124. 令嬢、別離に咽び泣く ②
本日一回目の投稿です^^
デビットやマリア、イーサンと同じく長くバーミリオン侯爵家に仕えてくれている、メイドや執事、フットマンやコーチ、下働きのキーパーに囲まれて過ごしていたエマに寂しさは無かった…… そう言ってしまえば、それは嘘であったのであろう。
心の隙間を埋めるように、毎日の様に訪ねた王宮ではクロード、ロアによる王家の正史に纏わる講釈と、新たに法衣貴族として子爵位を賜ったポンダー家の次男、クリスの面白可笑しい話がエマを楽しませたのであった。
何より、一日数時間だけだったとはいえ、大好きなデニー、ダニエル王太子との逢瀬はエマから寂しさを拭い取っていたのである。
寂しくはない、そう思い込んでいたエマは自分の浅慮を知る事になる。
派遣されてから一年半を過ぎた時、デビットとマリア、レッドとホワイトが王都に帰還を果たしたのであった。
四人は泥にまみれた姿に反して、心からの物だろう満面の笑みを浮かべてエマに告げたのであった。
最初に言葉にしたのはデビットであった。
「お嬢様、南方の全ての道、街道を整備して参りましたっ! 最早彼の地は僻地とは言えませんよぉ!」
次に言葉をくれたのはマリアである。
「エマ様! マリアが彼の地の地均しを終えて戻って来たのですわ! 何、柔らかい石ばかりで物足りなかったのですの!」
二人の強気の言葉と裏腹に、紅白だった鎧兜を黒ずませた二人の師匠が吐息と共に漏らしてくれた。
「やあ、エマ久しぶりだね…… もう、この二人の無茶と言ったら…… 随分骨を折ったよ、ははっは! なあ、ホワイト?」
「ああ、楽しませてもらったよ…… 何とか生きて帰って来れたけど…… 信じられるかいエマ? ウチの主は魔人を三人も自分達二人だけで討伐させたんだよぉ! キッツイ主に従っちまったよねぇ? レッド?」
「確かに! ははは、まあ、こうやってエマの顔も見れたんだから良いじゃないか! ホワイト?」
「だね、ただいまエマ、元気だったかい?」
今迄気丈に頑張って来たエマは我慢の限界だったのであろう、見慣れない傷で全身を一杯に飾ったレッドとホワイトを両手で抱いて、ワンワン大声で泣き続けてしまったのであった。
必死のフルヒールを掛けたエマであったが、もう一年近く前に受けた傷をレッドとホワイト自身が受け入れていたせいだろうか、傷は完治することは無くその顔や手足に色濃く残ってしまったのである。
その四日後、イーサンとストラス、シンシアが王都に帰還したのであった。
こちらもデビットやマリアに負けぬ程、大きな傷を負い這う這うの体で辿り着いた、そんな感じであったのである。
王宮が試算した復旧までに要する期間は八年から十年であったが、そこに生きる人々には単なる数字の話では無かったようである。
その気持ち、生活に寄り添った結果、ストラスとシンシア、イーサンの災害復旧メンバーは有ろう事か、一年ちょっとの期間でアプリコット村の生活を回復させただけでは無く、例のドロン! 移動を駆使して上空から文字通り鳥観し、脆弱な地盤に改良を施しただけでなく、居留地、住居を水害から離し、あまつさえ多数の生活用水を井戸によって供給する事を成功させた上で、王都に帰って来たのであった。
これには、イーサンの生活魔法と気配察知が効率的に役に立っただけでなく、ストラスの腕力、意外にもシンシアの蟲を操るスキルも存外の力を発揮してくれたという事であった。
帰還した三人に抱き着いて、又もや滂沱の涙を流してしまうエマ、アメリア・バーミリオンである。
「イーサン、ステハム! ふ、フルヒールぅ! ……主だった傷は治りましたわね…… ねえ、ねえぇ、貴女まで、こんな…… シンシア! 可愛らしい顔に…… こんなに…… こんなに大きな傷を負ってしまうなんて…… 可哀そうなのですわ! 良しっ! フルヒール! くっ、駄目ですのね! ふ、フルッ、ヒール! くうっ、まだまだぁ! フルッヒール! フ、フ、フ、フルゥヒイイイィィィルウウウゥゥゥッ!」
イーサンとステハムの体に有った新旧の傷痕は一回目のフルヒールで完治したのだが、シンシアの額に見えた傷は、何回掛けても改善する様子は見られなかった。
困惑しながらも個別回復の最上級魔法、ハイヒールを掛けようとエマが翳した手を両手で握って制止したシンシアは言った。
「大丈夫ですわアメリア、額のケガは自分で治しましたの、やり様が上手くなかったから跡が残ってしまいましたわ、てへへ、ですの」
「ええ、そ、そんな!」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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