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15. 令嬢、宿泊する ②

本日二回目の投稿です^^

 マチルダが驚いた表情を浮かべた後、一転愉快そうな笑顔で答える。


「そうだねぇ、誰が考えた物かは分からないけど、ずいぶん昔から使っている香辛料とハーブなんじゃないかね? 少なくともアタシの婆さんが子供の頃から変わってないんと思うけどね、エマの家でも使ってるんじゃないのかい?」


「いいえ、一昨日伺った居酒屋とお夕食を頂いたこちらの食堂以外では今まで一度も経験した事ない味と香りですわ」


「へぇ~エマの家は随分お金持ちなんだねぇ、モンスターの肉や乾燥野菜を食べた事が無いって事なんだろ? そいつは凄い羽振りだねぇ」


 エマは驚愕の声で聞いた。


「モンスターの肉やお野菜を干したものをお食べになるんですの!」


「へ? こりゃ本格的なお嬢さんらしいねぇ、食べるも何も今アンタらが美味しいって絶賛していた料理がモンスターの肉と乾燥野菜だよ、気が付かなかったのかい?」


 マリアが自分が平らげたスープの皿を見つめながら呟いた。


「も、モンスターの肉……」


 デビットはまだ少しだけ残った自分のサラダを見つめて首を傾げていた。


「これが乾燥野菜? 味も見た目も収穫したばかりの野菜と同じに感じたが……」


 イーサンも感心したように自分の料理を見ていたが、マチルダに視線を移して問い掛けるのであった。


「なるほど、この料理にモンスターの肉と乾燥野菜を使用している事は理解したが、それがあの珍しい香辛料とハーブの話にどう繋がるんですかな? マチルダさん」


「ああ、モンスターの肉は生命力が強すぎるんだよ、そいつが人間の体にゃ毒でね、食べ過ぎると体が石化する、なんて物騒な言い伝えもあったりしてね、その為に毒消し草を使ってるんだよ! 乾燥野菜は逆の理由で薬草を使って生命力を与えてるって寸法さね、ただね、どうしても二つの草の香りで薬っぽくなっちまってねぇ~、誤魔化す為に個々の料理にはいろいろなハーブや調味料、それに辛味の強い『ワサビ』って香辛料をいれてあるのさ! どうだい、ちょいと辛かったんじゃないかい?」


 エマはキラキラした目でマチルダを見ながら言うのであった。


「まあ、学園で薬草や毒消し草の事を学んで参りましたが、よもやそのような使用法があるとは思いもしませんでしたわ!」


 マチルダは自慢げに胸を反らせて答えた。


「ははは、実はこんな風にモンスターの肉や乾燥野菜を使っているのはこの町と周辺の村位なのさ、余所(よそ)じゃモンスターの肉は干し肉にして毒気を抜くし、乾燥野菜はそのままシチューに入れちまうからね、所謂(いわゆる)ご当地名物ってやつさ、ルンザならではの料理って事さね! 昔どこからともなく現れた夫婦の旅人が考案した調理法だって言われてるんだよ、

最初に答えた通り名前までは覚えちゃいないけどね」


「ご夫妻の旅人が…… 素敵ですわ! マチルダさん、私お代わりが頂きたいのですが、宜しくて?」


「ああ、まだ残っていたから持ってきてあげるよ、アンタ等はもう良いのかい?」


 黙って皿をマチルダの方に寄せながら頭を下げる三人に大声で言うマチルダ。


「ははは、いいよ持って来るよ、その代わり食べたら一所懸命に働いておいでよ! はははは」


 厨房に向かっていくマチルダの逞しい背中から視線を仲間達に向けてエマは言った。


「お聞きになったでしょう? 冒険者が集めた薬草や毒消し草がこんな所でも役に立っているのですね! 私俄然やる気が湧いて参りましたわ! お代わりを頂いたら早速ギルドで薬草集めのやり方を聞くのですわ! 薬草を採り尽くすのです! 目指せ種の根絶! ですわ!」


「「「はい!」」」


 やる気を漲らせ(みなぎらせ)たノブレスオブリージュの面々は食後、意気揚々と階下のギルドに向かうのであった。

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)


まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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