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12. 令嬢、冒険者になる ⑤

本日三回目の投稿です^^

 記入された登録用紙に目を通した受付嬢のアンナは困惑気味に聞くのであった。


「あの皆さま、この、職業欄なのですが……」


 マリアの後ろでアメリア、いやエマが胸を張って答えるのであった。


「ふふふ、素晴らしいでしょう? 皆で一所懸命に考えて決めましたの♪ 冒険者に相応しい(ふさわしい)、そうお思いになられなくって?」


 嬉しそうである、そう思ったアンナは傷付けてしまわないように優しい笑顔で言うのであった。


「そうですね、格好良いですよね」


 そしてギルドカードにはそのまま記入し、ギルド内に保存される登録用紙の方は、聖女を癒術(ゆじゅつ)師に、守護者を剣士に、ニンジャマスターを斥候(せっこう)に、破壊者を武闘家に、素早く、そうっと、それぞれ書き直すのであった。


 出来上がったギルドカードを四枚並べながらアンナが言った。


「はい、こちらがギルドカードですね、登録料が一人銀貨一枚、合わせて四枚になります、同時にパーティー登録されるのであればさらに銀貨二枚が必要ですが如何しますか? 因み(ちなみ)に後日申請される場合は銀貨三枚ですので、本日同時登録の方がお得ですよ」


 エマは貨幣通のデビットを振り返り彼はその視線に答えて言った。


「エマお嬢様、今現在の所持金は丁度銀貨六枚です、得という事なら一緒に申請されれば良いのでは?」


「そうですわね♪ ではそう致しましょう! お願いします」


「では、パーティーのお名前をどうぞ」


 エマの顔に迷いの色が浮かんだ。


 ――――パーティー名? そうですわね、普通に考えたらバーミリオンでしょうけど、流石にバレそうですわね…… では少し捻って硫化水銀かしら? 硬くなくって? 二つの意味で…… シンシャとか? 割とバレてしまいそうですわね…… みんなに聞く事としましょうか


「イーサン、マリア、デビット、どんな名前が宜しいか聞かせて貰えますか?」


 マリアが秒で返した。


「『破壊神ガッドブディストラクション』とかどうですか?」


 エマも秒で首を振って答えた、却下だ、一体マリアはこのパーティーに何を期待しているやら。

 続けて声を発したのはイーサンであった。


「どうでしょうかお嬢様、パーティー『バーミリオン』と言うのは?」


 これにも首を振ってダメ出しをしたエマである、何も考えていない執事を残念そうに見ている、それは当然の事と言えた、なぜならエマ自身の考えた最初の奴であったのだから……


 最後に熟考していたのであろうデビットが手を打って言う。

 残念な事に発した音はポンッでは無く、重装鎧のガンッという音であったが。


「こんなのはどうですか? 『聖女と愉快な仲間たち』! どうです? 良いでしょう?」


 ブルッ!


 エマの背筋に悪寒が走った。

 何故だろう? そのパーティー名を付けてはいけないと本能が叫んでいる様であった。

 

 具体的には急激に太ってしまったり、世の中と乖離(かいり)した価値観で生きて行く事を余儀なくされるような、最悪最低な未来の予感である。


 慌てて首を振ったエマは本気で考えた結果、一言呟きを漏らしたのである。


「ノブレスオブリージュ……」


「「「おおっ!」」」


 声を合わせる三人に花の様な微笑みを湛えてエマ、アメリアが言った。


「如何ですか? 青き血の宿命に従い、復活した魔王ザトゥヴィロを倒すことを最終目標にする我々にぴったりの名前だと思うのですが? それで宜しくって?」


「「「も、勿論です! お嬢様っ!」」」


 こうして魔王ザトゥヴィロを滅する為に結成されたパーティー、貴族である事が丸バレの『ノブレスオブリージュ』が誕生したのであった。


お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)


まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。


Copyright(C)2019-KEY-STU

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