19. 令嬢、散策する ①(挿絵あり)
本日一回目の投稿です^^
エマは敬愛してやまぬ師匠達、レッドとホワイトに追いついて一息ついた、メイドのマリアと執事のイーサン、護衛騎士のデビットも無事合流できた。
三人の顔を振り返ったエマは安心の笑顔で頷き、前を行く師匠達に問い掛けるのであった。
「お師匠様、これからどこに向かいますのでしょうか? もう、ギルドで薬草の達成報告はお済みなのでは? 宿、若しくはご自宅に帰られるのでしょうか?」
なるほど、今現在のエマにとっては、ギルド併設の宿泊所、マチルダの待つ宿とギルド、そして薬草か毒消し草の採取場所、この三箇所が人生の舞台そのものであったのだから、それ以外の町中を迷うそぶりも見せずに、ズンズン進む二人の姿は甚だ異質に感じられたのも当然の事であったのだろう。
「ああ、今から、そうだな…… 魔石買取所に行って、肉の買取所、壊れた武器と防具の修繕屋、後は俺達に個別に発注してくれている飲食店を二、三箇所かな? エマは魔法職だったから、案内の意味で魔道具屋とスクロール屋にも寄ってみようか? 途中でお昼ご飯、そうだな、今日は四人に俺達が奢ろうかな? どうだろう、ホワイト?」
「ああ、良いんじゃないかな? ついでに道具屋とかも教えておこうよ! 武器素材でも防具素材でもガラクタでも買い取ってくれることが多いからね、エマ達には必要なんじゃないかな? レッド?」
「うん、そうだな、エマ、皆もそれで良いか?」
エマが目尻に感動の涙を滲ませながら答えた。
「私たちの様な者の為に…… お二人がここまで親身になって考えて頂けるとは…… くっ! いつかこの命、いいえ、私達四人の命を捨ててでもご恩に報いる事でしょう! ええ、ええ、そうでしょうともっ! そうでなければいけません! ねえ、みんな、違ってぇ?」
「「「御意っ!」」」
レッドが後頭部を掻いて答えた。
「いや、この町で使えそうな所を教えるだけだよ、そんな大仰な……」
ホワイトが言った。
「ははは、エマや皆はこういった感じなんじゃないの? 好きな様にしてくれれば良いじゃない、レッド?」
「そうか…… そうだな、ホワイト」
そんな事を言っている内に辿り着いたのは一件目の目的地、魔石の買取所であった。
看板も無く扉も無い開けっ広げの店舗にはカウンターが一席分だけであり、陰気そうな老人が一人、座っているだけである。
左の肩から先を失った隻腕だが、失って長いのか特に痛そうにも不便そうにもしていなかった。
屈託なく近づいていったホワイトが老人に声を掛ける。
「おやっさん、今日は七つだよ」
「どれ、見せてみな」
不愛想な事この上ない老人の一挙手一投足を見逃すまいと目を見張って観察するノブレスオブリージュの面々であった。
ホワイトが渡した石、やや赤みを帯びている結晶に向けて、自分の片方の目に拡大鏡を挟んで一つ一つ鑑定? 残った右腕を使ってゆっくりと吟味して行く老人は、レンズを外しながら答えたのであった。
「七つの中に中級が二つ入っておったぞぉ、これなら買取価格は銀貨九枚になるが、どうじゃ、それで良いかのぉぅ?」
ホワイトが嬉しそうに答えた。
「も、勿論! 中級が二つって、ほ、本当に? やったねレッド! 遂に一日の討伐で中級モンスターを二匹も倒しちゃったみたいだよぉ?」
「あ、ああ…… そうだな…… おやっさん、あの、本当ですか?」
老人が言った、不愛想な表情のままである。
「そうだ、お前らの倒したモンスターは中級だな、そろそろカッパーでなくて、シルバーランク冒険者に上がって良い頃じゃろうて」
レッドとホワイトは顔を見合わせて大きな声で叫んだのである。
「「よっしゃぁっっー!!」」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU









