23. 令嬢、散策する ⑤(挿絵あり)
本日二回目の投稿です^^
マリアは何とか聞き出そうとしていたが、ニヤニヤ顔のグロリアに誤魔化されたまま次の店へ向かう道すがら、レッドはエマに話し掛けたのであった。
「次に向かうのは武器と防具の店だけど、今の所俺達は用はないから顔合わせだけって感じだな、そう言えばエマ達はどんな武器を使うんだ?」
エマが立てた指を顎に付けて返事をする。
「武器ですか? 私は回復魔法を使いますが杖などは持たないから手ぶらですわ、デビットは剣と盾、鎧ですわね、あとは……」
チラリと後ろを歩く面々に目を向けると、マリアが腰を深く落として拳を構え、フンスっとなっており、その横からイーサンが冷静な顔で言うのである。
「私は石ですね」
レッドは引き攣りながら答えるのであった。
「はは…… どうやら顔見せが必要なのはデビットだけみたいだな」
「お手数を掛けます」
「いやいやそんなに手間でもないから気にしないでくれよ、ほらそこの店だよ」
大きな間口に重厚な木製の扉、表面には鉄製のレリーフに剣と盾の模様があり、一目で何の店か分かった。
扉を開けるとドアベルがカランカランと以外にも軽い音を響かせて客の来訪を告げるのだった。
「いらっしゃい、なんだレッドとホワイトか、ん、そっちの鎧の男……」
ホワイトが答える。
「こんちわモーガンさん、彼らは新人冒険者でしてね、こっちのデビットが武器と防具を使うので顔見せに来たんですよ」
モーガンと言われた職人風の大男はにっこり笑いながら言った。
「いや、そっちは俺じゃないな、おーい! リッキー! お前に客だぞぉ! アイアンシールドが来たぞぉ!」
「っ! な、何で!」
疑問の声を上げるデビットに答える事無く、モーガンはイーサンに近付いて話し掛けた。
「お前、スカウトの家の者だろう? 俺はモーガン・スカウト、待っていたぜ! さあ、お前用の武器を渡してやる、こっちに来な」
いつも基本的に冷静沈着なイーサンが、子供の様に狼狽えた顔でカウンターに連れて行かれるのと入れ替わる様に、デビットに肉薄するモーガンよりも大きな、大体二メートル位のエプロン掛けの大男がデビットに声を掛けたのである。
「おお、待っていたぞ、アイアンシールドの戦士よ! おれはリッキー、リッキー・アイアンシールドだ! そら、その背に負った盾を見せてみろよ! おれが手を入れてやる! アイアンシールドに相応しい逸品に変えてやるぞぉ! ほら、寄こせってぇ!」
完全に無視されてしまったエマやマリアを放置して、モーガンとリッキーは、同姓のデビットとイーサンに夢中、いや他の事は見えないようであった……
イーサンが言う。
「なんと! この金属ナイフを敵に投げた後、魔力を流し込めば相手の動きを阻害できるのですね?こんな武器は聞いた事もありませんが、教えて頂いても?」
「はは、これはスカウト家伝統の武具、スローインナイフにティザー銃の雷撃を追加した武器、ティザースローインだぞ!どうだイーサン、石礫より随分良いだろう? なあ、気に入ったか?」
「は、はい! これがあれば私の戦闘に於ける存在感は飛躍的に上がる事でしょう! えっと、あの、頂いても?」
「あはっ! 勿論いいとも! この武器は我がスカウト一族が何世代も前から今日、君に渡す為に研究に研究を重ねて準備して来た物だからね! 練習して使いこなしてくれよぉ!」
「は、はい!」
店の奥、少し広くなっている場所ではデビットとリッキーが話を交わしていたのである。
「おお! この石の配置は一体? ち、力が溢れて来る!」
「ああ、お前の盾に装備する為に、一族の者が何世代、いいや何十世代の間、工夫に工夫を重ねて来た魔石の配置、『鉄壁』だ、これを合体させたお前の盾は最早、伝説級になったって訳だな! この七つの魔石は使い捨てじゃない、お前の魔力を吸ってさらに成長し続けるのさ! 最終的にはお前専用の盾となる、防御力は数倍に跳ね上がるだろう! どうだ! お前自ら名前を付けてやっても良いんじゃないか? なあ、何て呼ぶ?」
デビットは手にした己の盾から溢れ出す異常な力に目を白黒させながら答えるのであった。
「呼び名、ですかっ? いや、この力強さ! まさに鉄壁、アスピーダ以外名付けようが無いかと……?」
リッキーは顔をパアァッ! と明るくさせて言うのであった。
「アスピーダ! いいね! 魔盾『アスピーダ』! アイアンシールドの始祖、パズス・アイアンシールドも草葉の陰で喜んでいる事だろう!」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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