移動したマリアを見送ったエマは落ち着いた声音で言うのであった。
「ようやく落ち着いて今日の予定に思いを馳せる事が出来ますわね! 今日我々が為すべきことは…… ぐーぐーすぅーすぅー」
眠ってしまった様であった、仕方が無い事で有ろう……
その後、レッドとホワイトが教えてくれた毒消し草の採集ポイントに到着するまでの間、エマはここ二日間の寝不足解消の為に眠りこけていたのである。
「お嬢様、お嬢様…… お嬢様ってば! はいっ! もう、着きましたよ! 起きて下さいませ! エマッ! お嬢様ぁ! ってか起きろよ! おいっ! アメリアっ! 起きろよぅっ!」
イーサンのいつに無く大きな声が森の中に響いた。
対したエマは熟睡を途中で遮られて目を瞬かせながら何とか馬車の外に出て来て言うのである。
「ああ、イーサン…… 着いたのですわね…… 先程の発言と呼び捨てにした件…… 私、死ぬまで忘れませんから…… 貴方も覚えて置いて、下さい、ね…… ふあぁぁはぁぁぁ~! それでは毒消し草採取、始めましょうではないですか! デビット、マリア! オケイッ! ついでにイーサンも…… 頑張りなさいなっ!」
「「はい!」」
「………… はい、すみません……」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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