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2. 令嬢、婚約破棄される ② (挿絵あり)

本日二回目の投稿です^^


 スコットの顔が一層暗澹(あんたん)とした事から、大体の答えがアメリアには察せられた。

 その予感の通りにスコットがトマスに答える様子をボーっとしながら見つめるしか出来なかった。


「聞いたさ、当然だろう、しかし、答えては貰えなかった…… 私とて口惜しい気持ちは同じだ、だが使いは決定事項の一点張りで…… 取り付く島も無かったのだ…… くっ!」


 拳を握りしめ無念そうな叔父と、眉間を寄せて冷静さを取り戻していく家令を見つめながら、アメリアは何も言わずに考えるのであった。


 ――――婚約は白紙? では私はこれからどのようにすれば? どうすれば民の為、王国の為になるのかしら? よく考えなければなりませんわね?


 厳しい王妃教育の結果、アメリアはどのような場面であっても、自分の事は二の次以下、常に国民や王国を優先する思考をする様に意識誘導、はっきり言えば洗脳されていたのである。


 アメリア本人とは違い、子供の頃から彼女を可愛がってきた伯爵たちの心は徐々に荒んで行くのであった。


トマスが言った。


「エマに恥をかかせた事も許せんが、これはバーミリオン侯爵家の功績に対して王国が与えた侮辱と捉えるべきではないのか? こんな非道を看過しては、南方戦線で死んでいった者たちに顔向け出来ん! 違うか? カティ」


挿絵(By みてみん)


 叔父のスコットも物騒な表情で返す。


「無論! 顔向け出来ん! このまま済ますならばな…… 兄上に図らねばならんが恐らく否は無いだろう、トム、どう思う? 彼我(ひが)の戦力比、決して無謀では無いと思うが…… どうだ?」


「ああ、我が侯爵領の戦力は王国随一だからな、加えてエマの妹達が嫁いだ辺境伯二家の助力、ここまで受爵させた騎士や男爵、子爵達の軍勢を集めれば…… ふんっ名前だけの王家を倒すには余りある――――」


 話が随分物騒になって来た所でエマ、アメリアが重かった口を開く。


「私、内戦は望むものではありませんわ、民が争うなんてとてもとても…… ねえ叔父様、トマス様、私に歩むべき道をご教授くださいませんか? どうすれば、皆が、民が、兵たちが、最も幸せになるのでしょうか? 今ある笑顔を失わせない為に、私は、私はどうすべきなのでしょう?」


 この一言を聞いて、いきり立っていた二人の伯爵はすっかり毒気を抜かれてしまった(てい)で言葉を探している様だった。


「え? ん、んんん…… 争わぬと言うのなら、ええと…… お前が領地に帰ってほとぼりを冷ますのが一番だろうが…… なぁ、エマ、いやアメリア! お前はそれで良いのかい?」


「そうですよエマ、いいえアメリアお嬢様! この侮辱をそのままに受け入れると言うのですか? 一戦も辞せず! 我々家臣一同はそんな気持ちなのですが…… えっと、本当に?」


 アメリア・バーミリオンは胸を反らす事も無く、優しい笑顔を湛えて言うのであった。


「ええ! 問題ありませんわ! 私は領地に帰ります!」


 扉の前に控えて室内の会話を聞いていたアメリア付きの執事、イーサン・スカウト男爵、トマス・スカウト伯爵の弟が、室内に顔を見せて嬉しそうに言う。


「いいですね、お嬢様! 私もお供いたしますとも! 兄上、スコット様! 私にお任せくださいませっ!」


「むぅぅぅっ!」


「イ、イーサン? ま、まあ、エマがそれで構わないと言うのなら……」


「スコット叔父様、トマス卿、私それで構いませんわっ!」


「ええ、ええっ! お嬢様の仰せのままに!」


 にっこり笑ったアメリアに同じくにっこりと返す執事のイーサン男爵。 


 こうしてバーミリオン侯爵令嬢、アメリア・バーミリオン嬢は王太子との婚約破棄を柔らかな笑顔の内に受け入れたのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)


まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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