135. デニー、即位する ①
本日一回目の投稿です^^
「母上、父上はまだお帰りにならないのですか?」
アレックス・ブレイブニアの声には待ちきれないと言わんばかりの意志が含まれている。
エマは十六歳になった長男の頭を、幼子にする様に優しく撫でながら答える。
「アル、お父様は即位の準備でお忙しいのですよ、今暫くすればお戻りになるでしょう、辛抱強く待たなければいけませんわ」
アレックス王子は不服そうに頬を膨らませながら言った。
「忙しいって本当なのでしょうか? 今朝もお話を途中で誤魔化すように執務に向かってしまわれたし…… 僕が冒険者になる事を許したくなくて逃げているのではないですか? 母上からも頼んでくれたのでしょうね? どうなんです?」
エマはやれやれと言った表情に微笑みを重ねて答える。
「お父様は逃げたり致しませんわ、それにアルやエリーが冒険者として社会経験を積む事にも理解を示して下されていてよ、ご安心なさい」
この言葉を聞いたアレックスは、満面の笑顔を浮かべて双子の妹エレノアを振り返り、エレノアも嬉しそうな顔で頷きを返した。
アレックスはエマと同じ朱色の髪、対してエレノアは父親似の金髪である。
エマの子供たちの興味は、間近に迫った父親の即位よりも、十六歳になったら許可する、そう以前から言質を取っていた冒険者登録、それだけに集中している様だ。
エマは小さな溜息を吐いてから二人に話し掛けた。
「それで一緒に登録する仲間は決めたのですか? 誰を誘いましたの?」
エマの言葉に指を折りつつ答えたのは娘のエレノアであった。
「えっと、ステハム叔父さんの所のソラス君と、もう一人はレオニー伯爵家のマルタちゃんにしましたわ、お母様」
「これ、ステハム叔父さんでは無くてタギルセ侯爵とお呼びしなければいけなくってよ、それにもう一人がマルタですの? マリアの姪でしたわね? あの小さくて可愛らしいご令嬢でしょう? 大丈夫なのですか?」
心配そうに聞くエマに答えたのはアル、アレックス王子である。
「大丈夫だよ母上、ああ見えてマルタは運動神経抜群なんだよ、格闘術も凄くて大人でも敵わない位なんだ! 凄いでしょう?」
自分の事の様に誇らしげに胸を張るアレックス。
エマは頷きながら得心のいった顔を浮かべた。
「なるほど、血は争えないという事ですのね、するとソラスはやっぱり魔法戦士なのかしら?」
「ううん、ソラスは蟲使いだね、シンシアおばさんに似たって言ってたよ、でも若い頃のおじさんみたいにつるつるに剃り上げちゃってさ、盾を持ってタンク兼斥候をやるんだって意気込んでるよ」
エマは顎に拳を当てて考えながら言う。
「そうですか…… パーティバランスは悪くないですわね…… 欲を言えば近接火力がもう一人いれば完璧ですわね…… 槍使い、いいえ、魔法剣士かしら? ブツブツブツ」
「帰ったよエマ! アルもエリーも良い子にしていたかな? ん? エマが何か計算中だね?」
「ガガガッ、オウト、ヲ、チュウシンニボウケンシャヲ、スルコトヲ、カンガミタケッカ、パーティーバランス、ハ、ジュウブントレテイマス、コレイジョウ、ツイカスル、ヒツヨウハアリマセン、ガガッ、ガガガッ、あらデニーお帰りなさい、なんですって?」
「ああ、ただいま、これ以上追加しなくていいってさ、アル達のパーティーの事かい?」
「そうでしてよ、ソラスとマルタと四人で登録するのですって」
「ほう、そうなのか」
先程エマが子供たちに言っていた通り、デニーの返事からは特段反対している様子は見えなかった。
アレックス王子が堪え切れ無いと言った感じで父親に言う。
「それで父上、僕に使わせてくれませんか? レジル、レジルを譲って下さいよ! 良いでしょう?」
「それは構わんが、アレがお前を認めてくれるのかな?」
アレックスとエレノアは揃って駆けだしながら言った、恐らく宝物庫へ向かったのだろう。
「「試してきますっ!」」
「ははは」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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