131. バルコニーのアメリア ④
本日二回目の投稿です^^
王宮での騒ぎから五日が過ぎた。
この間、エマはバーミリオン邸の中に留まって退屈な時間を過ごす事になったのである。
五日前、王宮の中庭で大好きなデニーとお茶を楽しんでいた時に、小走りに駆け寄って来た自分付きのメイドから話を聞かされ、慌てて邸に帰って来てから一歩も外出できなかったのである。
叔父と父が自ら申し出た謹慎ではあったが、王宮からは二十人程の衛士が派遣され、出入り口を確りと固めてしまっているのであった。
パトリックやスコットだけでなく、その気になればエマであっても力ずくで表に出る事は可能であったが、わざわざ心象を悪くする必要も無い、という事で揃って邸内で時間を潰していたのだ。
エマも一日の殆どを自室内で過ごすしかなかった。
ベッドに寝転んでみたり、ソファーで読書をしたり、時々庭に出て魔力操作の練習をしたりして日々を送っていた。
それにしても、ほんの五日だと言うのにデニーに会えないと言うのはエマにはつらい事だったようだ。
三日目から目に見えてしょんぼりした様子が見られ、食事の量もあからさまに減っていた。
今日は朝から溜息を吐いてばかりで、朝食の時など間断無く吐かれる溜息のせいで、父や叔父まで食事の気分では無くなってしまった程である。
昼食も夕食も同様で、最終的には二人もつられて溜息を吐くだけの集まりになっていたのである。
自室に戻ってからも気分はどんどん重く辛く苦しくなって行くだけであった。
ハー…… ハー…… ハー…… ハー…… ハー……
少し過換気症候群気味になりながらも、エマが窓から差し込む月明りを見ていると、
コツン!
窓に小さな石が当たる音が聞こえたのである。
「? 何かしら?」
エマは窓を開けてバルコニーに出ると、眼下に広がるバーミリオン邸の中庭を見下ろすのであった。
カサカサカサッ
植え込みの一つが動き、そこから出て来た人物の顔は、月明りに照らされてエマからはっきりと確認できたのである。
エマは小声で語り掛けた。
「で、デニー、一体どうしたと言うのですの? こんな時間に、誰かに見られますわよ?」
デニーはバルコニーの下まで小走りに近付くと、軽い仕草で一階のテラスの屋根に登り返事を返した。
因みにアメリアの自室は三階の為、若干の距離が残っている。
就寝用のドレスにナイトキャップ姿のエマに向けて顔を上げたデニーが言う。
「君を連れ出しに来たんだよエマ、僕と一緒に逃げよう!」
「え、えええ! 逃げるって、何でですのぉ! デニー?」
「ああ、実はね――――」
デニーの話はこう言った内容である。
五日前の騒動について国王自身はあの場での発言通り、誤解から始まった勘違いであると主張し、問題視しないと発言したらしい。
これに国王派の貴族たちが一斉に異を唱えたのだと言う。
法務卿を中心にして、処分は国法に照らして検討するべしと言って来たのだ。
そう言われてしまっては国王と言えども無理強いは出来ない。
ブレイブニア王国も法治国家なのだ。
しかし、四日が過ぎても法務省からの連絡は無く、王宮内の噂ではバース式部卿の邸に国王派の貴族や法衣貴族が集まって、なにやら夜な夜な会合を開いているらしい。
訝しく思ったデニーは今日も夕方から始まった会合に、法衣貴族であるロアとクリスを送り込んで様子を探らせたそうだ。
会合を途中で抜け出して来た二人の話を聞いたデニーは、王宮を抜け出してここバーミリオン邸にこっそり侵入して来たのだと言う。
言われてデニーの出で立ちを見てみると、冒険者時代の服装に身を包んだデニーが背に愛剣レジルを背負っている事が分かった。
「国王派の会合では僕とエマの仲を認めない事が決定していたと言うんだよ! そしてあろう事か、僕の婚約相手をバース公爵令嬢のアンドリアにしようと画策していたんだってさ!」
「ええっ! だってアンドリア様は! あの、その、えーっと……」
「そう、僕よりも二十も年上のあの太ったアンドリアさ! それよりも僕は君、エマが好きなんだ、他の誰でもダメなのさ! ねえ、エマ、二人で国を出よう! そしてどこか別の場所で二人で暮らそう! 冒険者でも串焼き屋でも良い、前にそう言ってくれたよね? 僕は死ぬ気で働いて君を幸せにしてみせる、お願いだエマ僕と一緒に来て欲しいんだよ!」
そう言って真剣な顔でエマを見上げるデニー。
エマは間を置かずに答えたのである。
「ちょっと待ってて、なのですわ! 着替えて参りましてよ!」
「ああ、エマ! ありがとう!」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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